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<著者>日本クレアス税理士法人 大阪本部会長 上田久之

開業時には設備も揃えますが、採算見込みを度外視した「過剰投資」は避けたいものです。チェアの台数に応じた収入目標、返済目標等の事業計画を作成することがポイントになるようです。収支とのバランスという視点で設備を考えてみます。

目次
01:テナント開業の場合の開業コスト
02:テナント開業の場合の目標収入
03:テナント開業の場合の家賃と収入の比率
04:戸建開業の場合の開業コスト
05:チェア台数で決まる総コストと目標収入

歯科医院の開業でどのような医療機器の設備を整備すべきかについて、設備と収支の観点から考察してみます。



①テナント開業の場合の開業コスト

テナント開業の場合、設備関連で内装工事費2000万円、チェア3台とレントゲン等の機器で2000万円ほど必要になります。他にテナント入店保証金と歯科医師会入会金および開業費で1000万円、運転資金として1000万円を準備すると、総コストはおよそ6000万円となります。

②テナント開業の場合の目標収入

開業した初月から、いきなりレセプトが300枚になることは期待できません。徐々に収入は増えていきます。開業2~3年で安定した状態になった場合に、1年間の目標となる診療収入は、総コストの8がけ程度を目標とするケースが一般的です。6000万円の総コストの場合、診療収入は4800万円となります。患者数は、1日の患者診療単価を仮に6000円と想定すると、月20日診療で割り出すと1日の目標来院患者数は33人となります。

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③テナント開業の場合の家賃と収入の比率

テナント開業の場合、収入に占める家賃の比率が大きいと、利益の圧迫要因となります。

通常、家賃の収入に対する比率は8%程度で、それでも診療報酬の1ケ月分に相当します。家賃の収入比率は10%までに抑えたいので、逆に、月50万円の家賃がかかるのであれば診療報酬は月500万円が目標となります。

④戸建開業の場合の開業コスト

戸建開業の場合は、テナント開業で必要な内装費、テナント保証金は不要ですが、その代わりに土地代、建築費がかかります。建物の面積、住居併用かどうか、土地の面積により、一概にいえませんが大都市圏においては、1億円から1.5億円の開業コストとなることもあります。仮に開業コストが1.5億円かかる場合、テナント開業のように総コストの8がけで、年1.2億円の診療報酬が必要かというと必ずしもそうではありません。

戸建開業の場合は、テナント開業では月間収入の10%近くを占める家賃が不要で、かつ、不動産を取得するための借入金の返済期間は、2025年と長期に設定されるため、返済負担が軽くなるからです。

⑤チェア台数で決まる総コストと目標収入

歯科医院のメイン設備であるチェアの台数により、診療所の内装費、建築費、家賃、人件費と各種のコストは連動しますので、チェアの台数に応じた収入目標、返済目標等の事業計画を作成することがポイントです。

監修:㈱日本医療企画

制作年月:20223


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PROFILEプロフィール

PROFILE

日本クレアス税理士法人 大阪本部会長 

上田久之(うえだ・ひさゆき)
○姫路西高校から神戸大学経営学部会計学科へ。在学中に公認会計士試験に合格。日本の四大監査法人の一角をしめる新日本監査法人を経て、1982年、大阪市中央区にて開業。MMPG全国会常務理事・元歯科部会長、日本歯科医療管理学会会員。

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