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<取材先>医療法人社団高遼会 整形外科たかひろクリニック(兵庫県西宮市)飯田高広理事長

目次
01:患者のADL向上のためリハビリの拡充から着手
02:手術まで一貫した流れをつくるため病院を承継
03:日々のPDCAサイクルと経営改善が肝要

患者のADL向上のためリハビリの拡充から着手

2012年に兵庫県西宮市で開業した医療法人社団高遼会 整形外科たかひろクリニックは、開業以降、患者ニーズに即して整形外科領域での機能拡充を続けてきた。

「最初は、機能拡充などは考えず、まずは診療所経営を軌道に乗せるために試行錯誤していました。ただ、日々診察するなかで、同じ整形外科でも勤務医時代はかかわっていなかった領域も含め、それが必要な患者さんに提供できる体制が求められると、強く感じるようになったのです」と、飯田高広理事長は話す。

そこで、14年に最初に着手したのが、通所リハビリテーションだ。勤務医時代は手術に特化していた飯田理事長だが、診療所には術後のリハビリ不足で歩行機能が再び悪化したり、要介護になったという患者も多く訪れたことから、退院後の切れ目ないリハビリ体制の重要性を認識したためである。

同院隣の土地を買い取ってリハビリスペースを併設。さらに、通所も困難な患者もいたことから、15年には在宅医療や訪問リハビリも開始した。今では症状に応じて訪問から通所までシームレスに切り替えられる柔軟なリハビリが強みとなっている。


こうして、「自身の足で歩けなくなる患者さんを減らす」というミッションを掲げた同院。次に着目したのが、整形外科疾患に詳しいケアマネジャーの教育による質の高いケアプランの立案である。そのため、17年に居宅支援事業所「ケアプランセンターはるか」を開設し、同時に幅広いニーズに応えるべく訪問看護もスタートした。


この狙いを飯田理事長は、「術後早期にリハビリを開始し患者さんのADLが回復すれば、ご家族の介護負担を減らすことができます。自院でリハビリに精通したケアマネジャーを抱えて事業展開することで、迅速に患者さんとそのご家族とつながり、リハビリにつなげられます」と話す。

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手術まで一貫した流れをつくるため病院を承継

診療所では、手術へ至らないための保存的治療と、術後のADL向上に向けた柔軟なリハビリ提供に注力する一方、手術が必要な場合は連携先の病院や、飯田理事長が非常勤で人工関節手術をしている近隣病院などに紹介していた。


しかし、もっと自院でフレキシブルに手術対応ができる体制を模索した結果、18年に決断したのが、大阪市内の病院の承継だ。

手術をはじめとする診療所ではできない診療のカバーのほか、病院経営を通じて地域医療全体を俯瞰できるようにするといった狙いがあったという。これにより、整形外科の保存的治療とリハビリを担う診療所と、腰・膝などの手術を担う病院という流れができたほか、病院で整形外科疾患に関連する内科、外科、リウマチ治療などにも自法人内で対応できる体制が整った。


「承継には莫大な費用がかかりましたが、地域の患者さんにはあらゆる整形外科疾患に対応できる医療機関として認知してもらえるようになったと自負しています」と、飯田理事長。法人規模の拡大に伴い、スタッフのスキルアップや育成にも積極的に取り組み、増員するごとに研修や福利厚生、人事考課の体制整備に余念がない。

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日々のPDCAサイクルと経営改善が肝要

しかし、こうした積極的な機能拡充を実現するうえでは、法人全体としての事業の安定化が不可欠。その背景には、日々のPDCAを欠かさない経営努力がある。

たとえば、新事業で想定どおりに増患しなかった場合、その問題点を洗い出し、飯田理事長を含むスタッフ全員で検討し修正する機会を定期的につくっているという。


「どこに問題があるのか、患者さんからご意見や要望をヒアリングして分析したり、近隣施設への営業を強化することはもちろんのこと、患者さんへの説明方法はどうか、ホームページはわかりづらくないか、新たな専門職を雇用すべきか、などを検討して、細かい調整を常に続けています。その甲斐もあり、おかげさまで診療所の介護事業は現在、いずれも軌道に乗っています」


さらに、飯田理事長自身の研さんも欠かさない。近年では新たに専門医の資格を取得し、リウマチ外来やアンチエイジング外来、サプリメント外来といった専門外来も開設したほか、それに伴い、最新の骨密度測定装置の導入など、設備投資も行った。現状としては介護事業ほどのニーズにはまだなっていないものの、「困ったときに、ここに来れば相談できる」というオプションメニューとして認知されているようだ。


地域の整形外科領域を幅広くカバーできるようになった今、同法人が次の課題に捉えているのが、築55年以上の病院の移転だ。承継時に全フロアをリノベーション済みだが、災害時などに地域の急性期病院としての役割を果たすためには、いずれ移転は必要だと、飯田理事長は話す。

「地域の急性期病院として、災害にも強い病院建築を近いうちに叶えたいと思っています。また、その際には優秀な医師を採用してさらにパワーアップできるよう、少しずつ準備を進めていきたいと思っています」

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制作:㈱日本医療企画

(取材年月:20221月)



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PROFILEプロフィール

PROFILE

医療法人社団高遼会 整形外科たかひろクリニック

飯田高広理事長

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