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<取材先> 株式会社ポラリス 代表取締役 森剛士


「自立支援介護」に強みを持つポラリス(兵庫県宝塚市)は、全国でデイサービスを70事業所展開しています。
同社が2021年より手掛ける「短期滞在型サ高住」と「デイサービス」を組み合わせた新規事業や提供される自立支援介護のノウハウ、経営上の指標などについて、森剛士社長に聞きました。

*インタビュー前編はこちら

目次
自立支援介護のノウハウ
要介護高齢者を対象に「結果」を出すため必要な視点
財務管理における指標

ポラリスの自立支援介護のノウハウは

森:当社が行う自立支援介護の基本的ケアとは、「介護職が中心となって、虚弱・要介護高齢者の方々が元気になるためのお手伝いの仕組み」を指します。基本的ケアは次の6項目からなります。

①意欲

②水分(1日1500ccの水分摂取)

③食事(1日1500kcalの栄養量確保)

④排泄(自然排便)

⑤運動(廃用を取り除く→運動学習理論)

⑥減薬(不要な薬・主に下剤眠剤の減薬)


当社では、センサー等の活用により24時間体制で、上記6項目ケアによる自立支援介護を徹底して実践します。これらの根拠としては、「運動学習理論」に基づいています。「高齢者が歩けなくなったのは歩かなくなったからであり、再び歩けるようになるためには歩かないといけない」というものです。この6つの基本的なケアは、歩かなくなる要因を排除するものです。

まず①「意欲」については、「短期滞在型サ高住」というコンセプトそのものが「ここに入れば歩けるようになるかも」といったモチベーション、動機・意欲付けでもあります。

そして②「水分」③「食事」に関しては、まずほとんどの要介護高齢者が脱水・低栄養状態であるため、これを補います。

④「排泄」も重要です。下剤を服用している人は、いつ便意をもよおしてしまうかわからない不安から閉じこもりの原因になります。

⑤「運動」は不可欠ですが、いきなり歩行訓練をするのではなく、まずは機器などを活用したパワーリハビリやセラピストによる施術などを行います。また、パナソニック社との資本業務提携を通し活用しているセンサー、ウェアラブル端末等により排便・睡眠状況などを把握することで、⑥「減薬」にも取り組みます。

ここで、重要となるポイントが2つあります。1つは、この①~⑥はほぼ同時に実施すること、そしてもう1つは徹底的にやることです。徹底的にやらないと「なんちゃって自立支援」になります。

当社がしっかりと結果を出せているのは、徹底的に実施しているからにほかなりません。「徹底的に実施する」ことの達成には、本人にとっても職員にとっても「合宿タイプ」がベストだろうという考えから、「短期滞在型」のサービス開発に至っています。在宅サービスにおける「デイ、訪問のサービス提供時間外の様子把握が困難である」という課題の解決です。



要介護高齢者を対象に「結果」を出すため必要な視点とは

森:要介護高齢者の二重構造として、「病気」とそれを覆っている「廃用」とがあります。病気に対する廃用の大きさを見ることで、予後予測をすることができます。例えば、病気自体は小さく廃用が大きいのであれば予後予測が立てやすいと言えます。

当社が揃えるパワリハのマシンは全部で6機種あり、最初は無理せずゆっくりとした運動で動作性を改善するよう介入します。その後、歩行器で安全な歩行訓練を実施。多様な機器の導入により、生産性を担保しながら自立支援を行うことが可能です。

また現在、パナソニック社とともに「自立支援介護プラットフォーム」の創出にも取り組んでいます。世界特許取得、AIモデル化に向けデータを集めているところで、内容は「我々の経験に基づいた、これまで話したようなことをAIで実施可能にする」ものです。

今後、「ポラリスリハプラン作成モデル」を構築し、高クオリティかつ各利用者の状態に合わせた個別のリハプランを、一般スタッフでも作成することができることを目指します。歩行能力評価の指標である「TUG」を活用し、初期数値、目標数値から各種リハプログラムにおける適正負荷を算出することなどを可能とするAIモデルを構築中です。



ポラリスの財務管理における指標について

森:自立支援介護力と生産性は表裏一体であり、いくら取り組みがよくても赤字では続きません。当社では、以下の3つを重視しています。

① 最低限の利益を確保すること

② 商品力(自立支援介護力)

③ リスク管理


これらを40数項目のKPIで管理しており、一部紹介すると、自社開発の「ポラリスコックピット」というものを活用しています。これは、必要KPIを画面管理してデータを自動抽出し、自立支援介護・生産性・リスクのアウトカム評価を行うためのツールです。この活用により、コロナ禍の21年の労働生産性もしっかり向上しています。

一定の生産性が数字で示せるよう、当社では「人時労働生産性」を指標として用いています。これは、「売上÷総労働時間」で算出できる数値で、「1時間に職員1人がいくら稼いでいるか」を示すものです。当社は3800円を目指しており、現在は3300~3500円の間で推移しています。15%から18%の事業所では3800円超えている一方、3000円を下回る事業所もあるので、これをいかに平準化し全体を底上げしていくかを課題と捉えています。

これに向けた取り組みとして、第一はオペレーションの改善。コロナ禍で、デイなどでは欠席率が跳ね上がり、新規の受け入れも止まりますが、その後落ち着けばラッシュがきます。雇用は守りながら欠席に対応するリスク、その後のニーズに対応する体制などをシビアに管理できていないと、新規事業や自費サービスは難しいでしょう。

リーガロイヤルホテルでのサービス提供や世界一周の船の企画などは、富裕層向けの自費サービスです。一般向けのサ高住の事業についてもすべてが介護保険費ではないため、家賃設定が肝になってきます。当社はサービス費、食費など込みで月12万円程度の家賃設定としましたが待機者が多く、15~16万円にすべきだったと感じています。

介護サービス事業は制度ビジネスのため、自費サービスを開始する際の価格設定が上手でないケースが多く見られます。サービスのバリューに対して価格をどう決めるのか、これについては議論が必要かと思います



※本記事は、㈱高齢者住宅新聞社が221214日に開催した介護事業者向けセミナー「令和の介護ビジネスイノベーション~介護事業のマーケティング・営業・人事戦略~」の内容を編集し作成したものです。

制作:㈱高齢者住宅新聞社
制作年月:2023年1

 


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PROFILEプロフィール

森剛士(もり・たけし)

株式会社ポラリス 代表取締役 
●外科医、リハビリ医を経て高齢者、慢性期リハビリテーション専門のクリニックを兵庫県宝塚市に開設、ポラリスグループをスタート。地域密着型社会貢献事業として自立支援特化型デイサービスを全国58カ所に展開中。一般社団法人日本自立支援介護・パワーリハ学会理事。一般社団法人日本デイサービス協会副理事長。

○株式会社ポラリス
兵庫県宝塚市旭町3-9-1 ポラリス本社ビル2F
Tel:0797-57-5753

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