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<取材先>菅原祐樹 菜の花皮膚科クリニック 院長

目次
01:地域ニーズに応えるもヒトのマネジメントが課題に
02:一定数のニーズに着目しオリジナル化粧品を開発

地域ニーズに応えるもヒトのマネジメントが課題に

――2007年に「すがわら皮膚科クリニック」として岩手県一関市に開業。17年に現診療所名に改称、18年には分院を開設されました。現在までの道のりについてお聞かせください。


菅原●
本院は皮膚科、美容皮膚科を標榜し、前者は私が、後者は妻が主体で担っています。分院は、私の弟が循環器内科を担当し、皮膚科は本院の医師が週4日交代で外来を担当しています。

一関市は岩手県南部に位置し、全体的な医療資源も少なく、特に皮膚科は少ないです。そのため、当院の診療圏も県南地域を中心に隣接する宮城県気仙沼市方面など、半径2030㎞で、車で往復2時間かけて来院される患者さんもいました。


幸いにも、本院で診られる患者さんのキャパシティーに近づいたこと、遠方の患者さんの利便性を高めるため、本院から東へ約40㎞の気仙沼市との中間地点に分院を出しました。法人全体の患者数は6月単月で約12700人、本院と分院の内訳は73くらいです。また、7年前から地域の在宅患者さんの皮膚疾患の訪問診療を受けており、今は150人ほど診ています。


スタッフも、常勤医師5人、非常勤医師5人、看護師13人、看護助手6人、事務職17人――など、法人全体で46人になり、17年に改称したのも、このように大所帯になったので、私の個人名よりも、幅広くわかりやすい名称のほうが良いと思ったからです。「菜の花」は一関市の花で、地域の人にもなじみがあります。


――人員が増えた分、スタッフマネジメントは大変かと存じます。


菅原●
そこは非常に苦労しました。開業当初の少人数のときは、医療経営セミナーや勉強会で勉強したことを実践したりと、自分なりに努力してやっていけていたと思いますが、人数が増えるにつれて私一人ではまったく手が回らなくなりました。スタッフ間でトラブルが起きてもうまく対処できず、一時期はそれが原因で離職者も出してしまいました。

そこで今年から、開業当初からの付き合いの信頼できるコンサルタントに、正式に事務長として入ってもらいました。マネジメント業務全般、特にスタッフの採用、教育、管理を任せています。人員配置やシフトの適正化など、手が回っていなかった部分も任せられたことで、組織もスムーズに回るようになったと実感しています。


私の精神的負担もとても軽くなり、診療に集中できています。また、診療面でも、今でこそ勤務医の皆さんを信頼し、基本的にそれぞれにお任せしていますが、最初は他の医師へ任せることに不安があり、勤務医の増加にともない、診療の統一を図るつもりでお願いや指示をしていましたが、言い方がよくなかったのか離職されてしまったこともありました。

逆に、お任せするようになってからのほうが、患者満足度は高くなったのか、患者さんは増えました。自分はそんなに大層な人間ではないと気づかされ、今は診療スピードが多少遅くても、やさしく人柄の良い先生であればよいくらいの姿勢を心がけています。

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一定数のニーズに着目しオリジナル化粧品を開発

――そのほか、経営面で苦労した点、改善した点はありますか。


菅原●
経営面については、開業してから勉強し始めたので、それこそ、お金に関しては本当に苦手で、何も知らないところからのスタートでした。銀行融資などにも無知で、正直いろいろな出入り業者さんも何も知らないまま割高な支払いをしていたりと、振り返れば開業当初は高い「勉強代」を払っていたと、反省しきりです。そのため、今は事務長の力を借りながら、さまざまな経費削減や経営改善の取り組みを進めています。たとえば、効果の検証なしに複数出してしまっていた看板広告などの整理や、カード決済手数料の引き下げ交渉、医療材料の仕入れ価格の見直しなどです。

――一方、別会社でオリジナルの化粧品開発・販売にも取り組まれています。

菅原●皮膚科を受診される患者さんのなかには、一定の割合で化粧品かぶれが原因の人がいます。おそらく、一般的な化粧品に含まれる防腐剤や界面活性剤などの化学物質が原因と考えられます。そこで、10年に株式会社ナキュアを設立して妻が代表に就任。化学物質フリーのオリジナルブランド「本当の無添加化粧品ワイエスラボ」の開発・販売を開始しました。日・米・シンガポールの3カ国で特許を取得しています。

ニッチな市場ですが、「この化粧品なら肌に合う」というリピーターが徐々に増えて、WEB主体で何万人もの方に利用いただいており、市販の化粧品が合わなかった方たちのニーズに応えられていると思っています。


――最後に、今後の展望・抱負をお聞かせください。

菅原●引き続き地域の皮膚科診療の受け皿を担いながら、今は盛岡市や仙台市などの中心部にしか実施医療機関がないような、最新の注射治療など、より専門性の高い皮膚科治療にも対応できるように、診療所としての医療の質の向上、領域の拡充を組織一丸で図っていきたいと考えています。


制作:㈱日本医療企画

(取材年月:20209月)


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PROFILEプロフィール

PROFILE

菜の花皮膚科クリニック

菅原祐樹 院長

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