• Facebook
  • Twitter
  • LINE

<著者>岩田義明 株式会社富士経営総合センター コンサルティング事業部チーフコンサルタント

事業承継で引き継ぐのは患者やスタッフ、設備など目に見えるものだけではありません。医院が育んできた雰囲気、そして経営を支えてきた経営・管理のシステムも承継の対象となります。患者、スタッフの安心感を得るためにも、こうした「目に見えないもの」にも配慮することが大切なようです。

目次
01:「診療方針・診療スタイル」の承継
02:「医院の雰囲気」の承継
03:「経営の仕組み」の承継
04:管理の仕組みの承継

01:「診療方針・診療スタイル」の承継

事業承継が行われた場合、今まで通っていた患者が全て来院するとは限りません。スムーズに承継するために、これまでの医院のやり方を一定程度、踏襲する必要があります。

そのため、診療方針や診療スタイル、治療技術レベルが合うかなどをお互いにすり合わせておくことが重要です。親族への承継の場合や、勤務医に承継する場合は「経営者が変わった」と認識されることが少なく、患者は比較的継続して来院します。

M&Aで、新たな歯科医院として「診療方針」を掲げる場合は、患者は新しい院長の診療を観察します。その上で、受け入れられるようであれば来院を継続し、そうでなければ離れていきます。

02:「医院の雰囲気」の承継

医院の雰囲気をつくっているのはスタッフです。患者から通い続ける医院は、治療への評価だけでなく、スタッフの言葉づかい、気づかいが素晴らしいことを高く評価されているのです。

経営者が変わったとしても、同じスタッフがこれまで通りの接遇を続けていれば、患者は継続して来院します。一方でスタッフが入れ替わってしまえば、それまで患者が気に入っていた雰囲気は失われ、患者が離れていく原因となります。

pixta_39510225_L - コピー.jpg

03:「経営の仕組み」の承継

院長が一人で頑張っている歯科医院か、スタッフも一緒に経営にかかわっている歯科医院かにより、その後のその医院の成長が変わってきます。

朝礼・夕礼やミーティングなどのコミュニケーションの仕組みがあれば、それを活かし、後継者の方針を浸透させることができます。業務マニュアルや教育マニュアルなどがあれば、その仕組みを活かすことで人材の育成ができます。

あらかじめ経営の仕組みができていれば、後継者はスムーズに経営面を引き継ぐことができます。

04:管理の仕組みの承継

後継者が承継する際に考えておきたいのが、経理や給与計算などの管理業務です。

M&Aで医療法人が買い取るのであれば関係ありませんが、後継者が初めて経営者になる場合は、必ず押さえておいて欲しいポイントです。

経営するためには、医療を提供する以外に、経費を把握し、支払いを行い、スタッフの労働時間を把握し、給与を支払わなければなりません。後継者自身が管理をするのか、配偶者に担ってもらうのか、誰か担当スタッフを雇うのかを決めておいたほうがよいでしょう。


監修:㈱日本医療企画
取材年月:2022年3月


ランキング.jpg収入・費用.jpg2202208 サムネ - .jpg開業.jpg202208 サムネ - コピー.jpg

 

PROFILEプロフィール

PROFILE

株式会社富士経営総合センター コンサルティング事業部チーフコンサルタント

岩田義明(いわた・よしあき)
●早稲田大学教育学部教育心理学科を卒業後、リクルートの関連会社で採用時の人の評価から、人事制度の設計など、人事全般を経験。その後経営全般に係る仕事を志向し、経営コンサルティング会社に転職。2011年より現職。現在は医療機関の経営計画作りから、目標を設定、達成のための具体的な行動計画への落し込みまで実施。PDCAサイクルを回すことで改善活動を継続させ、医院の体質から収益性の改善まで幅広く行っている。

関連サービス

👉事業承継で「ファクタリング」をお考えの方 アクリーティブ(ファクタリング)

事業譲渡の際の負債清算資金の調達やM&A資金の調達をご検討の方、業界最安水準のファクタリングサービスをご検討ください。東証一部上場である芙蓉リースグループのアクリーティブが提供するため、安心のお取引条件です。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE