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2022729日、厚生労働省の「医療介護総合確保促進会議」は、「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針」(総合確保方針)の次期改定に向けた議論を開始した。総合確保方針は、「医療計画」と「介護保険事業(支援)計画」の整合性を確保するための方策などを定めるもので、両計画の上位指針に位置付けられる。2024年度から新しい「医療計画」と「介護保険事業(支援)計画」が始まることや、人口構造が大きく変化する2040年を見据えた見直しが求められていた。

 

総合確保方針の直近の改定は201612月。その後、医療・介護分野では、地域医療構想の策定、外来機能報告制度の創設、介護医療院の創設、認知症施策推進大綱の策定、医療従事者の働き方改革の推進、オンライン資格確認の本格運用開始-などの各種制度改正に加え、新型コロナウイルス感染症のまん延で顕在化した課題もあり、次期改定に際しては、こうした点も考慮する必要性がある。

 

 厚労省はこの日の会議に改定の当たって盛り込むべき視点として、

1)人口構造の変化への対応

2)「地域完結型」の医療・介護提供体制の構築

3)サービス提供人材の確保と働き方改革

4)デジタル化・データヘルスの推進

5)地域共生社会づくり

-の5項目を提案した。

 

1)では人口構造の変化や医療・介護の需要動向には地域差があることから、地域の実情に応じた医療・介護提供体制の確保を図る観点での議論を要請。(2)では2025年の地域医療構想実現後も、2040年に向けてさらに入院医療の機能分化と連携を推進することや、外来機能報告制度を踏まえた紹介受診重点医療機関の明確化とかかりつけ医機能が発揮される制度整備、地域包括ケアシステムのさらなる深化・推進-などを検討課題に挙げた。(4)では、医療・介護連携を一層推進するため、患者・利用者自身の医療・介護情報をデジタル基盤を活用して医療機関・介護事業所等間で共有・活用することなどについて、検討を求めた。

 

 都道府県や市町村では2023年度に「第8次医療計画」と「第9期介護保険事業(支援)計画」の策定が進められる。これに間に合うよう本会議では、2022年中に総合確保方針の改定に関する意見を取りまとめる予定とした(資料1)。


(資料1)(参考)今後のスケジュール
資料1.jpg(出典:厚生労働省 第19回医療介護総合確保促進会議 資料より一部抜粋編集)

 


総合確保方針の見直し案を大筋了承 医療介護総合確保促進会議 
2040年頃を見据えた医療・介護提供体制の方向性を提示

 

さらに年が明け216日、厚生労働省の「医療介護総合確保促進会議」は「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針」(総合確保方針)の見直し案を大筋でまとめた。同方針は、「医療計画」と「介護保険事業(支援)計画」の上位概念に位置付けられる。今回の見直しは2024年度からの新しい「医療計画」と「介護保険事業(支援)計画」の開始に合わせたもので、高齢者人口がピークを迎え、生産年齢人口が激減する2040年頃を見据えた医療・介護提供体制構築にあたっての考え方を示した。とりまとめを受け、厚労省は年度内に方針の改定を告示する(資料2)。 

 

(資料2)総合確保方針の意義・基本的方向性の見直し(案)
資料2.jpg(出典:厚生労働省 第19回医療介護総合確保促進会議 資料より一部抜粋編集)

 

高齢者人口の増加は、団塊の世代全員が75歳以上に到達する2025年以降も続き、なかでも医療と介護の複合的ニーズがある85歳以上の人口は2035年頃まで一貫して増加。入院患者数と在宅患者数は2040年以降に最多になると見込まれている。

 

地域の実情に応じた「地域完結型」の医療・介護提供体制の構築が課題

 

ただ、こうした人口構成の変化や医療・介護需要の動向は地域ごとで大きく異なることから、見直し案は、2025年の次の区切りである2040年に向け、地域の実情に応じた医療・介護提供体制の確保を図っていくことが重要だと強調。その具現化のため、昨年7月の会議で提案した5項目を基軸として、改めて下記の5項目を重要施策と捉え、今後の基本的方向性をそれぞれ記載した。


1)「地域完結型」の医療・介護提供体制の構築

2)サービス提供人材の確保と働き方改革

3)限りある資源の効率的かつ効果的な活用

4)デジタル化・データヘルスの推進

5)地域共生社会の実現

 

 (1)では、地域医療構想や紹介受診重点医療機関の明確化、かかりつけ医機能が発揮される制度整備-などを医療従事者の確保や働き方改革と一体的に推進。介護では、地域包括システムの更なる深化・推進を目標に、介護サービスの提供体制の整備、住まいと生活の一体的な支援、医療と介護の連携強化、認知症施策の推進、総合事業、介護予防などに取り組む(資料3)。

 

(資料3)地域完結型の医療・介護提供体制の構築
資料3.jpg(出典:厚生労働省 第19回医療介護総合確保促進会議 資料より一部抜粋編集)

 

2)では、医療従事者の働き方改革を進めるとともに、各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するための職場環境の整備や、タスク・シフト/シェア、チーム医療の推進、復職支援などの施策も展開。介護従事者については、これまでの処遇改善の取組に加え、ICTや介護ロボット等の活用、手続のデジタル化などを通じて介護現場の生産性向上を目指す。

 

医療・介護分野のDXを通じて医療・介護連携を一層推進、EBPMの取組も

 

4)では、医療・介護連携を推進する観点から、患者・利用者自身の医療・介護情報の標準化を進め、デジタル基盤を活用して医療機関・薬局・介護事業所等の間で必要な時に必要な情報を共有・活用できる環境を整備。医療・介護施策の立案を、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)や公的データベース、あるいはこれらの連結解析などの客観的なデータに基づいて行う、EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)の取組も進める。

 

このほか、別添として「ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿」も作成。国民の期待に応える医療・介護提供体制を構築するためには、▽必要な時に「治し、支える」医療や個別ニーズに寄り添った柔軟かつ多様な介護が地域で完結して受けられる▽地域に健康・医療・介護等に関して必要なときに相談できる専門職やその連携が確保されている▽国民が自らの情報を基に、適切な医療・介護を効果的・効率的に受けられるーの3本柱の同時実現が不可欠とした。

 

2023228日時点の情報に基づき作成)

(編集:株式会社日本経営)

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