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<著者>株式会社ヘルプズ・アンド・カンパニー 代表取締役 西村栄一


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介護はこの先20年は間違いなく「伸びる市場」であり、あとは「他社との事業の特色の区別化」「職員数不足を解消」さえできれば、成功の可能性は高いといえます。

ただし、伸び行く事業のブレーキ機能として「コンプライアンス」を充分に理解しておく必要もあります。
その一つとして、法定研修というサービスごとに実施しなければならない研修があり、介護事業を展開していくうえでは必ず法定研修を行わなければなりません。

通所介護事業での法定研修の場合は、大きく以下の3つに分けることができます。
研修には、対策委員会の設置、方針を定めること、定期的な研修開催、実例の検証を行うなどの要件が定められており、それに沿った研修の実行が求められます。


1つ目は、「個人情報保護」です。
いわゆる、個人の尊厳の保護やプライバシーの確保等に関わる研修です。

2つ目が「人権に関わる研修」
つまり、認知症や身体拘束、虐待等への対応に関するもので、特に「人権」については法定研修のなかでも重視されており、年に複数回の開催が必須とされています。

また、虐待防止に関する研修の場合、すでに一部の介護サービスでは義務となっていますが、2024年までに全サービスで虐待防止のための体制の整備を求めるほか、従業員に対し研修を実施することが求められています。

3つ目は「緊急時対応研修」です。
事故発生または再発防止、感染症・食中毒の予防及び蔓延防止、非常災害時の対策に関する研修が含まれます。
非常災害時に対応する研修は2024年度までに、全サービスで行うことが義務付けられています。

また法定研修に含まれてはいませんが、月例会議等の利用者ごとのケースカンファレンスにおいて、「介護予防及び要介護度進行予防に関する」話し合いが重要とされています。

これは、介護保険法の第一条の二項「悪化防止と介護予防」における事業所の義務と関連しており、介護予防及び要介護度進行予防に関して、事業所としてどのようにケアを考えていくのか学ぶ必要があります。
上記の法定研修の3つのほかに、この件についても研修を行うようにしてください。

「業界のことは何もわからないから、すべて専門の職員に任せている」という言葉が、私の知る介護事業所の「失敗」で一番多い事例です。
経営者であれば、「任せること」「任せてはいけないこと」の区別もしっかり知っておく必要があります。
経営者自らが介護のことをちゃんと勉強したうえで、挑むことを切にお願いします。


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研修を実施するうえでは、「実地指導・監査」についても確認しておきましょう。
これは、各事業者に対し記録帳票類の記載や、法定研修の実施状況、人員配置基準を満たした運営をしているのか等を行政が確認するための、3〜6年に一回以上行われる定期検査と言えるものです。

この「定期検査」を甘く見てはいけません。経営者曰く、「私たちは記録や帳票類のために介護をしているのではなく、人を見てサービス提供しているんです。優先順位の第1位は人です」という言葉は素晴らしい表現なのですが、実は、これはコンプライアンスから大きく道を外れていく言葉でもあります。

記録帳票類を揃えなくてもいいということではありません。ましてや優先順位2位でもありません。絶対1位です。

なぜならば、他業界と介護事業が大きく違うのは売上の占める89割は、ほぼ国や行政からの給付で占められているからです。
給付であるということは、法律に沿わなければならないということです。定められた法律は「厳守」しなければならないのです。

また、「我々は地域の発展のために、また生活困難者のためにどこにも負けないサービスをやっているんだ。多少のルール違反があったとしてもそれは許してもらえるはずだ」、という道を外れた言葉も残念ながら経営者から聞くこともあります。

これも許されることではありません。実地指導や監査によって、巨額な返還や指定停止処分を伴う処分をたくさん見てきましたし、私自身も経験しました。世に言われる「正論」であればあるほど通用しない。それがこの業界なのです。



監修:㈱日本医療企画
制作年月:2022年3月



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