<取材先>松浦法子 ArtsWeb株式会社 代表取締役
- 目次
- 01:FacebookやTwitterなど、ほかのSNSにはない、マーケティングにおける「LINE 」の強みは何ですか?
- 02:診療所のような小規模法人が、集患・リピーター戦略に「LINE」を活用するには、具体的にどのような運用が推奨されますか?
- 03:まだ「友だち」ではない、新患になり得るターゲット層へのマーケティングはどうすれば良いですか?
Q1.FacebookやTwitterなど、ほかのSNSにはない、マーケティングにおける「LINE 」の強みは何ですか?
A.確実にターゲットへ情報を届ける「伝達力」が強み
Facebookなどは、システム側で交流の多いユーザーを自動的に選択して投稿を表示する機能があるため、たとえば、1000人のフォロワーがいても、実際に投稿が表示されているのは仲の良い1割程度の可能性が高いです。
それに対し、「LINE」は、「友だち」1000人に「LINE公式アカウント」からメッセージを送れば、全員へ確実に届きます。また、利用者の母数が多いことも強みで、「LINE」を使っていない人はいないと言えるでしょう。
「不特定多数のユーザーに対し情報を広く拡散する」という点では、FacebookやTwitterも同様に強力ですが、「確実に情報を伝達する」という点では、「LINE」に軍配が上がります。
Q2.診療所のような小規模法人が、集患・リピーター戦略に「LINE」を活用するには、具体的にどのような運用が推奨されますか?
A.「LINE」で顧客管理する精度の高いマーケティング
「LINE」を始めてすぐの診療所の多くが、「LINE」=メッセージ送信と思い、休診日のお知らせや予防接種の告知などの活用をイメージしがちです。しかし、近年は「LINE公式アカウント」のさまざまな機能を活用し、集患や業務の効率化につなげている診療所も出てきています。
その一つが、「LINE」での顧客管理です。たとえば、予約や問診を「LINE」で行うと、どんな患者が何の目的で受診したかといった患者データが蓄積されていきます。それを分析することで、よりターゲットを絞ったマーケティングができます。
たとえば、内科診療所なら、患者データからにんにく注射など自由診療に関心のある患者だけに絞ってメッセージを送ったり、インフルエンザの予防接種を優先的に受けてほしい小児・高齢者の「友だち」へ先に予約の案内を送るといった使い方をしているところも増えています。
なお、性別や年齢層、エリアなどのセグメント配信は、基本のメッセージ機能でできますが、よりパーソナライズされた情報発信を行いたい場合は、「Messaging API」という機能の利用が必要です。「LINE」自体の基本機能に加え、「LINE」と連動した予約、順番表示などの顧客管理システムなどが可能になります。
このように、マーケティングに役立つ患者データを「LINE」でオールインワンに管理・分析することで、「LINE」からそのまま、直接患者層ごとに合ったアプローチを仕掛けられます。
Q3.まだ「友だち」ではない、新患になり得るターゲット層へのマーケティングはどうすれば良いですか?
A.タイムライン上での「友だち」同士の共有を活用
「LINE広告」などへ出向するのも一案ですが、診療所の場合、広告規制ガイドラインなどもあるので、慎重に運用したい方も多いかと思います。そこで、活用していただきたいのが、「タイムライン」への投稿です。
投稿を評価してもらえると、評価した「友だち」の「友だち」へと情報が広がっていきますし、そうした場合、「あの人が『いいね』しているなら信頼できる」といった好意的な受け取りも、期待できます。
また、「友だち」同士は、子どもが同学年など同じような生活境遇であることが多く、共感する内容も同じになることから、反応が良い情報が拡散されやすくなります。今はまだ「タイムライン」に投稿したことがない診療所も、これを機にぜひファン獲得のために取り組んでみてもらいたいですね。
投稿する際は、文章だけではなく内容に関連する画像を添えるのももちろんですが、押さえておきたいポイントとしては、「住所」や「電話番号」など、必ず明記しておくことですね。あとから検索させるのは不親切ですし、スマートフォンで「電話」や「住所」表記をタップすれば、電話がかかったり、マップ表示されたり、患者さんが行動を起こしてくれます。
また、文章は堅苦しくならず、難しい言葉を使わない家族や友人に送るような親しみのある書き方を心がけたいですが、「来てください!」と露骨に書くと、押し売りに感じます。
投稿が多すぎても逆に敬遠されてブロックされるリスクもあるので、注意しましょう。
*
これは、「LINE」に限らず、他のSNSマーケティングにも言えますが、SNSは導入してすぐに効果が出るものではありません。更新や変更・改善を繰り返して育てていくものです。
最初は、機能拡充や広告など、多少の投資が必要な場合もあるかもしれませんが、地道に適切な運用を続けられた診療所さんは、1~2年後にちゃんと狙っていた患者層を集めることに成功されています。
「LINE」の導入を悩まれている院長に多い声が、「管理が面倒くさそう、手間が増えそう」などですが、そうではなく、チャット相談なども1日に何十件も来ません。問い合わせも今まで電話でかかってきていたものが「LINE」にシフトすると思えば、電話応対の手間などは減ります。ただ、今まで取りこぼしていた、「電話はしない、『LINE』だったら連絡する」という患者は増えます。
とにかく、「LINE」であれば、患者の「受診したい」と思ったタイミングを逃さず自院に誘導できるという観点からも、「LINE」をうまく取り入れていただきたいです。
制作:㈱日本医療企画
PROFILEプロフィール

ArtsWeb株式会社
松浦法子 代表取締役
関連サービス
👉「リース」をお考えの方 シャープファイナンス(リース)
大型医療機器から院内設備、小型のサーモカメラまで、あらゆる設備をリース、立替払にてご契約できます。リースであれば費用が平準化され、コストの把握が容易になります。リース、立替払いによる資金調達を検討されている方は豊富な取引実績がある(医科/22,000件、歯科/約28,000件)シャープファイナンス【芙蓉リースグループ】に是非ご相談ください。