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<取材先>医療法人ゆうの森 たんぽぽクリニック 永井 康徳理事長

“残り1割”を看取るため有床診へ転換を決意

2000年に開業した医療法人ゆうの森たんぽぽクリニックは、16年に16床の有床診療所に転換し、「在宅療養支援病床&ホスピス・緩和ケア病床『たんぽぽのおうち』」を開設した。転換した狙いを永井康徳理事長は、次のように話す。

「これまでも、在宅療養支援診療所として患者さんの約85%を在宅で看取っていました。しかし、残りは介護力不足や不安から病院を希望されました。ただ、病院に行っても、新しい担当医や看護師と新たに関係を結ぶのは困難です。当院が病床を持っていれば、こうした患者さんを当院内で最期まで診ることができると思ったのです」


当初は、「トランジット※」「レスパイト」「看取り」の3機能を軸に開始したが、現在はさらに「食支援」「医療型短期入所」を加えた5つが、同院の柱だ。

たとえば、「食支援」については、医師、看護師、歯科医師、歯科衛生師、言語聴覚士、管理栄養士による評価・支援のほか、管理栄養士と調理師による食形態や調理の指導など、より専門性の高い食支援を提供している。


病床稼働率は約80%、在宅復帰率も約80%で、平均在院日数は1314日だ。「もし在宅療養が難しくなっても最期まで診てもらえる」という患者や家族の安心感はもちろん、「最期まで診られる体制があるから患者を紹介できる」という病院側の安心感にもつながり、紹介件数や看取り件数も増加。より重度の患者や、がんの緩和ケア患者の紹介も増えている。

*患者が急性期病院から在宅への移行前に一時入院し、在宅復帰準備などを行う受け皿を担う機能


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当初は赤字が続くも単価とニーズの合致で増収へ

とはいえ、最初から順風満帆ではなかった。病床開設にあたり、病棟勤務経験のある看護師を新たに採用し、組織改編を進めた。しかし、新規に雇用した看護師の病床の管理と、同院が目指す「在宅の延長線上にある病床」というイメージに齟齬が出た結果、病床の看護師が全員辞め、3カ月間病床を一時閉鎖する事態となった。

「結局、再度看護師を募集したうえで、今度は在宅経験が長い看護師2人をリーダーとして配置した体制を整備していきました。その間も、在宅の看護師と病床の看護師の意識のすり合わせなどに苦労しましたが、最近ようやく安定してきたところです」


こうしたトラブルもあり、開設後しばらくは月当たり数百万円の赤字を出した。だが、徐々に体制が安定するにつれて、地域からの評判とともに本体である在宅部門の増益と病棟部門自体の赤字幅も縮小。現在は、「医療型短期入所」が収益の増加に大きく貢献しているという。


「もともと、周辺地域でも人工呼吸器をつけた小児患者さんなどの預かりは以前からニーズが高く、単価もほかの機能に比べて高いため、経営的にも重要な機能になりつつあります。私は理念先行で始めましたが、やはり有床診として在宅医療を提供し続けるには、経営をいかに成り立たせるかは重要です」(永井理事長)


今後もこの5つの機能をさらに充実させながら、特に伸びしろの大きい「医療型短期入所」を軌道に乗せていくことが、同院の有床診としての生き残り戦略になっていくという。

取材年月:2020年10月

監修:日本医療企画


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PROFILEプロフィール

PROFILE

医療法人ゆうの森 たんぽぽクリニック 

永井 康徳理事長

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