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<著者> 野崎浩司 救急科専門医・麻酔科認定医

連載【第1回】はこちら ☞ 新米院長日記―開業への道― ネット検索で見つけた!誠実なコンサルタントとの出会い
連載【第2回】はこちら ☞ 収支計画作成を経て銀行が決定&SNSが夢を実現していく!


本稿執筆時、海外の死亡者数増加はもちろん、国内では志村けんさんの訃報、東京の感染者数増加と、この長く暗いトンネルから抜け出す気配はまったく見えておりませんでした。

このままでは、5カ月後に開業予定の自分にも影響がおよびそうな悪い予感しかしませんが、今はできることを考えながら、コツコツやるしかない時期だと諦めておりました。

さて、私は自院のコンセプトを、「内科、外科問わず何でも広く初期対応し、必要なら専門医へ。」というプライマリ・ケアをメインに考えています。

専門が救急・総合診療、麻酔であり、開業を考えたきっかけが「高齢者の救急搬送を1人でも減らしたい、健康寿命を伸ばしたい」なので、患者層の中心は、なるべく1カ所のクリニックで複数科の診療を済ませたいと考える高齢者を想定しています。

では、開業する札幌市郊外の厚別区は、そんな高齢者をターゲットとするのに適している場所なのか、改めて考えてみたいと思います。

目次
01:クリニックを飛び出し高齢者が集まる場でPR
02:ペインクリニックも強みに地域貢献を果たしたい

クリニックを飛び出し高齢者が集まる場でPR

厚別区は札幌市東部に位置する最も小さな区であり、人口は12万5716人(2020年3月時点)、ベッドタウンの江別市、北広島市とも接しています。JR(函館本線、新さっぽろ駅など)や地下鉄(東西線、ひばりが丘駅など)、札幌から旭川につながる国道12号などが走り、交通の便もよく住みやすい街として認識されています。

そんな同区には、新しい住宅やマンションが建ち並ぶ一方、建築から30年以上経った古い市営住宅も数多く残っており、札幌市内でも高齢化が著しい地区の一つにあげられています。

秋に入居するクリニックモール1がある「ひばりが丘タウンプラザ」にはバス停があって市営住宅からのアクセスもよく、敷地内には地域住民からの認知度が高い繁盛しているスーパーがあり、共同利用できる無料の駐車場は394台と十分すぎる広さを有していました。そんな高齢者の通院にとって十分すぎる条件が整っていることはメリットでもあるし、ここへの入居を決めた最大の理由でもあります。

とはいえ、クリニックをネット検索する割合が低い高齢者なので、待っているだけでは来院しない。そこで、院内のリハビリ室(ひばりコミュニティスペース)での講演会や、市営住宅に住む高齢者達が毎日集う「ホクノー健康ステーション」2にも出向き、出前講座や体操教室を積極的に行うつもりです。

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また、高齢者に来ていただくうえで追い風になりそうなのは、20年度診療報酬改定で初診・再診料の上乗せが200床以上の病院にも拡大されたことです。今まで上乗せのなかった近隣の200〜400床の総合病院には医療費の出費に敏感な患者や高齢者は行きにくくなり、近所の「何でも診るかかりつけ医」に来る流れが加速するでしょう(願望でもあるが)3

ペインクリニックも強みに地域貢献を果たしたい

そんな高齢者を中心としたプライマリ・ケア(外科処置含む)をメインとする一方で、「リハビリテーションを組み合わせたペインクリニック」に関しては、「得意なもの」として宣伝していこうと考えています。

今の施設では毎日最低2〜3例、年間600例近い超音波ガイド下神経ブロックを行っているので、さらにその技術を活かした運動器診断、ハイドロリリースも行っていく予定です。

3月にA病院の地域連携室に挨拶に行ったのだが、その際、「周辺地域にペインクリニック外来を行っている施設がなく、紹介先に苦労していたのでありがたい」と言っていただけました。

腰痛、頚肩部痛、坐骨神経痛、手足のしびれ、帯状疱疹後神経痛など、HPやパンフレット、健康講座などで患者さんはもちろん、医療機関にも積極的に啓蒙、宣伝していくつもりです。ちなみに、現在考えている広告・宣伝活動は、次のとおりです。

  • HP(ランディングページ作成済み)
  • FacebookとInstagram((仮称)厚別ひばりクリニックとしてすでに運用中)
  • 地域新聞(厚別区や江別市をカバーする「まんまる新聞」)への広告やコラム執筆(広告代理店を通じ根回し中)
  • 立て看板
  • 高齢者が集まる場所などへのパンフレットの配布(前述のホクノー健康ステーション責任者には挨拶済み)


「高齢者はネットをあまり見ない」とは言っても、5年、10年経てば、現在スマホを使いこなしている方が自動的に「高齢者」になるので、広告代理店の忠告に従いながら、ネット広告を中心とした宣伝活動をメインにしていくつもりです。

今月はここまで。したっけ4

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1:閉店したTSUTAYAを改装し、現在5クリニックが入居予定。同じ敷地内にスーパー、ユニクロ、パン・お菓子屋がある

2:高齢化の進む厚別区もみじ台団地の中心に位置するホクノースーパーが、店舗スペースの一部を利用し運営している高齢者の社交場。健康講座やヨガ教室などのイベント、各種サービスを提供し、ここに来ることが近隣の高齢者の生活の一部となっている。医療機関や企業、個人も協力して高齢者の健康づくりに寄与している(もちろん宣伝活動にもなっている)

3:開業地近隣の総合病院としては、JCHO北辰病院、札幌徳洲会病院などがある。どちらも276床、301床と200床以上であり、診療報酬改定による初診・再診料の上乗せがかかる施設となっている

4:北海道弁で、「では、またね」の意味

連載【第4回】はこちら☞ 新型コロナに振り回されながらも理念を掲げたホームページを開設!

監修:㈱日本医療企画

取材年月:20205


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PROFILEプロフィール

PROFILE

野崎浩司(のざき・こうじ)

厚別ひばりクリニック 

●1995年、旭川医科大学医学部卒業後、同大学で麻酔科蘇生科研修医、同年10月砂川市立病院麻酔科に勤務。旭川医科大学、市立札幌病院等を経て、2007年、沖縄へ。琉球大学附属病院、浦添総合病院救急総合診療部等を経て、2016年より札幌市の環状通東整形外科副院長

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