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<著者>株式会社富士経営総合センター 岩田義明

経営トップ自身が現場に立つ“プレイングマネージャー”の場合、「忙しいわりに売上が思うように伸びていない」というケースが少なくありません。自分の実感と実際の売上がずれているとも言えますが、そのギャップを掘り下げたうえで対策を講じる必要があるようです。

先日「毎日忙しいし自費診療もしているのに、思ったほど売上が伸びていない」という相談を受けました。院長に思い当たることはないかと尋ねると、「自分のアポイントは減っていないし、自由診療も減っていない」とのことでした。そこで院長の忙しいという実感と実際の売上がずれる原因を調べ、対策を立てるため、患者数などの具体的なデータを調べることにしました。

 

〈歯科医院の概要〉

ユニット数:5台、月々の収入:約800万円(保険60万点、自費200万円)

スタッフ数:歯科医3名(非常勤含む)、DH2名、DA・受付5名(パート含む)

 

〇過去2年分のデータを集計

レセコンから、レセプト数、診療実日数、初診数、保険点数のデータを、アポイント帳のデータから、アポイント数など過去2年分を集計しました。

結果は、前年同月レセプト数は平均500枚/月から平均470枚/月と30枚減少、のべ来院数は平均950日/月から平均900日/月と50日減少していました。

 

〇歯科医別の傾向を確認する

院長のレセプト数には大きな変化がなかったものの、勤務医のレセプト数が減っていました。院長のアポイント2週間以上先でないと入れられないのに対して、勤務医のアポイントは急患を入れてやっと埋まるという状況でした。院長と勤務医のアポイントの差が、忙しいのに売上が伸びない原因の一つであることが分かりました。空いている勤務医にアポイントを入れられれば、バラつきは抑えられるはずです。

 

〇受付にヒアリングをして分かったこと

受付スタッフにヒアリングすると以下のようなことが分かりました。

①患者さんはほとんどの場合、院長を希望される方

②院長を希望された場合、「2週間以上先の予約になりますがよろしいですか?」と対応している。そのため「それでは他を探してみます」と患者さんを取りこぼしてしまうことが少なくない。

③院長のアポイントは埋まっているため、初診は勤務医にお願いしている。

④勤務医は初診を応急処置で終わらせることがある。また「様子をみましょう」ということで、次のアポイントを決めずに帰す場合もある。

⑤2回目のアポイントをキャンセルする初診患者が増えている。

 

以上の受付のヒアリングの結果から、①勤務医の対応と②アポイントの入れ方に問題があることが分かりました。

このように課題を明確化したうえで、対応策を講じる必要があります。

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制作年月:2023年3月14日


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PROFILEプロフィール

PROFILE

株式会社富士経営総合センター コンサルティング事業部チーフコンサルタント

岩田義明(いわた・よしあき)
●早稲田大学教育学部教育心理学科を卒業後、リクルートの関連会社で採用時の人の評価から、人事制度の設計など、人事全般を経験。その後経営全般に係る仕事を志向し、経営コンサルティング会社に転職。2011年より現職。現在は医療機関の経営計画作りから、目標を設定、達成のための具体的な行動計画への落し込みまで実施。PDCAサイクルを回すことで改善活動を継続させ、医院の体質から収益性の改善まで幅広く行っている。

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