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<著者> 株式会社ねこの手 代表取締役 伊藤 亜記


介護保険法・条例等の遵守


介護事業の安定期において設備面で改めて意識したいこととして、介護保険法の人員配置基準・運営基準・設備基準の遵守があります。併せて各都道府県等の条例の遵守も必要になります。

介護職員処遇改善加算においては、「介護職員の資質の向上の支援に関する計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保していること。」が明記されています。内部監査においては「コロナを理由に研修が全く実施されていない」事例も確認されています。

経営が安定している時期だからこそ、オンラインも活用した研修が実施できるような設備の整備などを行い、加算要件を遵守しましょう。

また、開業時から日数が経ち、事業所の状況に変更が生じた場合は、変更後10日以内に変更届を提出する必要があります。

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変更届には、 ①事業所に関する変更 、②法人に関する変更 があり、これらが適切に行われているかの確認と共に、コンプライアンスとリスクマネジメントが適切に行われているかが、次の事業拡大のステップを踏む際も重要になります。

安定期によくある例としては、申請時に提出したレイアウトから変更した際に、設備基準を遵守しなければならないのに職員が理解をしておらず、変更届も出していないといったケースです。

これにより、行政指導を受けるケースもありますので、日頃から職員に対して周知徹底を行うようにして下さい。

この時期は介護システムなどのリースの満了を迎える時期にもなりますが、その際に、新たなシステム会社へ契約の切り替えを検討することもあると思います。データ移行や職員の利便性等をよく考え、現行のものを継続するのか新規に切り替えるのかを考えましょう。

<主なリース対象>
・情報機器関連(パソコン、サーバー、プリンタ、ソフトウェア)
・事務用機器関連(コピー機、シュレッダー)
・輸送機器関連(自動車、福祉車輌)

2021年度介護報酬改定では、LIFEの導入も始まっています。情報関連機器等ではLIFEに対応しているかどうかを確認することで、加算取得による収益増収に大きな影響があります。

今やシステムは、介護給付だけができれば良いわけではなく、ICT化に伴う介護記録の入力やアセスメント、通所・訪問介護計画書、モニタリングなども一元管理できることが、コンプライアンス上望ましいと言われています。

そのことも踏まえて、システム会社とは移行にかかる費用をはじめサポートも交渉し、適切な移行とその後の円滑な運営ができるようにすることが大切です。また、タイミングにもよりますが、補助金が活用できる場合は活用しましょう。

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過去の請求情報等を保管するだけの目的で、以前利用していたシステム会社をしばらく継続されるケースも見られます。その場合も利用目的を説明したうえで、費用面の交渉を行い、場合によってはPDFからCD-Rで保管するようにしましょう。

またWi-Fi環境なども古いままで使い続けていると、給付の際や外部研修受講の際においても、業務上で支障が起きますので、安定期においては時期に応じて見直しも必要です。

なお、2022年3月31日付で、厚生労働省は、「介護保険施設等の指導監督について(通知)」等を発出しました。

主な改正内容は以下のとおりです。


介護保険施設等指導指針の主な見直しの内容

≫実地指導について指導形態を次の①、②および③とする。

①介護サービスの実施状況指導(個別サービスの質[施設・設備や利用者等に対するサービスの提供状況を含む]に関する指導)
②最低基準等運営体制指導(運営基準等に規定する運営体制に関する指導)
③報酬請求指導(加算等の介護報酬請求の適正実施に関する指導)


上記のうち、施設・設備や利用者等の状況以外の、実地でなくても確認できる内容(上記②、③)については、介護保険施設等の負担増にならないよう十分配慮し、情報セキュリティの確保を前提として、オンライン会議システム等を活用することが可能である旨を明記する。

このことにより、実地指導の名称を「運営指導」に改める。

≫運営指導の実施頻度については、原則、指定等の有効期間(6年)内に少なくとも1回以上とする。なお、施設サービス・居住系サービスについては、現行での実施状況等を踏まえ3年に1回以上の頻度で実施することが望ましいこととする。

≫運営指導の標準化・効率化を推進する観点から、以下について明記する。

・標準的な確認すべき項目、文書による実施

・標準化、効率化による所要時間の短縮

・同一所在地や関連する法律に基づく指導、監査の同時実施

・確認する書類等の対象期間の限定

・電磁的記録により管理されている書類等のディスプレイ上での内容確認

・事務受託法人の活用





本来、指導監査については、2022年3月「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料」にも「利用者の自立支援及び尊厳の保持を図るためには、指導監督業務における集団指導や実地指導のより効果的かつ効率的な実施及び指定基準違反や介護報酬請求に不正が疑われる場合等に行う監査の適時適切な実施が求められます。」と明記されています。


「集団指導」「運営指導」を受ける施設等においても「日頃の人員配置基準・運営基準・設備基準等の法令遵守体制を評価いただくよい機会」と捉え、法人全体で前向きに対応してください。



監修:㈱日本医療企画

制作年月:2022年4月


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PROFILEプロフィール

伊藤 亜記 (いとう・あき)

株式会社ねこの手
代表取締役

短大卒業後、出版会社へ入社。祖父母の介護と看取りの経験を機に、社会人入学にて福祉の勉強を始める。1998年、介護福祉士を取得。介護老人保健施設や大手介護事業者を経て、株式会社ねこの手を設立。国内外の介護施設見学ツアーの企画、介護相談、介護事業所の運営・営業サポートなど、精力的に活躍中。

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