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<取材先>睡眠総合ケアクリニック代々木(東京都渋谷区)

目次
01:幅広い睡眠障害に対し対応可能な数少ない診療所
02:設備・人員ともに充実多岐にわたる症例ごとに対応
03:都市部は増えつつあるが地方の受け皿はいまだ不足

幅広い睡眠障害に対し対応可能な数少ない診療所

2003年に開業した、医療法人絹和会睡眠総合ケアクリニックは、およそ90種類あると言われる多様な睡眠障害に対し、包括的に診療を行うことができる体制を揃えた、日本でも数少ない診療所の一つだ。


また、東京医科大学の睡眠学講座と提携した研究機関でもある。同院の外来診療による症例の蓄積と大学での臨床研究による睡眠治療の発展のクロスオーバーにより、日本における睡眠学の発展に資すること、また、こうした睡眠障害の専門的な治療を担う新たな人材の教育・育成を担う場所として機能しているのだ。


同大学睡眠学教授も務める井上雄一理事長は、開業から現在までの睡眠に悩む患者の変遷について、「基本的な構造は大きく変わってはいませんが、全体的な患者数は増加しており、当院の受診者も年々増えています」と話す。


なお、新型コロナウイルス感染症の流行以降では、在宅ワークなど生活が変わったことで睡眠のリズムが崩れてしまい、「夜眠れない、朝起きられない、起きても身体がだるい」といった症状を訴える若年の患者が増えたという。


現在の1日当たりの平均患者数は、完全予約制で約150人。そのうち10人~15人が新規患者であるという。

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設備・人員ともに充実多岐にわたる症例ごとに対応

そんな同院が持つ強みが、幅広い睡眠の悩みに対し、ハード・ソフトともに柔軟かつ専門的に対応できる体制を整えていることだ。


まずソフトについては、診療科は多くの睡眠障害の原因に関連している精神科、呼吸器内科、神経内科を標ぼうし、それぞれ神経内科医1人、呼吸器内科医2人、精神科医3人を配置しているほか、一般内科医1人も採用している。医師の採用に関しては、大学関連からのルートのほか、各種学会での発表や共同研究といった、研究人脈からの採用が多いという。また、コメディカルも、不眠に対する認知行動療法を実施する臨床心理士が2人いるほか、研究補助者3人(非常勤)も在籍している。


一方、ハードでは睡眠ポリグラフ検査などの入院検査を行うための個室を全12床完備しており、日本の睡眠専門診療所のなかでは最大級だという。そのほかにも、▽CPAP圧設定検査、▽睡眠潜時反復検査(MSLT)、▽覚醒維持検査(MWT)、▽下肢不動化(示唆)検査(SIT)、▽末梢神経伝導速度検査・H反射検査、▽肺機能検査、▽鼻腔通気度検査、▽脳波検査――など、患者一人ひとりの睡眠評価に必要な検査体制を整備している。


「患者さんの症状ごとに、必要となる検査や治療はケースバイケースであり、ステレオタイプに一律の検査・診療では対応できません。たとえば、睡眠リズムの崩れなどは主に精神科医を中心に対応しますが、睡眠中の異常行動・異常運動などは、神経内科の領域になります。すべての方に安心して治療を受けていただくため、より科学的なエビデンスをもとに診断・治療を行っていくための体制を整えています」(井上理事長)


これらの充実した体制を効率的に運用するため、初診に関しても、まず電話予約の段階で具体的な悩みをヒアリングしている。その症状ごとに適切な診療科の振り分けを行っておくことで、受診当日はスムーズに診察・検査オーダーできるように配慮している。


患者によっては診察のなかで複数の症状の合併が見られるケースも少なくない。その場合は、初診の診療科から次の診療科の医師へ院内でつないでいくのだ。

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都市部は増えつつあるが地方の受け皿はいまだ不足

睡眠障害を専門的に診られる受け皿の現状について井上理事長は、「都市部は充実してきていますが、やはり地方はまだまだ少ないと思います」と指摘する。また、一口に〝睡眠専門〟といっても、幅広い睡眠の悩み全般に対して専門性を発揮できるような体制を持つ医療機関は多くはないという。


「当院では睡眠時無呼吸症候群の患者さんは全体の約3割のウエートを占めていますが、全国で『スリープクリニック』『睡眠クリニック』として開設しているところのなかには、実際には睡眠時無呼吸症候群のみ対応していて、ほかの睡眠障害に関してはあまり診ていないという診療所も少なくありません。昨今は一般の内科や循環器内科でも睡眠時無呼吸症候群に対応するところも出てきているので、その領域の受け皿は増えたと言えますが、睡眠障害全般の受け皿は、都市部でもまだ充分ではないのかもしれません」


また、井上理事長は、こうした課題を解決するうえでは、日本における睡眠学教育の充実が一番重要であると話し、実際に、井上理事長自身も大学では研究とともに後進の育成にも注力している。

また、同院の勤務医で外来での研さん後にその知見を活かして大学での臨床研究に戻る人も多いほか、独立し同院のような睡眠専門診療所を立ち上げた人も何人かいるという。そのうえで井上理事長は、「睡眠学という領域を発展させるためには、臨床研究と一般診療が両輪として一緒に動いていく必要があります」と強調する。


「学問領域としても、診療領域としても確立され、ブラッシュアップされていれば、あとは供給していくだけですが、現状はいまだ発展途上の学問と言えます。研究者であり、同時に臨床家でもある人材を育てていくスタンスが領域全体でまだまだ求められると考えています。そのためにはそれぞれの研さんに資する教育の場が必要であり、これらの充実が、ひいては質の高い睡眠専門診療所の充実にもつながっていくのではないでしょうか」(井上理事長)


制作:㈱日本医療企画
(取材年月:2020年2月)


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PROFILEプロフィール

PROFILE

睡眠総合ケアクリニック代々木 

井上雄一理事長

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