• Facebook
  • Twitter
  • LINE

<著者>岩田義明 株式会社富士経営総合センター コンサルティング事業部チーフコンサルタント

一般的に、事業承継で設備を引き継げるメリットとして「引き継いだその日から診療ができる」点が挙げられます。親子承継ならば、当該設備についての細かなチェックもかなり省略できそうです。ただ、「診療内容」については親子の間で確認しておく必要があるようです。

歯科医院の価値は、「事業価値(事業としての生み出される利益)」と設備などの「資産価値」の2つから決まってきます。後者には、土地建物の他にも、医療機器や事務機器、家具など、さまざまなものがあります。ここでは、「設備」について取り上げます。

事業承継で設備を引き継ぐメリットは、引き継いだその日から診療ができるということです。

設備投資を継続的に行っている医院を承継する場合には、新規開業してすべて揃えるよりもはるかに安価で必要な設備を手に入れることができます。内装も定期的に更新されているのであれば変える必要もありません。

一方で、設備投資を行っていない医院を承継する場合は、必要な設備を追加で購入したり、内装を更新したりする必要があります。同時に、更新するために診療を休まなければなりません。

設備を引き継ぐ際の注意事項としては、引き継ぐ設備や医療機器・備品については、すべてリスト化し、それぞれの現在価値(もしくは資産台帳の簿価)を確認します。その上で、引き継ぐ予定の機械・器具・内装を確認し、不具合がないかをチェックします。

<資産となる項目>

●土地・建物もしくは内装工事(設備工事、外構工事などを含む)
●医療機器や事務機器
●医療法人の場合:出資金
●車両

●借入・リース等の債務

●材料・備品等の在庫
●賃貸の場合:敷金、保証金
●印刷物・広告・HP


そのため、継承にあたっての医院見学の際に、そのチェックを承継する側と後継者が一緒に進めておくべきです。そうすることで、引き継いだ後のトラブルを防止することができます。

その他、医療材料の在庫も必ず確認しましょう。特に高価なインプラントなどは、後継者が利用する予定があれば問題ありませんが、利用しないのであれば対象から外すと取り決めておきましょう。

リース設備などの負債の引継ぎをどうするかに関しては、レセコンなどについて、当事者だけで話を済ませるのではなく、リース会社に契約状況と残債(未払い金)を確認しておきます。その上で残債を引き継ぐ場合は、残債部分は売買価格から差し引くことになります。

親子承継の場合は、設備についての細かなチェックは必要ありません。むしろ、今後の設備投資についての方針が問題となります。

「先進的な治療方法をやりたい後継者」と「無駄な設備投資はさせたくない前院長」という構図になってしまうと、トラブルのもとと、なりがちであることも付け加えておきます。



監修:㈱日本医療企画
取材年月:2022年3月


ランキング.jpg収入・費用.jpg2202208 サムネ - .jpg開業.jpg202208 サムネ - コピー.jpg

PROFILEプロフィール

PROFILE

株式会社富士経営総合センター コンサルティング事業部チーフコンサルタント

岩田義明(いわた・よしあき)
●早稲田大学教育学部教育心理学科を卒業後、リクルートの関連会社で採用時の人の評価から、人事制度の設計など、人事全般を経験。その後経営全般に係る仕事を志向し、経営コンサルティング会社に転職。2011年より現職。現在は医療機関の経営計画作りから、目標を設定、達成のための具体的な行動計画への落し込みまで実施。PDCAサイクルを回すことで改善活動を継続させ、医院の体質から収益性の改善まで幅広く行っている。

関連サービス

👉事業承継で「ファクタリング」をお考えの方 アクリーティブ(ファクタリング)

事業譲渡の際の負債清算資金の調達やM&A資金の調達をご検討の方、業界最安水準のファクタリングサービスをご検討ください。東証一部上場である芙蓉リースグループのアクリーティブが提供するため、安心のお取引条件です。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE