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<著者>渡辺貴之 ネットワーク渡辺税理士法人代表社員 公認会計士・税理士・行政書士・コンサルタント

歯科医院の事業承継は大きく、「親子承継」「院内承継(勤務医への承継)「M&A(医院売却)」が考えられますが、このうち最も多いのが、「親子承継」です。承継がスムーズであったり、方針・理念を継続しやすかったりとメリットが多い一方、資金面での手当てなど、課題もあります。

 

親子承継における問題の一つに、「医院のお金の管理をいつから、どの範囲まで後継者に任せてよいか」があります。経営の承継をしていく以上、後継者は自身の医院の状況を判断し、適切な投資をして、収益を上げ、さらにその収益から生まれるお金で再投資をしていく必要があります。

しかし、先代には「息子・娘は経営の苦労を知らない。だからお金を使いすぎてしまう」という不安を抱えている方が多いのも事実です。

本記事がこうした不安を持たれている方の助けになれば幸いですが、私の答えは、「理事長を交代するまでは、お金の主たる管理は先代が責任をもって最終確認し、後継者は交代をするまで先代の許可をもらい投資を行っていく」というものです。

医療法人の財産は、先代が今までの苦労のもとに築き上げた財産です。しかし、医療法人に後継者が理事として戻り経営に携わるようになると、医療法人の財産についても、自分に自由な意思決定権があると勘違いされる方が多いです。

これは私の経験則ですが、そのように勘違いされる後継者ほど、前述の「経営の苦労を知らない(想像しない)」方が多いようです。親子であっても、経営面ではしっかりとシビアに考えていかなければなりません。理事長交代ができるようになるまで後継者が育ってきてから、お金の決定権を与えるようにしましょう。


pixta_47179835_L - コピー.jpgでは、どのように後継者を育てればよいでしょうか?


先代が会計事務所と打ち合わせをする際には必ず同席をさせ、まず医院の経営数値の感覚を覚えさせることから始めてください。後継者が、打合せの中で、各主要数値の基準値を知り、結果として「いくらキャッシュが残るのか」を把握できるようになることが重要なのです。

その後、先代の許可をもらい、数百万円単位の投資判断をし、投資の結果がどうなったかをしっかりと把握・分析することが次のステップとなります。

親子承継においては、退職金といった大きな支出があったり、承継時点で内装等を大規模修繕するケースが多く見られます。特に持ち分あり医療法人の事業承継では、先代から後継者に出資金の贈与を行う必要がありますが、退職金で大きな金額を支給しないと、後継者への出資金の贈与額が多額になり、それが医療法人のキャッシュフローをきつくしてしまいます。

ぜひ、しっかりと法人の損益やキャッシュの予測を立て、後継者に説明し、後継者のお金に対する教育を行ってください。


監修:㈱日本医療企画
取材年月:2022年3月


ランキング.jpg収入・費用.jpg2202208 サムネ - .jpg開業.jpg202208 サムネ - コピー.jpg

 

PROFILEプロフィール

PROFILE

ネットワーク渡辺税理士法人代表社員 公認会計士・税理士・行政書士・コンサルタント

渡辺貴之(わたなべ・たかゆき)
●慶應義塾大学商学部卒業後、大手監査法人にて中堅会社の上場準備支援業務に従事後、平成23年に渡辺税務会計事務所(現ネットワーク渡辺税理士法人)に入社。2015年1月に同会計事務所が税理士法人化し、社員税理士・副社長となる。18年11月、社長に就任。現在は会計監査業務だけでなく、経営コンサルティング業務、開業支援業務、医院承継支援業務も実施している。

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