<取材先>株式会社富士経営総合センター 岩田義明
ミスは誰でも起こしますが、それが本当に大きな影響を及ぼすのは、起きたミスを皆で共有できず、対処が遅れた場合であるとの指摘があります。この「ミス共有の遅れ」を防ぐには、「ミスを責めない」風土が重要になるようです。
ミスは誰でも起こしてしまいますが、できるかぎり減らしたいものです。誰もミスをしたいとは思っていませんが、ミスは起こります。本稿では、ある歯科医院で行ったミーティングの取り組みをご紹介します。
〇「ミス」は医院の評判を下げる
スタッフの皆さんに「ミスをする」とどうなるか順を追って尋ねていくと、図【悪循環】にあるように、最終的には「医院の評判が下がる」と答えていました。「ミスをなくす」とどうなるかを尋ねると、図【良循環】にある通り、「医院の評判が上がる」と答えていました。また、悪循環と良循環のどちらが良いかスタッフに尋ねると、全員が「良循環がいい」と答えました。
〇ミスは隠すと影響が大きくなる
今度は、「ミスがどうなったら困るのか」を聞きました。スタッフからは「ほかの業務に支障が出たら困る」「院長の機嫌が悪くなったらまずい」との意見がありました。さらに「どのような場合にミスの影響が大きくなりますか」と質問すると、「ミスしたことを隠していた場合」に影響が大きくなるとの意見で一致しました。
〇「ミス」を隠したくなる心理
一般的にミスを隠したくなるのは、「怒られたくない」という心理がありますからです。ミスを隠すことでどのような影響が出るかに思いが及ばず、「怒られる」「評価が下がる」という考えから離れられなくなっているのです。そのような気持ちになっている時には、指導されても「怒られた」という気持ちにしかならず、指導された内容は本人の頭には残りません。
〇「ミス」を認めることが、「ミス」を減らす第一歩
最後に「これまでに経験したミスを全部挙げてください」というワークを行いました。一定時間に、思いつく限りのミスを付箋に書いてもらうと、平均で一人10個以上のミスが挙がってきました。加えて、ベテランも若手も同じようなミスをしていたことも分かりました。
そこで筆者は、「誰でも同じようなミスをします。大事なのはミスを認め、すぐに報告し、リカバリーすることです」と伝え、起こったミスを自分だけでなく、先輩にも相談し、リカバリー策を打ち、他の業務にも影響をさせないことを重視すべきと強調しました。その上で、「再発防止のためにはどうしたらよいか策を考えること」を伝え、「リカバリー策と再発防止策」の検討につなげたのです。
制作年月:2022年8月17日
PROFILEプロフィール
株式会社富士経営総合センター コンサルティング事業部チーフコンサルタント
岩田義明(いわた・よしあき)
●早稲田大学教育学部教育心理学科を卒業後、リクルートの関連会社で採用時の人の評価から、人事制度の設計など、人事全般を経験。その後経営全般に係る仕事を志向し、経営コンサルティング会社に転職。2011年より現職。現在は医療機関の経営計画作りから、目標を設定、達成のための具体的な行動計画への落し込みまで実施。PDCAサイクルを回すことで改善活動を継続させ、医院の体質から収益性の改善まで幅広く行っている。
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