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<取材先>株式会社エムダブルエス日高


大規模化と一口に言っても、漫然と大きなものをつくるのではなく、広さの確保と集客を両立させなければなりません。空間や組織の余裕を活かし、新しいことにチャレンジすることが大切です。

目次
「大きいことは良いこと」を地で行く大規模デイサービス
新しい技術の導入に次々に挑戦する
斬新なアイデアを実現することで地域の顔に
めざすは「かかりつけ」のデイサービス

「大きいことは良いこと」を地で行く大規模デイサービス

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デイサービスなどの複合施設「地域福祉交流センター」


群馬県一円で介護事業を営む株式会社エムダブルエス日高。そのデイサービス事業の要となっているのが、高崎市にある「地域福祉交流センター」です。デイサービス事業である「日高デイトレセンター」を中核とする複合施設です。

デイサービスの最大定員は何と400名に達します。建物の1階には広大なホールがあり、さらに、カフェスペースや機能訓練スペース、調理室、風呂、相談コーナーなどがあります。

2階も1階と同等の面積の機能訓練の場となっており、天候の悪い日でもウォーキングができるトラックも整備されています。さらに周囲に麻雀室、PC教室、図書室、機能訓練のマシン室、陶芸教室、ゴルフシミュレーションなどがあります。
保険外の事業として、55歳以上の人を対象とした会員制のシニア・トレーニングルームまであります。

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2階には、本格的なリハビリ機器を置いた機能訓練室があるほか、介護保険外のスポーツジムもあり、年齢に関係なく利用されている。


「さすがに緊急事態宣言が出た前後には、定員に対する稼働率は50%程度に下がったのですが、それ以降は徐々に持ち直しました。現在は80%くらいまで戻しています」と、同社の代表取締役である北嶋史誉さんは、状況を説明します。

同センターは、大規模通所介護(Ⅱ)を算定する全国でも数少ない大型事業所です。
大規模な事業所のデメリットとして、多くの利用者が集まれば集まるほど、利用者同士、あるいは利用者と職員のつながりが希薄になることがあげられます。

現在のような危機のときには、個人間の仲の良いことが、その場に行こうという動機になる場合があるし、危機が小さくなったときに実績を取り戻すのにも都合が良いように思えます。
しかし、必ずしも、そうではないと北嶋さんは言います。

「そこに集まる人が、程よい距離感を保てるのが、大規模デイサービスの良いところです。当センターとしては、いつ、誰に来てもらっても構いません。随時利用できる場所もありますから、センター内の自分の好きなところへ行っていただいて構わないのです。
ご利用者様にもいろいろな人がいます。濃密な関係のなかで利用者間のトラブルを抱えたり、人間関係にいやな思いをしたりということもあり得ます。そういうことが、当センターにはありません。そういう人から距離を置くことができるからです」と、北嶋さんは語ります。


もちろん、デイサービスとしての基本は外しません。

バイタルチェックに始まり、入浴、食事、レクリエーションなど。そこには、ただケアマネジャーに紹介された利用者が来て、ホールに座らされ、レクを押しつけられる……といったような窮屈さも感じられません。
距離感と自由さが、居心地のよさにつながります。

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大勢が集う1階ホールのテーブルには、テーブル上にパーティションを設けて、エアロゾルが飛散しないように工夫をしている。利用者も思い思いの場所に分散して時間を過ごす。



同センターのような事業所が、どこでもつくれるというものではないのも確かです。
人口希薄な地域では土地は入手しやすいでしょうが、大規模な施設をつくっても定員を満たすほどの人が集まりません。

大都市では人が集まっても、大きい施設を建てる土地を確保することが難しい。大規模化といっても、簡単に実現できるわけではないのです。

「当センターは十分に大都市である高崎市と前橋市の市境の地域に立地していますから、1個の政令指定都市に匹敵する商圏人口があります。
それでいて、両市の郊外部にあたり、広大な土地が入手しやすかったのです」と、北嶋さんが語るように、ここには大規模デイを成立させる好条件が整っていたのです。

新しい技術の導入に次々に挑戦する

「せっかく大規模施設をつくって運営に余裕もあるのですから、どんどん新しいことにチャレンジしていきたいと思っています」と、北嶋さんは語ります。

同社は医療法人社団日高会が形成する日高グループの一翼をなしており、このグループには介護・医療のICT化に取り組む会社・法人もあります。
それらと協力して、業務のICT化も進めているし、デイサービスのオンライン化も進めています。

特に「ICTリハ」と呼ばれるアプリにより、リハビリの利用者のデータをクラウドに集積。最適なリハビリメニューを自動的に作成しています。
そうしたICT基盤を活かして、さらなるチャレンジに乗り出しています。

「現在の新型コロナ禍において、デイサービスの訪問事業への振り替えや電話を使っての確認業務に介護報酬が付くようになりました。これは一つのチャンスであり、デイサービスのリモート化を進め、リアルなデイサービスとの組み合わせで『ハイブリット・デイサービス』を展開しているのです」と、北嶋氏は解説します。

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これはデイサービスに行きたいが、新型コロナ感染症を避けるなどの理由により、自宅に待機している利用者に向けて考案したものです。そうした利用者のスマホに専用アプリをインストールしてもらいます。

そのアプリを立ち上げると、簡単に同社のデイサービスにアクセスでき、テレビ電話機能を通じて、バイタルのチェック、簡単なリハビリ指導、各種の相談、デイに来ている利用者との会話などができます。

「普通デイに来れば、挨拶してまず、バイタルをチェックします。同じタイミングで、自宅にいる人にもスマホでアクセスしてバイタルをチェックします。
さらに食事やリハなどのアクティビティのタイミングを合わせて、自宅のご利用者様とアクセスすれば、居ながらにして事業所に来ているような疑似的なサービスが行えるわけです」と、北嶋さんは説明します。

常時ではなく、今回のコロナ禍のような緊急事態下や、災害後の交通途絶が生じた場合に、特に有効な仕組みだと考えており、リアルなデイサービスと組み合わせるから「ハイブリット」となるわけです。

高齢者にはスマホの取り扱いは難しいと思われるかもしれませんが、その点でも万全です。

「ガラケーでもアクセスできるようにしています。また、弊社では保険外事業でエックスモバイルの代理店も展開しています。当センターで相談してもらえれば、スマホの購入の手続きもできますし、PC教室と平行してスマホの教室も行っています。一貫して対応できます」と、北嶋さんは笑顔を見せます。

斬新なアイデアを実現することで地域の顔に

もともとエムダブルエス日高は、斬新なアイデアに次々に取り組んできました。

たとえば、「フレッシー便」。これは、地元のスーパーであるフレッセイと提携して、各事業所に移動販売車を回らせるサービスです。
足腰が弱ったり、近くのスーパーがなくなったりして、遠くまで買い物に行くのが大変になったという利用者が、各事業所の駐車場に乗りつけた販売車で買い物をします。

買ったものは、送迎車で利用者自身ともども運んでもらえます。足腰が弱ったり、車の運転ができなくなったりして、買い物難民となっていた利用者には好評のサービスです。
また、毎週火曜日に市内の各所を巡回する「モバイルスーパー」も行っています。

AIによる最適配車を可能にしたシステムを活用し、非通所日の利用者を送迎車に相乗りさせ、目的地で降ろす「福祉Mover」など、次々にユニークなアイデアを実現することで、地域における知名度を高めています。

また、「福祉Mover」を使った相乗りは、新潟県の阿賀野市でも実験を始めており、介護業界全体にも波及する様相を見せています。ネットを介して現場の声を集め、「KAIGO FUTURE」のように、介護業界全体のイメージアップを狙う動きもあります。


介護100_MWS日高PH5.JPGNECとの共同でスタートした「KAIGOFUTURE」。スマホやPCでアクセスできるサイトから、全国の介護現場の声を集め、介護のあり方を変えていこうというプロジェクトだ。



めざすは「かかりつけ」のデイサービス

次々に新しいアイデアを実現しているエムダブルエス日高ですが、決して奇抜さを狙っているわけではありません。

「孤独や社会的孤立といったものを解消し、ご利用者様の自立支援のお手伝いをするためにも、デイサービスは不可欠な事業であると考えています。その大切な事業を継続させるためにも、さまざまな経営努力が必要になります。
確かに介護報酬の基本的なところでは苦しい状況が続いてきましたが、新型コロナウイルスの問題などもあって、厳しい規制が緩んでもいます。それを利用しない手はありません」と、北嶋さん。

特に地方都市では、大規模化がデイサービス経営の存続の鍵を握っていると考えています。ですが、前述のように大規模化はどこでもできるわけではありません。

「それならば、地域にサテライトのデイサービスをいくつか展開し、機能分担するという方法もあるでしょう。弊社でもこのセンターの近所に『日高在宅療養センター デイサービス』や『第2デイサービスセンター』があります。
小規模でも良いので、そういうサテライト的な事業所を持ち、入浴中心、生きがいづくりの活動中心、リハビリ活動中心などを打ち出し、短時間サービスで回転させていくという方法もあるのではないでしょうか」と、北嶋さんは提案します。

そうすることで、一つの地域に事業所が集まり、地域で主導的な事業者になれるかもしれません。そして、何よりも、福祉事業者として、利用者との関係性を構築することが大切だと言います。

「今考えているのは、『かかりつけデイサービス』という概念です」と、最後に北嶋さんは語りました。

もちろん、高齢者が介護サービスを受けていれば、地域包括支援センターやケアマネとも関係をもっているでしょうし、施設にいれば生活相談員だっています。
在宅でも、利用している事業所のスタッフとも密接な関係があるはずです。

「それでも在宅のご利用者様が何か困り事があったり、相談事があったときに、一番近くにある介護事業所は、デイサービスのはずです。医療の世界では『かかりつけ医』ということが長年にわたって言われ、最近では『かかりつけ薬局』も制度にあります。
2025年に向け、高齢者介護の世界においても『かかりつけ』という気安く相談事に応じられる介護事業所が必要になってくると思います。その時には、デイサービスこそがその役割を果たせるように力を付けていく必要があると思います」と、北嶋さんは力強く語りました。

制作:日本医療企画㈱
取材年月:2020年8月



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PROFILEプロフィール

PROFILE

株式会社エムダブルエス日高

デイサービス10カ所、ショートステイ2カ所、訪問看護ステーション2カ所、居宅介護支援事業所5カ所、定期巡回・随時対応型訪問介護看護1カ所、サービス付き高齢者向け住宅1カ所など。

○株式会社エムダブルエス日高
群馬県高崎市日高町349
Tel:027-362-0691

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