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<著者> 野崎浩司 救急科専門医・麻酔科認定医

目次
01:きっかけは偶然 信頼するコンサルとの出会い
02:1年間見つからぬ物件に揺らいだ開業の初心
03:条件以上の物件にとんとん拍子で契約
04:スタッフエリアを最優先に建物の設計に着手

2019年末に銀行から良い条件をいただき、ホッとしたのも束の間、202010月開業まで8カ月に迫っていました。「同時期に開業する医師より、打ち合わせや機器選定など全体的に早く進んでいますよ」と言われても、初開業に気ばかりが焦る毎日。

日頃は神頼みなどしない性格ですが、新年のおみくじが大吉だったのが例年以上にうれしかったのは、やはり楽天家の自分でもプレッシャーを感じているからなのでしょう……。

さて、そんな開業への日々をともに歩いた、開業支援コンサルタントとの出会いと、立地・設計の経緯について書いていきましょう。



きっかけは偶然 信頼するコンサルとの出会い

コンサルのなかには、開業までに医師から最大限に搾取して開業後は知らんぷりというような「開業屋」と揶揄されるタイプも少なくなく、選定のリスクは高い――という話があります。そんな被害にあった医師の話を知人から聞いたことがあるし、開業に向けて購入した本でも、主人公が「開業屋」に騙されかけた話がありました。

私はコンサル選定の前に、まずは継承物件や盛業中の医療モールの空き物件などの開業地探しから始めたのですが、その際たまたま見つけたのが、とある薬局グループの医院開業支援と書かれたホームページでした。問い合わせのメールを送り、18年1月上旬に同社で面談を行うことになりました。

その席で私は、経歴や開業への思い、「プライマリ・ケア」+「ペインクリニック」+「リハビリテーション」という診療スタイルへのこだわりをお話しさせていただき、物件についても探してもらうことになりました。

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1年間見つからぬ物件に揺らいだ開業の初心

その一方で、要望に合う物件は約1年間探しても見つからなかった……。弱気になった私は、初心に反し「プライマリ・ケアはあきらめペインだけの開業でもいいか」と思うようになっていました。つまり、「まず開業ありき。開業できるなら診療スタイルを変えてもいいや」という気持ちにシフトしていったのです。開業を検討中の皆さんも、予算や立地などの条件から気持ちが変化していく時期があると思います。


そんなときは、「自分はそもそもなぜ開業しようと思ったのか?」と考え直したほうが良いでしょう。絶対に妥協はやめよう。私は白紙に、「なぜ開業するのか?将来の目標は?」など箇条書きしてみることで気持ちをリセットできました。その結果、「やはりペインだけの開業は本意ではない」と再認識しましたが、物件の件からも、一時は開業を完全に諦めかけました……。


ところが約1週間後、事態は急変!「プライマリ・ケアを行える周辺環境(同医療モール内に内科が未入居)」「リハビリ室も広く確保可能」な物件に空きが出るかもしれないという連絡が来たのです。

条件以上の物件にとんとん拍子で契約

私の物件に対する最低限の希望は、①1階にある、②駐車場が広い、③リハビリ室を広くとれる――だったのですが、知らせを受けた物件、つまり、開業予定地の物件は次のとおり。

①1階にあり、患者層の中心となる高齢者でもバリアフリーで来院可能かつ、玄関は国道側に向いており視認性が良い
②スーパーや医療モール等4軒共用の駐車スペースが入居予定物件側に383台あり、既存店舗は平日・週末ともに繁盛している
③物件の広さは85坪、運動器リハビリテーションの施設基準である45㎡以上を楽に取れる

広告宣伝費等も考えると、新規開業で①②は非常に有利でした。③もリハビリだけではなく講演会やヨガ教室などにも使おうと考えていたので、広いに越したことはありません。


早速、不動産会社の担当者と面談。そして妻とともに現地を視察し、諦めかけていた開業話は驚くほどとんとん拍子に進んでいきました。その後、仮契約を終えた197月末、当時の勤務先のクリニックの院長や事務長らに、開業する計画を伝えました。

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スタッフエリアを最優先に建物の設計に着手

物件が決まれば、次は内部の設計です。改めて勤務先のクリニックの設計を見直したほか、他施設も見学しました。ここで大事なのが、使いにくい部分や不要だったと思う点を当事者にしっかりと聞くこと。特に、患者さんの傍らで処置や介助をする看護師やスタッフに直に聞いたほうが、設計の問題点がよくわかりました。


あとこだわったのは、スタッフの更衣室や休憩室の広さを十分に確保すること。院長室なんて、横になるソファーと、トイレとシャワーがあれば十分です。休憩室と更衣室を兼用する施設も多いと思いますが、当院は理学療法士や放射線技師などで男性スタッフも雇用する可能性が高く、きちんと分ける設計にしてもらいました。


こうして内部設計を考えつつ、夏〜秋は医療機器の選定、銀行、会計事務所、広告代理店との面談なども並行して進めました。今回はこのあたりで。マタヤーサイ!(沖縄方言で「またね!」)

監修:㈱日本医療企画

(取材:20202月)


連載【第2回】はこちら ☞ 収支計画作成を経て銀行が決定&SNSが夢を実現していく!


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PROFILEプロフィール

厚別ひばりクリニック

野崎浩司(のざき・こうじ)
●1995年、旭川医科大学医学部卒業後、同大学で麻酔科蘇生科研修医、同年10月砂川市立病院麻酔科に勤務。旭川医科大学、市立札幌病院等を経て、2007年、沖縄へ。琉球大学附属病院、浦添総合病院救急総合診療部等を経て、2016年より札幌市の環状通東整形外科副院長

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