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【概要】
○厚生労働省の検討会が医療法人の経営情報のデータベース(DB)化に関する報告書をまとめた。

○医療法を改正して、医療法人立の病院、診療所(四段階税制適用法人は除外)に、病院会計準則に基づく損益計算書(収益・費用)の情報などの提出を求める仕組みを創設。医療法人の経営情報DBを構築し、分析結果の国の政策立案への活用や国民への情報提供を行う。

○法人の負担を軽減する観点から、貸借対照表(資産・負債など)の提出は求めず、既存の事業報告書等の情報を活用。給与費関連の情報の提出は任意とする。


 厚生労働省の「医療法人の経営情報(*資料1)のデータベースの在り方に関する検討会」は118日、報告書をまとめた。
医療法人設立の病院・診療所に収益・費用などの経営情報や職種別の給与に関する情報(任意)の提出を求め、医療法人の経営情報データベース(DB)を構築する新たな仕組みを創設。国の政策立案や医療従事者の処遇改善などに活用するほか、個別法人が特定できないように属性でグルーピングした分析結果を公表し、国民に医療がおかれている現状・実態を理解してもらうことに役立てる。今後、社会保障審議会・医療部会での承認を経て、医療法改正の準備に入る。

(*資料1)医療法人の経営情報資料1.jpg

(出典:厚生労働省 第1回医療法人の経営情報のデータベースの在り方に関する検討会(オンライン会議)参考資料より一部抜粋編集)



新制度は原則全ての医療法人を対象とするが、法人税制度で社会保険診療報酬の所得計算の特例措置(いわゆる四段階税制)が適用されている小規模法人は除く。
収集する経営情報は、病院会計準則に基づいて作成された損益計算書(収益及び費用)の情報。法人の事業形態が多角化している現状を踏まえ、対象事業は病院と診療所に限定した上で、医療機関ごとの情報提出を求める。資産、負債、純資産の情報は、施設単位で貸借対照表を作成していない法人が一定数あることから提出は求めず、各法人が都道府県知事に届け出ている事業報告書等の法人単位の貸借対照表を活用する。

目次
職種ごとの給与費合計額・延べ人数は任意提出項目に
第三者提供制度の具体策は施行後に検討、DBの運用等にはWAMが関与
医療法人の経営情報DBを23年度中に構築

職種ごとの給与費合計額・延べ人数は任意提出項目に

 給与費の関係では、処遇改善を議論する際の参考指標になる「職種ごとの年間1人当たり給与額」を算出するために、「職種ごとの給与費の合計額」と「職種ごとの延べ人数」の情報が必要になる。このうち前者は対象期間を暦年(直近11日から1231日)に設定。後者は「病床機能報告」の毎年71日時点の「職種別の人数」の活用を基本とし、同制度の対象外である無床診療所などの場合のみ、同じ71日時点の人数の報告を求める。ただし、財務諸表の作成には必要ない項目が含まれるなど、法人の負担が増える点に配慮し、これら給与費関連情報の提出は任意とする。

 

 施行時期は23年度のできる限り早期に設定。施行後に決算期を迎える法人から順次情報提出を求め、23年度中のDB構築を目指す。その際には、提出期限の延長や制度開始から一定期間は提出内容の簡素化を認めるなどの経過措置を設ける。

 

 医療法人の運営の透明性確保と医療がおかれている状況に対する国民の理解を促す観点から、国はDBに蓄積された法人の経営情報を分析し、公表する。その内容は、属性等に応じてグルーピングした分析結果のみとし、個別の医療機関の情報は公表しないこととする。

第三者提供制度の具体策は施行後に検討、DBの運用等にはWAMが関与

 学術研究などに利用目的を限定した「第三者提供制度(仮称)」も創設する。実際にはDBに一定数以上のデータが蓄積されてからの運用となるため、データの充実を見据えた施行期日を設定し、それまでの期間を提供対象となる情報の内容、利用目的の限定方法、再識別させないための方法、利用申請の適切性を審査する仕組みなどの検討に充てる。

 

 なおDBの構築・運用と経営情報の分析は、国と独立行政法人福祉医療機構(WAM)が連携して行う方向で検討が進められている(*資料2)

(*資料2)運用のイメージ資料2.jpg

(出典:厚生労働省 第2回医療法人の経営情報のデータベースの在り方に関する検討会(オンライン会議)参考資料より一部抜粋編集)

2022118日時点での情報に基づき作成)



医療法人の経営情報DBを23年度中に構築

 遡ること10月、厚生労働省の「医療法人の経営情報のデータベースの在り方に関する検討会」は、初会合を開いた。この中で厚労省は、原則、全ての医療法人を対象に財務諸表などの提出を求めてDB化するとともに、個別医療法人が特定できないように属性などでグルーピングした経営情報の分析結果を国民に公表する案を提示した。11月の検討会を受けて国は2023年度中のDB構築を目指すとしている。

 

 新たなDBとは、国による医療法人の詳細な経営情報の把握・分析と国民への情報開示を目的に構築。厚労省は、▽効率的かつ持続可能な医療提供体制の構築のための政策の検討▽医療従事者等の処遇改善の適正化に向けた検討▽診療報酬改定の基礎資料である医療経済実態調査の補完▽医療が置かれている現状や実態に対する国民の理解促進-などへの活用が期待できるとしている。医療法人の経営実態の把握では、行政による法人の監督・指導を目的とした事業報告書等の届出制度がすでに存在するが、趣旨や目的が異なることから、今回新たに創設する仕組みは別の制度として位置付ける。今後は、年度内のDB構築の全容に注目が集まる。



(編集:株式会社日本経営)


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