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<取材先> 一般社団法人全国介護事業者連盟 副理事長 永井 正史



――現在、介護現場においてはどのような課題がありますか。

永井●要介護高齢者が増えているにもかかわらず、少子高齢化で介護の担い手が減っており、需給バランスが崩れているという、構造的な問題が挙げられます。

その問題解決には、介護の担い手を増やすことが必要です。そこで、解決策として挙げられているのが外国人材の導入です。

しかし、コミュニケーション能力や文化的な背景もあり、すべての要介護者に外国人材が対応できるかというと、難しいというのが正直なところです。
外国人材には、間接業務や高度なコミュニケーションが比較的不要な状態の方の介護を担ってもらうといった、ワークシェアリングの考え方で業務分担をしていくのが現実的だと思います。


――日本人の介護職を増やす方法はないのでしょうか?


永井●そもそも、日本人の介護職が増えない理由の一つに、給与水準が低いことが指摘されています。

これは、業務内容が他産業に比べて単純肉体労働の側面が強いことが、給与水準の引き上げを阻んでいるためと考えられます。また、社会的地位も低く見られているため、介護職をめざしたいと思う人材が生まれにくいという点も大きな問題でしょう。

こうした状況でできることとしては、介護職のイメージアップなどに力を入れていくことがあります。

たとえば、2025年に開催される大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」で、医療や介護・福祉がメインテーマとなっています。こうした場で、介護のイメージアップなどを図る展示などを行い、介護職の希望者を増やすことも大切です。
また、万博を通じて介護の現場を国内外から評価してもらい、介護の価値創出につなげていきたいですね。


――介護現場側ができることには、どのようなことがあるのでしょうか。


永井
働き方の見直しが必要です。介護の仕事は、直接介助、間接介助、周辺業務の3つに大別できます。

現在、ワークシェアリングの考えに則り、直接介助は日本人の介護職が中心となって担い、間接介助や周辺業務は介護業務に慣れていない外国人材やシニア人材などが行っていくという形になっています。

私は一歩進んで、肉体労働系はすべてロボットがやれるようになる世界を目指せればと考えています。
たとえば、センシング技術やスコアリング技術を活用して状態変化を予測し、先回りする指示をプログラミングしてロボットを動かす、といったことです。

利用者の移動を支援する機器により、転倒してもけがをしないようにサポートする、といったことも可能になると思います。
利用者の身体機能を向上させつつ、リハビリ等に伴う転倒リスクをテクノロジーで回避するといった考え方が、今後はより求められるようになるのではないでしょうか。



――介護現場ではテクノロジーの活用が思うように進んでいません。

永井●AIやIoTなどがなかなか浸透しない背景には、介護を科学的に見る人材が少ないということが挙げられます。

医師や看護師、理学療法士などは、仮説を立てたうえで対応策を考えるという思考を学びます。介護ロボットなどはそうした思考をもとに生まれたテクノロジーであり、医療者はテクノロジーを活用するのに抵抗がありません。
しかし、介護福祉士のカリキュラムにはそうした考え方を学ぶ項目はないため、活用に至らないという状況があります。

その一方で、スコアリング技術などが発達すると、新人でもベテランでも同じ結果が出る介護ができるようになります。
そうなると、個々の介護職の専門性は単純な身体介助では発揮しにくくなります。スキルアップを考えるのであれば、介護職はITリテラシーを高め、テクノロジーを活用できるようになることが必要となります。

また、テクノロジーを活用することで、介護職の働き方が変わる可能性もあります。
たとえば、肉体労働を介護ロボットが行うとなった場合、介護職は介護ロボットの働きや質などをチェック・判断する役割を担うことになるでしょう。

知識労働の割合が増えることで、介護職の社会的地位の向上にもつながることが期待できます。



(取材年月:2022年6月)



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PROFILEプロフィール

PROFILE

一般社団法人全国介護事業者連盟 副理事長 永井 正史

(ながい・まさし)●2004年に社会福祉法人慶生会に入職し、入居・在宅事業におけるリハビリテーションサービス提供体制を構築。特養でのリハビリの実践による職員全体の意識改革に始まり、北条ふれあいホーム開設時に当時全国的にも非常に珍しかったリハビリ特化型デイサービスの企画を担当する。
その後、慶生会内において大今里リハビリテーションセンターや舎利寺リハビリテーションセンターの事業企画から開設を担当する中で法人内にリハビリテーション室を整備。その後、常務理事を経て2018年に現職の理事長に就任する。
慶生会外においては、全国にリハビリ特化型デイサービスを普及させるポシブルFCチェーンの社長も担い、全国展開を実行した。また、社会活動として介護事業者の横断的組織である一般社団法人全国介護事業者連盟の設立発起に取り組み、設立時に理事に就任し、2020年6月より副理事長を務めている。

現職:社会福祉法人慶生会 理事長、医療法人快生会 常務理事など
資格:理学療法士、法務博士

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