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中央社会保険医療協議会は20221223日、20234月からのオンライン資格確認導入の原則義務化に経過措置を設ける、「保険医療機関及び保険医療養担当規則」(療養担当規則)等の改正を答申した。ベンターとの契約は済んでいるがシステム整備が間に合わないなど、やむを得ない事情がある医療機関・薬局について、233月末までに地方厚生(支)局への届出を行うことを条件に、義務化を一定期間猶予する。

 

対象になるのは義務化に間に合わない事情が、(1232月までにベンダーと契約締結したが導入に必要なシステム整備が未完了の医療機関等(薬局含む、以下同じ)、(2)オンライン資格確認(オン資)に接続可能な光回線のネットワーク環境が整備されていない医療機関等、(3)訪問診療のみを提供する医療機関、(4)改築工事中、臨時施設の医療機関等、(5)廃止・休止に関する計画を定めている医療機関等、(6)そのほか特に困難な事情がある医療機関等-のいずれかに該当する施設。(資料1

(資料1)原則義務化の経過措置
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目次
01:ICT化基金による補助拡充措置の適用も事業完了時まで延長
02:医師が高齢でレセ取扱が月平均50件以下は「特に困難な事情」に該当
03:支払基金のオン資医療機関等ポータルサイトから「猶予届出書」を提出
04:オン資関連加算の特例措置~再診時の加算算定は薬剤情報等の確認が必須
05:施設基準緩和の4月からの適用、原則3月末までにオンライン請求開始の届出を
06:再診時のオン資加算、オンライン診療などの場合は算定不可 疑義解釈

01:ICT化基金による補助拡充措置の適用も事業完了時まで延長

1)に該当する施設の経過措置期限は、ベンダーによるシステム整備が完了するまで(遅くとも239月末まで)とし、医療情報化支援基金(I CT化基金)によるシステム改修費等の補助の拡充措置を受けられる期限も239月末の事業完了時まで延長する(通常は233月までの事業完了が必須)。これら施設には、地方厚生局等への事前届出の際にシステム整備が完了する予定月の報告も併せて求める。

2)は、離島・山間地域や施設がある建物に光回線のネットワーク環境が敷設されていないケースを想定。経過措置期限は、オン資に接続可能な光回線が整備されてから6カ月後までとし、ICT化基金による補助の拡充措置は243月末の事業完了まで継続する。

 

3)の訪問診療専門医療機関は、患者の居宅でオン資を行う訪問診療や訪問看護向けのシステム(居宅同意取得型)の運用が始まる244月までの間、義務化を猶予する。

4)の施設の経過措置期限は改築工事が完了、または臨時施設が終了するまでに設定。

5)は現行の保険証が廃止される24年秋までの廃止・休止を決めている施設について、廃止・休止計画の提出を条件に、廃止・休止の間までの経過措置を設ける。


02:医師が高齢でレセ取扱が月平均50件以下は「特に困難な事情」に該当

6)の「特に困難な事情」は例えば、▽自然災害等で継続的に導入が困難となる場合▽高齢の医師等でレセプト取扱件数が少ない場合(234月時点で常勤医が全て70歳以上であって、月平均レセプト件数50件以下が目安)▽義務化の例外措置や(1)~(5)の類型と同一視できる特に困難な事情がある場合-などを想定しており、個別に判断するバスケットクローズの経過措置を設定する。(資料2

(資料2)(参考)高齢の医師等でレセプト取扱件数が少ない場合
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また、患者からオン資による被保険者資格の確認を求められた場合は、これに応じなければならないとする療養担当規則等の規定にも経過措置を設定。訪問診療やオンライン診療などの場合は、居宅同意取得型の運用開始の244月まで当該規定の適用を猶予する。



03:支払基金のオン資医療機関等ポータルサイトから「猶予届出書」を提出

年が明け127日、厚生労働省は4月からの医療機関・薬局におけるオンライン資格確認の導入義務化について、経過措置の適用を受ける場合の留意事項通知を地方厚生局などに発出した。適用を希望する施設は、「猶予届出書」を20233月末までに社会保険診療報酬支払基金経由で地方厚生局に提出する必要がある。オンラインによる届出が原則で、厚労省のホームページ等からダウンロードした様式に、上記の経過措置適用事情(1)~(6)の関連書類を添付し、支払基金が運営する「オンライン資格確認医療機関等向けポータルサイト」のフォームから届出を行う。

 

その際、(1)に該当する場合は、猶予届出書にシステム事業者との契約日とシステム整備の完了予定日を記入し、契約書や注文書の写しなど、システム事業者との契約締結が確認できる書類を添付する。(6)で医師の年齢とレセプト件数の少なさを理由とする場合は、常勤医師等のうち最も若い者の234月時点の年齢特に困難な事情(前出の最年少者の年齢が70歳以上である場合は不要)-を猶予届出書に記載する。届出期限は23331日。オンラインによる届出が困難な場合は、紙媒体による届出を認める(提出先は支払基金)。


04:オン資関連加算の特例措置~再診時の加算算定は薬剤情報等の確認が必須

さらに131日には、厚生労働省は20234月からの診療報酬上の特例措置や、オンライン資格確認(オン資)導入義務化の経過措置について告示するとともに、関連通知や事務連絡を発出。オン資導入医療機関の再診時の評価として新設する「医療情報・システム基盤整備体制充実加算3」では、他院で処方されたものを含む薬剤情報や、健診情報などの確認が算定要件であることを通知で明示した。

 

 特例措置では、オン資の導入促進と長引く医薬品の供給不安への対応を目的に、234月から12月までの9カ月間、関連する診療報酬に一定の上乗せを行う。

 

 オン資の関係では、患者が通常の保険証で受診した場合の「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」の算定について、▽初診時の評価(加算1)を6点(現行4点)に引き上げる▽再診時の評価(加算32点)を新設する-特例措置を実施。再診時の「加算3」の算定では、「他院からの処方を含めた薬剤情報や必要に応じて健診情報等を問診等により確認する」ことを求める。

 

これに対してマイナ保険証での受診でオン資から診療情報を取得した場合、または他院から診療情報の提供を受けた場合、初診時は「加算2」(点数は据え置きで2点)を算定するが、再診時の「加算3」は算定できない。(資料3

(資料3)オンライン資格確認の導入・普及に関する加算の特例措置
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(出典:厚生労働省 第535回中央社会保険医療協議会 資料より一部抜粋編集)

 



05:施設基準緩和の4月からの適用、原則3月末までにオンライン請求開始の届出を

算定施設をオンライン請求対応施設に限定している施設基準も特例的に緩和。光ディスクや紙レセプト請求施設については、オンライン請求を開始する旨を地方厚生局などに届け出た場合に限り、これら加算の算定を容認。23410日までに届け出れば、41日に遡って加算を算定できるが、41日以降は届出の集中による担当窓口の混雑が予想されることから、厚労省は事務連絡で、原則3月末までに届出を済ませるよう指示している。尚、要件緩和の期限は加算の特例と同じ2312月末まで。234月届出分を除き、届出の翌月からの算定となることから、届出の最終期限は23121日となるため、留意が必要だ。

 

医薬品の供給不安への対応では、「一般名処方加算12」と「外来後発医薬品使用体制加算13」に2点を、「後発医薬品使用体制加算13」に20点を上乗せする。これらの上乗せ点数は、追加の施設基準を満たせた場合にのみ算定できる。例えば、「一般名処方加算」では、「医薬品の供給の供給状況を踏まえつつ、一般名処方の趣旨を患者に十分説明していること」についての院内掲示を求める。追加の施設基準を満たしていることについて、地方厚生局などに届出を行う必要はない。

06:再診時のオン資加算、オンライン診療などの場合は算定不可 疑義解釈

また、厚労省は同日、これらの特例措置に関する疑義解釈資料も事務連絡した。「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」では、マイナ保険証利用の再診で▽患者が診療情報の取得に同意しなかった場合▽破損等でマイナ保険証が利用できない場合▽利用者証明用電子証明書が失効している場合-については、他院からの処方を含む薬剤情報や健診情報等を問診などで確認することを条件に、「加算3」を算定できることを明記。問診等の結果、前回から薬剤情報等に変更がなかった場合も「加算3」を算定してよいが、オンライン診療や往診、訪問診療で再診を行う場合は算定できないと説明した。

 

20234月のオン資の義務化が決定して以来、医療機関・薬局では導入準備を間に合わせようと、業者に対して駆け込みでの工事の依頼が集中している。2022年末時点でも「とても4月には間に合わない」と業者から断られるケースも出てきており、そのような状況を収めるために、今回の「経過措置」が用意されたと解釈できる。また、世界的な半導体の不足は継続中であり、インターネットの工事にも遅れが見られるため、急いでもなかなか進まない状況が続くことが予想される。早期に情報を集め、適切に対応していくことが必要となる。

2023120日時点の情報に基づき作成)

参考資料)オンライン資格確認の導入状況・運用開始状況

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(出典:厚生労働省 第535回中央社会保険医療協議会 資料より一部抜粋編集)


制作年月:2023年2月24日
(編集:株式会社日本経営)

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