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<著者>鈴木克己 鈴木克己税理士事務所

目次
01:資金繰り表を作成して今後の資金状況を検討する
02:税金や社会保険料を含めてあらゆる支払いを見直せ

資金繰り表を作成して今後の資金状況を検討する

新型コロナウイルス感染拡大以降、受診控えで収入が減っている診療所は多いと思います。加えて今後、職員の発症等、一定期間閉院せざるを得なくなるケースも考えられます。収入は減る一方で、家賃、人件費、リース料などの支払いが続くと、いずれ「収入<支出」となり、財務危機に晒されることになります。

想定される危機を乗り切るには、まず現在が「有事」であると認識し、有事にはどの程度の資金不足に備えるべきか、つまり“財務危機”の状況を明確にします。これには直近の実績を参考に収入減を考慮したシナリオを描き、資金繰り表を作成することがおすすめです。

資金繰り表の作成とは、今後の入金と出金を想定する作業です。入金は診療報酬の振込・自己負担金の日々の入金など、出金は医薬品等の支払い、人件費や家賃といった経費、税金、借入金返済に拠る支払いなど、これらを把握し資金繰り表に落とし込みます。

留意点は、必要以上に気合を入れ過ぎないこと。将来予測は正確なことに越したことはありませんが、有事であり速報性を重視して進めるべきです。過度に悲観的なシナリオを想定する必要はないものの、一定の減収を見込んで作成し、資金の流れを追いかけます。

資金繰り表の作成の結果、現預金の残高が必要以上に減る、支出を賄えず資金不足に陥る恐れがある場合、資金の調達や支出の先送りなどの対応策を急ぎ検討する必要があります。


<資金繰り表イメージ>
資金繰り表サンプル - コピー.png

税金や社会保険料を含めてあらゆる支払いを見直せ

財務危機を乗り切る方法は2つ。収入増か、支出減です。

①収入を増やす

新型コロナの収束時期が見通せない今、収入増は非常に困難です。ただし、資金的に言えば、金融機関からの借入も立派な収入です。幸いなことに国は積極的な資金支援を行う姿勢を示しており、診療所向けの資金支援策も出されています。要件も杓子定規な運用ではないようで、積極的に相談すべきです。

支援策については、最新情報を随時入手し、活用を検討しましょう。なお「経済産業省 新型コロナウイルス感染症関連」で検索すると主な支援策に関する総合的なパンフレットが入手できます。

②支出を減らす

無駄な経費を抑えることも大切ですが、有事だからこそ、普段とは違う対応も検討すべきです。

■税金・社会保険料の納付猶予

税金の納付を猶予してもらうことも検討します。税務署に個別に相談することで原則1年間の納付の猶予が受けられる場合があります。本来一括で納付すべき税金の分割払いが認められれば、足元の資金繰りの安定につながります。

申告期限の延長など柔軟な対応が用意されているので、顧問税理士や税務署に相談しましょう。そのほか、厚生年金保険料などの社会保険料も同様に猶予される場合があります。

繰り返しになりますが、有事を乗り切るには、“今が有事であること”をしっかりと認識することが大切です。有事であるがゆえに、さまざまな資金支援策が講じられます。顧問税理士や金融機関などに相談して、必要な資金支援策を積極的に活用し、資金の残高を維持することに努め、嵐が過ぎ去るのをじっと待ちましょう。

制作:日本医療企画

(取材年月:20205月)


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PROFILEプロフィール

鈴木克己税理士事務所 

鈴木克己

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