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<取材先> ㈱RARECREW 代表取締役 日下部竜太

保険外事業多角化 高齢者と周辺企業をつなぐ役割


入浴特化型の3時間型デイサービス「いきいきらいふSPA」や訪問介護、居宅介護支援など、東京を中心に全国22事業所で在宅介護サービスを展開するRARECREW(東京都台東区)。今年で創業20年を迎えた同社の日下部竜太社長に、事業モデルや資金調達・財務管理手法、新規事業などについて話を聞いた。


❶前編:業界初の入浴特化型短時間デイ「いきいきらいふSPA」開発から学ぶ
❷中編:赤字でも活用可能な「経営革新計画」の特別融資


保険外事業 売上比率1割を占めるまで成長


――保険外サービス事業にも積極的に取り組んでいます。


日下部●15年の介護保険制度改正議論の際に訪問介護の生活援助サービスを介護給付から外すという内容が示された時、在宅介護従事者には激震が走りました。その中には日常生活における買い物代行も含まれています。独居高齢者にとって日常生活品の買い物ができなくなることは、在宅生活の継続が困難になることを意味します。

こうした背景から、17年よりデイでの買い物サービス「いきいきらいふマルシェ」を開始。高価な商品よりも、日常生活で必要な食品などを中心に品目構成しました。重視したことはお客様自身が「選択」できることです。

また、食品・日用品に加え、デイなどの施設での衣料品販売事業「Flassy」もスタートしました。コロナ禍における高齢者の在宅生活の意欲向上を目的に、日常生活必要品である下着・肌着類をはじめ靴などの季節衣料品各種の販売を実施。

サイズや色、生地感なども実際に触って確認いただけるようサンプル展示を行い、リーズナブルな価格帯で提供しています。ファッションや日常生活を楽しんでいただけるような季節商品も並びます。

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実際に現在この事業単体での売上は、デイの介護報酬の減少分を十分カバーできる成果となっており、売上比率の1割を占めます。さらに「いきいきらいふマルシェ」の流通事業から様々なマーケティングデータを分析することで、外部企業とのアライアンスが結ばれるなど新しい事業展開につながっています。

また、行政からの委託により、買物弱者支援事業として東京都内の古い団地など、近隣に買い物に行くことが難しい高齢者集合住宅地における移動販売も実施。当社ではこれらのサービスを通じて、コロナ禍で打撃を受けているご当地食材や食品の販売協力も行っています。

さらに、限界集落地方への販売支援として、山梨県丹波山村の地域おこしに協力しています。地方の人口減少問題は都市部の比ではありません。その実情は今後の日本国内のあちこちで発生していくものです。

当社としては、ワーケーション先としての人材交流から始まって、現在は「QOLたばやま」にシニアマーケティング情報の提供と商品卸を開始しています。

当社の高齢者向け販売データを商品卸に活用することで、地域の活性化につながるよう協力しているところです。



シニアマーケットの可能性 高齢者の利便性向上にビジネスチャンス


――今後の展望について、聞かせてください。


日下部●創業20周年を経て、21年9月1日に社名を変更。株式会社RARECREWとしてリスタートを切りました。新社名の意味は、「世の中にないものを形にする稀有な存在の企業」として「人の可能性を大事に」し、「世の中に新しい発想でサービスや商品、価値を生み出していく」。そんな「稀有な人の集団」を指します。

同時に刷新した経営理念は「BEYOND THE BORDER」。介護業界、介護保険制度・サービスと言う小さな枠組を越えて、他者を助ける社会を創ることを目指します。

シニアマーケットには無限の可能性があります。提携企業等外部との共同開発や実地検証は、お客様の声を形にする上で必須となります。

活動メンバーの人材開発の為には、一般ビジネスキルの向上が必要。自身のスキルが一般市場でどう評価されるのかも可視化していく取り組みをしています。

お客様の声を形にするため、新規事業開発を行う中で、「いきいきらいふマルシェ」や「Flassy」などがすでに具現化されていますが、今後については、

・基盤モデル:短時間×入浴×中重度ケア×通所サービスの拡大

・リハビリ専門職・大学連携チームによる機能訓練プログラム開発

・シニアの生活実態調査による真のニーズデータ活用

・外部アライアンスによる新規事業展開

を基本方針として活動していきます。大手外部企業との商品企画や販売企画などテストマーケティングも始まっており、さらには、社会問題となっている高齢者へのデジタルトレーニングにも取り組んでいます。

<当社の事業内容>
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少子高齢化・人口減少が社会問題として叫ばれて久しいですが、人口が減少していくということは、ほとんどのマーケット(市場)の縮小を意味します。日本国内に限って言えば、シニアマーケットだけが膨らんでいくということです。

数年前より日本デイサービス協会・全国介護事業者連盟などの業界団体の理事や幹事を引き受けるようになり、立場的にも介護業界やシニアマーケットへの企業相談を頼まれるようになりました。

しかし、優秀なマーケティング部隊がいるはずの大手メーカーなどから、「なぜこのような商品開発になるのか」と思える相談が寄せられます。必要なのは、「高齢者の生活実態のデータや情報」だろうと考えるようになりました。

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多くの介護サービス事業者は介護保険制度のサービスで対応しようとするので、制度上で出来ないことは対応優先順位が低くなるため、介護保険サービスだけで解決できない課題や問題が山積みです。要介護認定者数は約690万人(22年5月末時点)に対して、介護保険給付受給者(サービス利用者)数は約400万人(同)となっています。

つまり、約290万人(約42%)もの方が、介護サービスを利用する目的で要介護認定を受け、サービスを使っていないのが実態です。様々な理由があるとは思いますが、実際に使いたいと思えるサービスがないという声も聞かれます。

高齢者の生活を支えていくには、保険外の自費サービスや様々な企業の商品・サービスを組み合わせていくことが求められます。私たち介護サービス事業者は、高齢者と周辺企業をつなぐ存在であるべきです。

生活の困りごとを解決するために、実際のお客様のニーズをしっかり周辺企業につなぐことで、高齢者の利便性が上がり、周辺企業には実のあるビジネスチャンスが生まれてくるはずです。



編集:㈱高齢者住宅新聞社
制作年月:2022年12月


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PROFILEプロフィール

PROFILE

日下部竜太(くさかべ・りゅうた)

RARECREW(旧社名 いきいきらいふ) 代表取締役
一般社団法人日本デイサービス協会 理事
一般社団法人全国介護事業者連盟東京支部 幹事

●2002年、部品メーカーの研究開発職から転身し、介護の世界に足を踏み入れる。訪問介護、居宅介護支援、福祉用具貸与、通所介護の立ち上げから安定運営ノウハウの構築を担う。
入浴特化型短時間デイサービスモデルを全国に展開。業態開発から標準化マニュアル策定を得意とする。新卒採用にも力を入れ、「若手を鍛える」研修講師、ビジネスコーチとしての顔も持つ。

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