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<著者>岩田義明 株式会社富士経営総合センター コンサルティング事業部チーフコンサルタント

歯科医院にかぎらず、医療機関で親子承継がある場合、これまでの先生を「大先生」、後継者を「若先生」と呼ぶ場合があります。この時に注意したいのが大先生と若先生の診療スタイルです。患者の多くは大先生のスタイルに馴染んでいると考えられます。スタイルや方針を変えるにしても、十分な移行期間を設ける必要がありそうです。

競争が激しい歯科医院の環境では、新規開業よりも、患者を引き継げる事業承継のメリットは大きいと言えます。経営が順調な医院を、承継者が適切に承継できれば、一定の収益と認知度、ブランドを獲得することができます。

注意すべきは、開業から長年経過し、集患に力を入れていなかった医院では、患者が高齢化しており、新患が少ないことです。

それでも、患者を引き継げることは大きなメリットなのは、本来なら、開業から広告宣伝を行い、徐々に認知度を高め、ブランドイメージを確立していくところを、ショートカットすることができるからです。

しかし、「患者が高齢化している」「自分の診療方針に合わない患者が多い」といった場合は、患者の引き継ぎがかえってデメリットになることもあります。

そうならないためにも、承継する側と後継者の診療方針が合っているかを事前に確認しておきましょう。患者を引き継ぐ際には、前院長が後継となる医師を紹介したり、連名のあいさつ状を発送したり、来院者のカルテ内容を引き継いだりすれば、患者は安心します。

引き継ぎがうまくいかないと、新しい院長へのクレームにつながりかねません。たとえば、自由診療の保証期間など、承継に当たってはっきりさせておく必要のある問題は、新しい院長になってもそのまま引き継ぐかどうか、事前に取り決めて告知しておくことも大切です。

開業から長年経過している歯科医院は、患者数は多いものの、新患が少ない場合があり、将来的に患者が減っていくことが容易に想像できます。実際の新患数だけでなく、ホームページの内容が適切か、SEO・MEOの対策を打っているかどうかを必ず確認しましょう。打たれていない場合には、ホームページを作り直し、SEO・MEO対策に取り組みましょう。

親子承継の場合、患者は、これまでの先生を「大先生」、後継者を「若先生」と呼ぶ場合もあると思います。大先生についている患者は、大先生と若先生のやり方を比較します。診療方針が一致している場合は問題ありませんが、異なる場合は患者から「大先生とは違う」と言われ、患者が離れるということが起こります。そのため、一定期間は引き継ぎ期間を設け、徐々に方針を変更するのが良いでしょう。



監修:㈱日本医療企画
取材年月:2022年3月


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PROFILEプロフィール

PROFILE

株式会社富士経営総合センター コンサルティング事業部チーフコンサルタント

岩田義明(いわた・よしあき)
●早稲田大学教育学部教育心理学科を卒業後、リクルートの関連会社で採用時の人の評価から、人事制度の設計など、人事全般を経験。その後経営全般に係る仕事を志向し、経営コンサルティング会社に転職。2011年より現職。現在は医療機関の経営計画作りから、目標を設定、達成のための具体的な行動計画への落し込みまで実施。PDCAサイクルを回すことで改善活動を継続させ、医院の体質から収益性の改善まで幅広く行っている。

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