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トピックス
01:医療・福祉分野の就業者は2040年に96万人不足、介護現場は生産性向上が急務
02:足元の介護職の有効求人倍率は3.6倍 訪問介護事業所の54%が「不足」と回答
03:生産性向上へ組織マネジメント改革も 「社会福祉連携推進法人制度」にも期待
04:4テーマで業務効率化の効果測定へ 電子申請・届出で文書負担の軽減も

医療・福祉分野の就業者は2040年に96万人不足

「人材確保」は社会保障における最重要課題-。

2022年版「厚生労働白書」では、「団塊ジュニア」世代が65歳超となる2040年に医療・福祉人材が96万人不足すると推計し、人材不足が一層深刻化していくとの見通しを示している。人材確保と生産性向上の両面で対応が急務だ。


足元の介護職の有効求人倍率は3.6倍 訪問介護事業所の54%が「不足」と回答

2040年に全就業者の約2割にあたる1,070万人が医療・福祉分野で働く必要がある一方、確保できる人材は974万人にとどまり、100万人近くも不足すると厚労省は推計している。

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2021年時点の医療・福祉分野の就業者数は891万人で、約20年間でほぼ倍増しているが、2025年以降は20~64歳の現役世代人口が急減することで、需要増に人材確保が追いつかない事態に直面する。

2022年版の厚生労働白書は、メインテーマに「社会保障を支える人材の確保」を据え、高齢・少子化が進むなかでの課題にスポットをあてており、厚生労働省の強い危機感が示されている。

介護分野に注目すると、全国の介護職員は2020年度時点で211.9万人となっており、介護サービス利用者の増加に伴い、2000年の54.9万人から約3.9倍に増加している。しかし、2021年の介護職員の有効求人倍率は3.64倍と全産業計の1.03倍より大幅に高く、近年は高い水準が続いており、特に東京や愛知などの都市部は4倍を超えている。

また、介護サービス事業所における介護職員の充足状況に関する調査(2020年度)でも、現場の人手不足感は増している。施設等の32.4%が「不足」と回答している一方、訪問介護事業所では54.1%に上っており、特に訪問介護員の需要が高くなっている。

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こうした足元の状況を見ても、人材確保はまさに喫緊の課題であることがわかるが、将来必要となる介護職員数は団塊の世代がすべて75歳を超える2025年度に約243万人、2040年度には約280万人と推計されている。


生産性向上へ組織マネジメント改革も 「社会福祉連携推進法人制度」にも期待

 厚生労働省は2019年6月に策定した「医療・福祉サービス改革プラン」で、単位時間サービス提供量を5%(医師は7%)以上改善し、男女ともに健康寿命を3年以上延ばすことにより、より少ない就業者数で将来の需要増に対応することが可能と推計している。

「人生100年時代」を見据え、健康寿命の延伸により一人一人のQOLの向上や「生涯現役」の就労と社会参加を実現するとともに、医療・介護サービスが必要となる人の増加を抑制していく、つまり需要も抑えるという考え方だ。

 

そのうえで、より少ない人手で効率的に、質の高い医療・福祉サービスの提供も実現できるよう、厚生労働白書では「ロボット・AI・ICT等の活用」や「タスク・シフト/シェア」を推進する必要性をあらためて強調。

それらの取り組みを医療・福祉現場で広めていくためには、施設・事業所トップのリーダーシップのみならず、リーダー級職員の積極的な関与など、多くの職員の協力が必要であり、組織マネジメント改革が求められることも指摘している。

特に介護ロボットなどのテクノロジーの導入当初は、その扱いに不慣れであることなどから一時的に業務の効率性が下がり、効果を実感するまでに一定の時間がかかるなど、継続的なマネジメントにより施設長や介護職員が一体となって取り組む必要があるからだ。

 

また、老人福祉事業等を運営する社会福祉法人は1事業1法人という運営形態も多く、運営が厳しい状況にあることが指摘されてきた。近年は多事業経営や法人間連携により経営が安定し、人材確保もしやすくなるといった観点から、それらに取り組む例が出てきており、支援の一環として2022年4月に始まった「社会福祉連携推進法人制度」の活用にも期待を寄せている。

― 社会福祉連携推進法人とは(参考:厚生労働省 社会福祉連携推進法人の運営等について)―

社会福祉連携推進法人は、①社員の社会福祉に係る業務の連携を推進し、②地域における良質かつ適切な福祉サービスを提供するとともに、社会福祉法人の経営基盤の強化に資することを目的として、福祉サービス事業者間の連携方策の新たな選択肢として創設された。

2以上の社会福祉法人等の法人が社員として参画し、その創意工夫による多様な取組を通じて、地域福祉の充実、災害対応力の強化、福祉サービス事業に係る経営の効率化、人材の確保・育成等を推進する。

地域共生社会の実現に向け、地域ニーズに対応した新たな取組の創出、その担い手となる福祉・介護人材の確保・育成等を進めていく観点から、地域の福祉サービス事業者間の連携・協働のためのツールとして有効に活用されることが期待されている

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4テーマで業務効率化の効果測定へ 電子申請・届出で文書負担の軽減も

効率的で質の高い介護サービスの提供という課題に対し、厚生労働省は2022年度、「介護ロボット等による生産性向上の取組に関する効果測定事業」に取り組んでいる。テクノロジーや「介護助手」の活用などの効果を実証し、得られたデータの分析を行い、2024年度介護報酬改定の検討に資するエビデンスを収集するのが目的だ。

6・7月の事前調査に続き、10月と12月に事後調査、2012年12月~2023年3月にデータ分析を行い、結果をとりまとめる。

事業のテーマは、(1)見守り機器等を活用した夜間の見守り、(2)介護ロボットの活用、(3)介護助手の活用、(4)介護事業者等からの提案手法-の4つ。

具体的に(1)では、介護老人福祉施設(特養)や介護老人保健施設(老健)など約40施設を対象に、転倒の予防・早期発見や見守り業務の質向上を踏まえた夜勤業務の効率化、夜勤職員の精神的な負担軽減への効果を測る。

(2)では、移乗支援、排泄予測、介護業務支援に関する介護ロボット・ICT機器を導入し、それぞれ「日中ベッド上で過ごす利用者の行動範囲の拡充、移乗介助の身体的負担の低減」、「利用者に合わせた適切なタイミングでの排泄支援による失禁等に伴うリネン交換などの業務時間削減」、「記録のための二度手間(メモ→介護ソフトに転記)の改善による正確な情報の記録」などの効果を測定。

(3)では、特養や老健など約20施設を対象に、介護助手の業務と役割分担を明確化したうえで、介護助手導入によるケアの質確保、職員の業務負担軽減の効果を検証する。

(4)では、特養や特定施設17施設において、ICTや介護ロボット、介護助手活用などを組み合わせた手法の評価を行う。

 

介護現場の業務効率化に向けては、文書負担の軽減も求められており、既存の「介護サービス情報公表システム」を改修して構築した「電子申請・届出システム」の運用が2022年10月から始まっている。政府は2025年度までの全国への普及を目指している。

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編集:㈱日本経営

202212月15日時点での情報に基づき作成)


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