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<著者> 株式会社M&D医業経営研究所 代表取締役 木村 泰久 認定登録医業経営コンサルタント

事業拡大期において最も挙がりやすい選択肢が「分院展開」です。ドミナント効果とシナジー効果が見込めるなどメリットはありますが、「良い物件」を見つけなければ始まりません。そのポイントを解説していただきます。

目次
01:分院を作る目的を明確にしておく
02:「開設できる場所」と「成功できる立地」は異なる
03:地域の競合に勝てる規模で作る
04:理事長が20分で駆けつけられる場所で開業する
05:理事長が分院で週2日診療する
06:分院経営に適した組織とマネジメント体制を構築する
07:分院開設の資金調達は、借入とリースを上手に組み合わせて検討しましょう

分院展開のメリットは、開業地域のリスクを分散でき、共通の看板設置で認知度を高められ、材料などの購買量が増えて廉価購買ができるなど、ドミナント効果とシナジー効果が得られることです。逆にデメリットは、医師やスタッフの人事労務管理が煩雑になること、借入返済や維持コストがかかること、さらに、分院長や中核スタッフの確保に苦労することです。


また、分院の開設に向くケースとそうでない場合があります。分院開設に向くケースは、本院の拡張が困難で、信頼できる「分院長にできる歯科医師がいる」、そして「徒歩でも車でも20分以内」の場所によい物件がでてきた場合、そして、「近隣の歯科医院を差別化できる規模」の分院を開設できる資金が調達できる場合です。

逆に向かないケースは、本院の増床や在宅歯科など他の成長戦略を優先すべき場合です。さらに、信頼できる分院長の人材を確保できない場合や既存医院を差別化できる医院を作るだけの資金を確保できない場合もやらないほうが無難です。


分院経営を成功させるには、次のポイントに留意する必要があります。



1)分院を作る目的を明確にしておく

「何のために分院を開設するのか」を明確にしておく必要があります。本院を年中無休にする、在宅歯科を拡大するなど、リスクが低い選択肢もあるからです。

2)「開設できる場所」と「成功できる立地」は異なる

よくある失敗が、親の持つ余った土地に分院を作るケースです。患者が集まりません。成功するには「だれがやっても成功できる立地」を選ぶ必要があります。

3)地域の競合に勝てる規模で作る

分院を成功させるには、地域の競合に勝てる医院を作ることが必要です。6台以上のユニット台数、複数の歯科医師、歯科衛生士とスタッフを確保し、1億円程度の投資が必要です。

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4)理事長が20分で駆けつけられる場所で開業する

理事長が20分以内に駆けつけられることで、勤務医やスタッフに緊張感と万一の際の安心感が生まれるからです。

5)理事長が分院で週2日診療する

理事長が週2日分院で診察を行うと、立ち上がりを肌で感じることができ、スタッフからの信頼を獲得できるからです。

6)分院経営に適した組織とマネジメント体制を構築する

指示伝達の手順を定め、分院との会議体をつくり、信頼できるスタッフを据えて連絡体制を作り、合同の忘年会やイベントなど、医院が一体となる場を構築する必要があります。

7)分院開設の資金調達は、借入とリースを上手に組み合わせて検討しましょう



監修:㈱日本医療企画
制作年月:2022年3月


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PROFILEプロフィール

株式会社M&D医業経営研究所 代表取締役 認定登録医業経営コンサルタント

木村 泰久(きむら・やすひさ)
1972年、関西大学商学部卒業。同年飛島建設に入社。2002年、 M&D医業経営研究所を設立。同年、文部科学省からLEC東京リーガルマインド大学教授号授与後、同大学教授就任。06年、M&D医業経営研究所を株式会社に改組。13年、公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会歯科専門分科会委員長に就任。

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