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<取材先> 公益財団法人テクノエイド協会 五島清国企画部長


介護現場における「生産性向上」に向けたICT活用や、2011年に始動した介護ロボットの普及促進に向けた取り組みが本格的に推進され始めたのは2018年頃。これ以降、毎年この分野に財源が確保されるようになり、その額や内容も拡充されている。これらの取り組みの現状や、現場での活用は実際どのように進められているのだろうか。

ICT、ロボット等の補助事業の実施主体となる各都道府県の状況や補助対象となる機器などについて、公益財団法人テクノエイド協会(東京都新宿区)の五島清国企画部長に話を聞いた。

目次
●利用者の立場でICT・介護ロボット活用を
●導入支援事業、各都道府県の助成 最新情報
●R5年度新たに設置「介護生産性向上総合相談センター」とは

――生産性向上に向けた、介護現場のICT活用の現状について、ご見解を聞かせてください。


五島●移乗用リフトやセンサー類など、入居系施設での活用事例がよく聞かれますが、在宅系サービスにおける活用も自発的に導入が進んでいるのではという感覚です。

施設のように1ヵ所に職員や利用者がいるわけではない環境だからこそ、連絡・連携のためのシステムやアプリが多くの事業所で活用されています。業界団体の勉強会などに参加した際に話を聞くと、事業所とヘルパーの連携、利用者とのマッチングなどにおいてもシステム化が進んでいることがわかります。

導入補助は厚生労働省によるもののほかに、経済産業省のものもあります。厚労省による補助は「地域医療介護総合確保基金」の利用が多く、実施主体は都道府県。2022年度のICT導入支援事業の概要は以下の通りです。


①キャプチャ.JPG(出所:厚生労働省資料より引用)



基本的には2分の1を下限に補助がなされますが、4分の3まで下限を引き上げるための要件も拡充されています

22年度は「ICT導入計画による文書量の半減」「ケアプランデータ連携システムの利用」の2つの要件が拡充されましたが、ケアプランデータ連携システムの本格稼働は23年度のため、この要件は機能していない現状です。

 

――介護ロボットの普及についてはいかがでしょうか。


五島●ロボットと定義される「①情報を感知(センサー系)」し、「②判断(知能・制御系)」して、「③動作する(駆動系)」という3つの要素技術を有するもののうち、ロボット技術が応用され利用者の自立支援や介護者の負担軽減に役立つ介護機器が「介護ロボット」と呼ばれます。

厚労省「福祉用具・介護ロボット実用化支援事業」においては、当協会でも開発・実証フィールド(開発中の介護ロボットの安全性や使用効果の評価・検証等に協力する意向を示していただける介護施設等)の募集をするなどして、介護現場「ニーズ」と開発側「シーズ」のマッチングを支援しています。

現在、ロボット介護機器の重点開発分野に位置づけられているのは▽移乗支援(装着・非装着)▽移動支援(屋外・屋内・装着)▽排泄支援(排泄物処理・トイレ誘導・動作支援)▽見守り・コミュニケーション(施設・在宅・生活支援)▽入浴支援▽介護業務支援――です。
実際に製品を比較して選ぶことができる機会は少ないため、当協会では、統一の基準で細かくスペックを示した介護ロボットの「試用貸出リスト」をHP上に掲載しています。

また、商品化された福祉用具・介護ロボットの導入を前提に、より多くの介護施設等において適宜・適切な介護ロボット等の利用の推進を図ることを目的とした「介護ロボット等の試用貸出事業」も実施。実際に試用することで利活用の検討につなげてもらいたい考えです。
プレゼンテーション1.jpg当協会では、介護ロボットの導入や補助の活用に関する実態調査を2018年度から実施。
今年度11月時点の調査結果も公表しており、4月には年間の確定値も出されます。都道府県ごとの助成制度の一覧も随時更新しています。
②②.jpg
なお、地域医療介護総合確保基金を利用した介護ロボット、ICTの導入支援補助額等の概要は次の通りです。

③.JPG④.JPG

(出所:厚生労働省資料より引用)



2020年度に、一律上限30万円であった介護ロボット導入補助額(1機器あたり)のうち「移乗支援」「入浴支援」のものについては上限が100万円に引き上げられました。ほかにも、見守りセンサー導入に伴う通信環境整備(Wi-Fi工事、インカム)の補助上限は1事業所あたり750万円に引き上げられ、補助台数の制限も撤廃されています。
さらに、国が定める一定のスキームを満たすことで、事業主負担を2分の1から4分の3まで小さくすることも可能となりました。


一方で、こうした拡充の実施は23年度までの扱いですので、24年の介護報酬改定において、引き続き補助の範囲内で取り組みを進めていくのか、あるいは報酬体系に組み込んでいくのか、注視して見定めていく必要があるでしょう。

また、製品のIoT化とクラウドシステムの普及により、在宅・施設を問わず介護DXが推進される中、カメラやデータの取り扱いについては、介護現場の生産性向上に向けたICT、ロボット技術の利用を推進するうえで建設的な議論が求められます。


――23年度以降のICT・介護ロボット導入支援は、どのように進められていくのでしょうか。


五島厚労省「令和5年度予算概算要求」が9月に出されましたが、地域医療介護総合確保基金において「介護生産性向上推進総合事業」に137億円が計上されています。ここで新たに示されたのは、「介護生産性向上総合相談センター(仮称)」の設置。

介護事業所における生産性向上の取り組みに係る各種相談や支援などを一括し、網羅的に取り扱うワンストップ型の総合相談窓口が、各都道府県に設置されることとなります。順次設置に向かうようで、基金からは3分の2の補助がなされる方針です。

24年度以降、全国で同センターの設置に向けて動き出すことが期待されます。基金から細かく実施されている補助のメニューを整理・一括できるため、介護事業者の方々にとってはワンストップで相談できるというメリットがあるでしょう。

当法人は、福祉用具や介護ロボットの調査研究、開発の促進、情報提供などを長く行ってきました。「生産性向上」においては、業務の工夫により「ムリ・ムダ・ムラ」をなくすという捉え方がありますが、介護・福祉は他産業とは異なり「生活の場」であるという認識は重要です。

利用者個人の生活において「ムダ」「ムラ」などあって当然だと思います。福祉用具や介護ロボットの活用が、利用者本人にどのように作用するのか、生活機能がどう向上するのかなどについて、今一度考える必要があるでしょう。

例えばリフトは、「コミュニケーションツール」でもあります。寝たきりの人がリフトを使って車椅子に移るということは、見える世界が変わるということ。リフトを動かすのは人の手であり、リフトを動かしているときにはふれあいや会話が生まれます。事業者においては、こうした福祉用具・介護ロボットの活用をどのようにケアプランに落とし込むかを検討し、プラン見直しの際にはしっかりと要・不要を見極めなければなりません。

自施設に取り入れる際、どのような活用がどういった効果をもたらすかという視点とともに、当事者の立場における「良い取り組み」を一層追求することが望まれます



制作:㈱高齢者住宅新聞社
取材年月:2022年11月


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PROFILEプロフィール

PROFILE

五島清国(ごしま・きよくに)

公益財団法人テクノエイド協会 企画部長
●1993/2~ 公益財団法人テクノエイド協会企画部
福祉用具・介護ロボットに関する調査研究及び情報の収集・提供、開発・普及に関する各種事業、評価、標準化に関する事業を担当

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