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<著者>株式会社ねこの手 代表取締役 伊藤 亜記


事業拡大期は、新たなサービスの展開を考えると思います。その際に考えるのが、保険外サービスの開始でしょう。1~3割負担の介護保険内のサービスと、すべて自費の介護保険外のサービスを組み合わせて提供することを、混合介護と言います。

混合介護を行うメリットとしては、利用者の自立支援に向けて、利用者自身およびその家族が充実したサービスを受けられるという点が挙げられます。
介護保険内のサービスを受けつつ、それだけではカバーできない、クオリティが高く広範囲の介護保険外のサービスも受けることで、生活の質を高めることができます。

混合介護で介護サービスを充実させることで、介護者の肉体的、精神的な負担を軽減することもできますし、介護者が仕事と介護の両立をされている場合には、保険内・保険外の両サービスをうまく組み合わせることで在宅介護の負担を軽くし、介護離職を回避しやすい状況をつくり出せます。

また、介護事業者側にとっても混合介護は介護報酬とは別の形での収益を確保できる貴重な機会でもあります。
収益が増えた分、昇給など職員の待遇を改善させることができるとともに、無資格の人材を確保しやすくなるというメリットがあります。


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「混合介護」をめぐって、厚生労働省は訪問介護と通所介護のルールを整理し、2018928日に「介護保険最新情報Vol.678として発出しています。
介護保険外サービスの目的や運営方針、料金などを別途定めることや、利用者の同意確認、担当のケアマネジャーへサービスの内容や提供時間を報告することなどについて定められています。

これらのルールの遵守を前提として、訪問介護では介護保険で認められなかった草むしりやペットの世話、趣味・娯楽への同行、家族のための掃除・買い物代行などが可能になっています。
通所介護では健康診断や個別の同行支援、物販、買い物代行などができると記載されています。

なお、介護保険外サービスに要した時間を介護保険内サービスの提供時間に含めることはできません。
通所介護の物販については、高額な商品を販売しようとする場合には、あらかじめそのことを家族やケアマネジャーへ連絡すること、なども求められています。

混合介護は利用者の多様なニーズに応えつつ、事業者の収益源を広げるメリットがあります。
ただし、守るべきルールがわかりにくく、自治体によって解釈が異なることも少なくありません。

現場から「グレーの領域には積極的に踏み込めない」といった不満が出ていたことを踏まえ、上記の通知が出ています。
詳細は通知で確認していただきたく思いますが、共通事項としては、以下のような内容が挙げられています(訪問介護の場合を例示)。

○ 利用者にその事業が指定訪問介護とは別事業であり、そのサービスが保険給付の対象とならないサービスであることを説明し、理解を得ること

○ その事業の目的、運営方針、利用料などが、指定訪問介護事業所の運営規程とは別に定められていること

○ 会計が指定訪問介護の事業の会計と区分されていること


なお、保険外サービスを行ううえでは、そのサービスに関連する関連法規(たとえば、物販などを行う場合は食品衛生法など)を遵守することも、意識しておいてください。

加えて、訪問介護の場合は、サービス提供が密室で行われるため、外部から不正が行われているのを発見しにくいという点が指摘されています。そのため、「過度な介護サービスの提供(過介護)による自立支援の妨げ」も懸念事項として挙げられています。

実際、「混合介護における介護保険外のサービスを過剰に取り入れることによって、要介護者の自立支援が妨げられ、悪循環を生んでしまうのではないか?」という指摘も多くあります。

要介護者本人の心身状態にとって「真に必要な介護サービスなのか?」を十分に検討しないまま、介護保険外のサービスを過度に利用すれば、要介護者本人の自立の機会を妨げ、「自分でやれることはやろう!」という意思や気力を要介護者から失わせる恐れがあり、そのことが要介護者の心身機能低下のリスクを高め、結果として「介護サービスに依存」する人を増やすことに繋がりかねません。

保険外サービスという制度を活用し事業を伸ばしていくことも大切なことではありますが、それにより利用者の自立を妨げては問題です。
「手は出さず、見守る」ことも介護に携わる身としての大切な使命です。


監修:㈱日本医療企画

制作年月:2022年4月




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PROFILEプロフィール

伊藤 亜記 (いとう・あき)

株式会社ねこの手
代表取締役

短大卒業後、出版会社へ入社。祖父母の介護と看取りの経験を機に、社会人入学にて福祉の勉強を始める。1998年、介護福祉士を取得。介護老人保健施設や大手介護事業者を経て、株式会社ねこの手を設立。国内外の介護施設見学ツアーの企画、介護相談、介護事業所の運営・営業サポートなど、精力的に活躍中。

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