• Facebook
  • Twitter
  • LINE

<取材先>医療法人社団三世会鳩ケ谷クリニック(埼玉県川口市)高山健彦院長

実際に診療所では、どんなスタッフトラブルが起こり、どう対処しているのでしょうか。各地の診療所にこれまで体験したトラブルとその対応法や、未然に防ぐための予防策について聞きました。

目次
01:主任看護師とそりが合わず新たな看護師が定着しない
02:コーチングを導入しチームづくりを目指す
03:新たな人材にもコーチングスキルを浸透

主任看護師とそりが合わず新たな看護師が定着しない

埼玉県川口市で2008年に開業した医療法人社団三世会鳩ケ谷クリニックは、「患者様とご家族の意向に100%添う」を理念に掲げ、主に介護付き有料老人ホームなどを中心に訪問診療を行っている在宅診療所です。

開業当初、医師は高山健彦院長1人、看護師1人、医療事務1人、総務・営業担当1人の体制でスタートしました。その後、看護師を新たに1人増員して2人体制になり、「看護師の教育は同じ看護師に」という高山院長の方針で、新人看護師の教育は当初からいる主任看護師が基本的に担うこととなりました。


しかし、問題はここからでした。主任看護師と新人看護師の間で業務や申し送りのやり方などで齟齬が出る、主任看護師が仕事を抱え込んでしまうなど、関係構築がうまくいかず、新人看護師が早々に退職しました。その後も新たな看護師を採用するものの、そりが合わず、半年~1年たたずの離職が相次ぎ、2人目の看護師がなかなか定着しない状況が続きました。


「私が看護師の教育にタッチしていなかったのと、主任看護師のスキルが高かったため、むしろ新人がそれに合わせられないこと、新人の技量に問題があると思っていました」と、高山院長は振り返ります。

pixta_25654190_L - copy.jpg

コーチングを導入しチームづくりを目指す

しかし、スタッフが定着しないままでは採用コストもかさみ、主任看護師の業務負荷も増える一方でした。そこで、試行錯誤の末に高山院長が18年に導入したのが、コーチングを使った目標達成に向けて一丸となって行動できるチームづくりです。

「数々の医療機関の人材育成やチームビルディングに携わってこられた、知り合いの人事コンサルタントに講師をお願いしたのです」(高山院長)

具体的には、半年間にわたって月1回、診療終了後にコーチングの院内勉強会を開催しました。高山院長を含む全スタッフが参加し、働くうえで役立つ具体的なスキルや、人間関係を深めるための実践的な考え方などを学んでいったのです。


この勉強会を通じて、自分と他のスタッフそれぞれの院内での役割や立ち位置、同院で求められる医療のあり方などへの相互理解を深めました。それにより、お互いの考え方や経験の違い、得意・不得意などが洗い出され、明確な意思表示や話し合いの大切さを実感していきました。


業務でもその成果は徐々に現れました。たとえば、主任看護師と新人看護師の場合、従来は高山院長が指示した一つの処置に対してもそれぞれが良いと思うやり方が異なったため齟齬が生じ、業務効率の低下や看護師同士の不和につながっていました。


しかし、コーチングを通じて、お互いが具体的に意思表示をするようになり、やり方や方向性をすり合わせながら仕事を進められるようになりました。それでうまくいけば、うまくいった要素を看護師たち自ら振り返ることで、その後の行動も変わっていったといいます。

iryou 1 - コピー.jpg
こうしてコーチングの指導を半年間受けた結果、院内の雰囲気は大きく変わりました。スタッフ同士がきちんと自分の考えを相手に伝えられるようになり、それらを踏まえたうえで、どうすればチームとしてより効率的に仕事ができるようになるのか皆で話し合うようになりました。これにより問題となっていた看護師同士の関係構築も好転し、離職率は大幅に減少したのです。


また、コーチング導入以前は看護師が定着しなかったこともあり、当時のスタッフに業務負荷が集中し残業時間が長く、有給取得率も低い状態でした。しかし、導入後はスタッフ全員で効率的な働き方を考えながら動き、1人で仕事を抱え込まずうまく分担できるようになったため、残業時間は減少し有給取得率も向上しました。労働環境の改善につながったといいます。


院内の業務効率が上がったことで、診療の質も向上し、地域からの評判も上がりました。コーチング導入時に、チームづくりのための具体目標として掲げていた「在宅患者500人」も無事達成し、さらに患者数を伸ばしつつあるといいます。また、こうして培ったコーチングスキルの成果を見せる場として、192月にはコーチング大会にも全スタッフで参加しました。自身の取り組みを発表し、自信を深めました。


新たな人材にもコーチングスキルを浸透

現在、同院は新たに常勤医も加わり、医師2人と看護師3人、医療事務2人、医療クラーク1人、総務・営業担当2人――と、大幅な人員拡充を果たしています。新たなスタッフの入職とともに再び奥山講師の指導のもとコーチングを学んでいるといいます。


今後の抱負を高山院長は、「今後はさらに、分院展開も視野に入れてさらに人員の拡充と教育に取り組んでいきたいと考えています。そのためにも、当院のチームづくりの核となりつつあるコーチングを通じて、引き続きスタッフの相互理解を深めていきたいと思います」と語りました。


医療法人社団三世会のスタッフトラブル対策のポイント!
①外部講師のもとコーチングのスキルを全スタッフに徹底指導
②具体的な目標に向けて、スタッフの相互理解を深め、効率的な働き方を実践
③新スタッフにもコーチング指導を継続し、院内のチームづくりの核とする

制作:㈱日本医療企画
(取材年月:20212月)


ランキング.jpg202208 サムネ 1.jpg2202208 サムネ - .jpg202208 サムネ - 3.jpg202208 サムネ - コピー.jpg

PROFILEプロフィール

PROFILE

医療法人社団三世会鳩ケ谷クリニック(埼玉県川口市)

高山健彦院長

URL

関連サービス

👉「福利厚生」をお考えの方 インボイス(スマート福利厚生)

従業員のモチベーション向上のために福利厚生の拡充は大切です。医療機関と豊富な取引実績がある㈱インボイスが福利厚生制度導入のサポートをいたします。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE