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<著者> 株式会社ねこの手 代表取締役 伊藤亜記


介護事業者が守るべき法律は介護保険法だけではない 

目次
サービス開始に欠かせない指定手続き
介護事業所が守るべき介護保険法
介護保険制度における法令遵守の考え方
通所介護事業で忘れてはならない消防法

サービス開始に欠かせない指定手続き


介護保険サービスを提供する上では、都道府県知事や市町村長からサービスの種類ごとに指定を受ける必要があります。

「指定居宅介護支援事業者」「指定居宅サービス事業者」「介護保険施設」の3つの指定があり、指定を受けた事業者を指定事業者と言います。

申請場所

指定を受けるためには、その事業所が立地している各自治体窓口に申請書類を提出します。

たとえば東京都の場合、施設サービスについては、「福祉保健局 高齢社会対策部」に、地域密着型サービスを除いたそのほかのサービスについては、「東京都福祉保健財団 事業者支援部事業者指定室」に、地域密着型サービスについては各市区町村に申請します。

指定スケジュール

指定までのスケジュールは各地方公共団体によって異なるので、詳細は各自治体窓口にお問い合わせ下さい。

申請に係る事前相談

申請に係る質問受け付けや事業者の事業計画の確認等を行います。(希望者が「福祉保健財団 事業者指定室」に電話で予約することで行えます。)

この事前相談は必須ではないですが、事前相談を行った方がスムーズに手続きを進めることができます。


なお、コロナ禍においては、事前確認はメールで必要書類を送るように指導されていますので、電話される際には送信先メールアドレス等の確認もして下さい。

指定申請(指定前研修)の申し込み

申し込み期日は、指定(予定)日の3カ月前末日です。

指定前研修の受講

指定前研修は必須です。

新規申請(申請書の提出)

指定前研修を受講した後、申請書を作成の上、「福祉保健財団 事業者指定室」に申請日時の予約を行った上で新規申請を行います。

受理

申請受付期間内に受理される必要があります。記入漏れや書類の不備があった場合には受理されません。

審査

申請内容が人員、設備および運営基準を満たしているかの審査を行います。

指定

毎月1日付けで指定を行います。


介護事業所が守るべき介護保険法


介護保険法とは、1997年12月に公布された法律です。


1号保険者の要介護認定の判定で、要支援・要介護の基準に該当した方(その状態になった原因を問わず)、2号保険者の要支援・要介護の状態になった原因が「主に老化が原因とされる病気(特定疾病)」である方の尊厳の保持と自立した生活を支援するために、国民が負担する介護保険料や税金を財源としています。

日常生活の行為にかかるさまざまな介助やリハビリなどのサービスにかかる給付を、介護予防や重度化防止で行うことを目的にしています。

保険給付によるサービスを受けるには、原則として要支援・要介護の認定を受けることが必要です。制度自体は2000年4月からスタートしていますが、基本は3年に一度介護報酬改定が行われ、見直されています。


介護保険制度における法令遵守の考え方


介護保険制度は、40歳以上の国民から集めた保険料と公費(税金等)により運営する、公的な性格が非常に強い制度です。
このため、サービス提供を担う事業者は基準を守った適正なサービス提供だけでなく、法令の自主的な遵守が求められます。

介護保険指定事業者に係る主な関係法令

国:法律 介護保険法(平成 9 年法律第 123 号)/ 政令 介護保険法施行令(平成 10 年政令第 412 号)

東京都の場合:介護保険法施行条例(平成 24 年 10 月 11 日 条例第 116 号)

介護事業と労働法

労働法とは労働基準法、労働安全衛生法等、労働に関連する法律を総称したものです。

2012年4月施行の改正介護保険法により、労働法の遵守ができなかった場合(具体的には労働法の規定で罰金刑に処せられたとき)、都道府県(地域密着サービスの場合は市町村)から指定を取り消される可能性もあります。

介護事業所を運営していく際には、人材定着や採用においても、日頃の働く人材の労務管理が要となりますので、労働法は、その上でもとても大切な法律となります。


通所介護事業で忘れてはならない消防法

介護保険事業の指定を受けるには、事前に消防法にかかる届出・確認も必要になります。

通所介護を提供する地域の管轄消防署に対して、2方向の避難経路の確保等の建築や用途変更にかかる工事の着工7日前までに「防火対象物の工事等計画書」等を提出し、消防署の指示に従います。

介護サービス事業の種類によって異なりますが、自動火災報知設備(消防署へ通報する火災報知設備の連動も)、消火器、スプリンクラーなどの設置も必要になります。

これらの工事が完了したら、事業所指定の申請までに、消防の立ち入り検査を受けなければなりません。変更する場合も届出が必要になります。上記の消防法の規定に違反した場合、30万円以下の罰金または拘留などの罰則が科せられる場合があります。

通所介護などの立ち上げ時、介護保険法を遵守して建築・改築を実施したが、消防法に引っかかって指定を受けられなくなるケースもありますので、消防法も確認しておきましょう。



監修:㈱日本医療企画

制作年月:2022年4月


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PROFILEプロフィール

伊藤 亜記 (いとう・あき)

株式会社ねこの手
代表取締役

短大卒業後、出版会社へ入社。祖父母の介護と看取りの経験を機に、社会人入学にて福祉の勉強を始める。1998年、介護福祉士を取得。介護老人保健施設や大手介護事業者を経て、株式会社ねこの手を設立。国内外の介護施設見学ツアーの企画、介護相談、介護事業所の運営・営業サポートなど、精力的に活躍中。

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