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<著者>株式会社ヘルプズ・アンド・カンパニー 代表取締役 西村 栄一


事業承継における「経営」について、テクニック論の前に、心構えについてお話しします。

まずは、自分の経営権を他者へ「譲渡する」ことは、事業をゼロから始める以上に慎重に進めなければなりません。もちろん、逆に、事業承継を「受ける側」も、必ずしも、プラスのアドバンテージから事業開始できるとは限りません。場合によっては「しまった!」というマイナスからの事業開始もありえます。

ちなみに、私は、10年近い付き合いであり、友人関係ともいえる、ある経営者から「互いの信用がなによりの担保」という忖度で、事業を引き受けてしまったばかりに、大失敗したことがあります。
そのエピソードなども踏まえて、以下のアドバイスをしたいと思います。

1つ目は「人を信用してはいけない」。

端から人を疑って構えろというわけではありません。そこは、一定の大人の振る舞いが必要になるところです。振る舞いとは、たとえば「湖面を泳ぐ白鳥」のように見た目は優雅でいて、人当たりがよくニコニコと振る舞い、人から見えない心、つまり水面下では足をばたつかせているように最悪な事態を想定しつつ、「行動や洞察を継続すること」が大事なのです。

2つ目は「何度でも言う、伝える」です。

同じことでも3回は言うこと。そして4~5回目には現物や事実を見せることで伝える。6回目はわかりやすく、並べて見せる。7回目はさらにわかりやすく不要なものを省いて、簡単にしてみせる。8回目はそうすることで「だれが得するのか、損するのか」を判断させることです。

しつこいようですが、これも私の事業譲渡を受けた際の経営の反省からの賜物です。
私も友人から事業譲渡を受ける際に、「しつこい」と思われたくなく、仲良く、スマートに手続きを進めていました。

たとえば、友人側から「そちらで士業を揃えるのもお金がかかるだろうから準備しておきました」と弁護士、会計士、行政書士等を手配いただき、当社側にも同じように士業がいるのに手を抜いてしまったり、概算としての決算書を概観しただけで、企業価値評価をその専門家に委託しなかったり、「友人だから」ということを理由として「しつこさ」がなかったばかりに、大きなロスを生んでしまったのです。

お互いに10年積んできた信用でさえあっという間にゼロになってしまいました。私も悪かったと今でも反省しています。犠牲になるのは、相手と自分だけでなく、職員、利用者、その家族、取引先、無限にその弁済は広がってしまうのです。怖いです。

3つ目は「人を裏切る人ほど、信頼おける人の条件を満たしている」ということです。

「あれ?それは違う」と反論する人もいるかもしれません。しかし、本当の悪人ほど「他人の話をよく聞く」「よく気がきく」「弱者の味方」「明るい」「ざっくばらん」「気前がいい」です。先に挙げた私のいくつかの失敗で共通することです。「信用おける人って!?」と悲しくなったものでした。


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では、テクニックの話に移ると、事業承継後の経営については、職員や利用者、事業所周辺への配慮というのが大切になります。

まず、職員、利用者への配慮の1つは、前任の事業所で行われていた会議や研修、利用者家族との懇親の場等は、最初の3カ月はそのまま引き継ぐことが大切です。3カ月の間に「要るもの・要らないもの」のヒアリングを職員や利用者ごとに個別で行います。

個別で行う理由は、全員にその場で聞いても本音は一部からしか収集できないからです。
一部の声が全体を動かすことは「経営の方向性」を間違えてしまうきっかけとなってしまいます。「声なき声」に経営のヒントが必ずあることを見逃さないでください。それにより、本当に前任者にも見えなかった発見ができます。

事業所周辺への配慮についてですが、「事業所のある地域の自治会長を知らない」という事業所がかなり多い印象もあります。

「ビジネス」と割り切って、それに伴わない関係者との付き合いはしないのも一案かもしれませんが、我々のビジネスは、どこを切り取っても「人」です。どんな商売よりも「人」無しでは成立しない事業です。向こう三軒両隣の名前と顔、地域のキーマンの数名は確保しておくことが重要です。

実は、そういうことも前任者の事業でお取り引きのあるケアマネジャー等からのヒアリングで情報を得ることができるかもしれません。偏った情報もあります。精度を高めるためにたくさんの専門職から情報を収集するようにしましょう。

テクニカルな方法ではありますが、「なにもわからないので教えてください」という姿勢と、「こういう点ならなんでも任せてください」という意見のバランスをもって「人」付き合いを広げていきましょう。


監修:㈱日本医療企画
制作年月:2022年3月


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株式会社ヘルプズ・アンド・カンパニー 代表取締役 西村 栄一

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