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介護分野の事務負担軽減で加算の届出様式を統一へ


2020年以降、介護分野の文書負担軽減が本格的に進められてきたが、取り組みの視点の一つである「ICT等の活用」については、指定申請等の「ウェブ入力・電子申請」の運用が第1期の自治体で2022年度下期頃から開始と予定されていた。

しかし2022年夏頃、その意向を持つ自治体はまだ2%程度であることが判明。厚生労働省は早期利用の促進に向け、利用を開始する自治体への伴走支援などを行いながら、2022年度中に「手引き」をとりまとめる考えを示していた。

トピックス
01:介護サービス情報公表システムは、改修拡張機能を備えセキュリティも向上
02:2022年度下半期開始は「市」が最多で16 24年度までの利用開始が全体の36%
03:自治体の運用見直しや初期設定を支援 必要な準備内容や方法等を「手引き」に
04:オンラインでの届出も原則化 24年4月1日から

介護サービス情報公表システムは、改修拡張機能を備えセキュリティも向上

少子高齢化が進展し、介護分野の労働力制約が強まる中、専門人材が利用者のケアに集中し、ケアの質を確保するために、介護現場の業務効率化は急務であり、その一つとして、申請や請求などで行政に提出する文書の負担軽減が求められている。このような状況を踏まえ、社会保障審議会・介護保険部会に「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」が設置され、2019年8月から議論を開始している。

 

同委員会の2019年12月の中間とりまとめでは、▽個々の申請様式・添付書類や手続きに関する「簡素化」、▽自治体ごとのローカルルールの解消による「標準化」、▽共通してさらなる効率化につながる可能性のある「ICT等の活用」の観点から、分野横断的に負担軽減策の検討や取り組みを進めていくことの必要性を指摘。

各分野で短期的に取り組むべき項目と、その進捗を踏まえつつ取り組むべき項目とに分けて方向性を示していた(資料1)。


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(出典:厚生労働省 第6回介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会 資料より一部抜粋編集)

このうち、「ICT等の活用」では2020年度以降、(1)ウェブ入力・電子申請(指定申請・報酬請求)、(2)データの共有化・文書保管の電子化(指定申請・報酬請求・指導監査)に3年以内に取り組むべきとし、2020年度中に見直しの方向性を検討、結論を得た上で速やかに必要な対応を行うとの方針を提示。

(1)では具体的に、「既存の『介護サービス情報公表システム』を活用した指定申請・報酬請求に関する届出等の入力項目の標準化とウェブ入力の実現可能性、技術的課題や費用対効果などを検討し方針を得る」と記載されていた。

 

それを受け、2021年度には「オンライン申請を見据えた介護サービス情報公表システムの改修事業」が実施された。

この改修では、ISMAP登録クラウドサービスの利用、障害等に備えたシステムの冗長化などにより、システムのセキュリティ・信頼性が向上。拡張機能として、▽GビズIDによるログイン▽申請・添付ファイルの提出▽提出通知▽事業所台帳管理システムへの入力連携▽受付完了・差戻し通知▽情報公表用の報告内容登録時におけるデータプリセットが整った(資料2)。


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(出典:厚生労働省 第10回介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会 資料より一部抜粋編集)


2022年度下半期開始は「市」が最多で16 24年度までの利用開始が全体の36%

政府が2022年6月に閣議決定した規制改革実施計画にも、この「電子申請・届出システム」の運用は明記されており、運用開始に必要な措置を2022年度上半期までに講じることを求めていた。その上で、2025年度までには全国でシステムを利用した申請・届出の手続きが完結できるよう法改正などを行うことも求めている。

ただし、特段の事情がありシステムの利用が困難な自治体がある場合は、それを公表するとしている。このシステムは2022年度下半期から試行を行い、介護事業者や自治体の意見も踏まえつつ、段階的に拡大されていくことになるが、厚労省の2022年7月1日時点の集計によると、全国1,794自治体のうち、下半期に利用開始の意向を示しているのは33自治体(2%)だった。

その内訳を見ると、都道府県が2(4%)、指定都市が4(20%)、特別区が1(4%)、中核市が2(3%)、市が16(2%)、町村が8(1%)となっている。   加えて、2024年度までに利用を開始する意向の自治体が36%で、「その他」が14%、「無回答」が半数となっている。2025年度までの完結を目指す上では、その他と無回答の約6割の自治体への働きかけがポイントになる(資料3)。


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(出典:厚生労働省 第10回介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会 資料より一部抜粋編集)


自治体の運用見直しや初期設定を支援 必要な準備内容や方法等を「手引き」に

厚労省は、2022年度下半期からの運用開始に参画する第1期自治体およびその自治体の事業所等、また第2期以降に参画する自治体に対するヒアリング調査(伴走支援)を実施する。これは、主に電子申請・届出システム利用のために必要な自治体の運用見直しのための調整や、電子申請利用のための初期設定などに対して支援を行うもの。

ヒアリング調査で把握されたシステム利用のために必要な準備内容や方法に関する情報は、後続の自治体向けに「介護サービス情報公表システムを活用したオンラインによる指定申請の手引き」として2022年度末までにとりまとめ、公表する予定だ。特に上記の6割の自治体における早期利用開始への後押しとなることが期待される。システムの運用開始前には事業所・施設向けの操作手順書も別途、公開されることになっている。

また、厚労省は事業者向けに「介護分野の行政手続に関する簡素化・利便性向上に係る要望受付フォーム」も設置し、一連の取り組みを促進する考えも示している。

オンラインでの届出も原則化 24年4月1日から

そして、2023年2月20日 社会保障審議会・介護給付費分科会は、介護サービス事業者が介護報酬上の加算算定に際して行う届出について、国が定める様式の使用や、厚生労働省が運用する「電子申請・届出システム」からの届出を原則化する省令・告示の改正案を了承した。改正内容を3月下旬に告示し、2024年4月1日から適用する。

介護サービス事業者が介護報酬上の各種加算を算定する場合には、事前に体制整備などの算定要件を満たしていることを都道府県知事や市町村長に届け出る必要がある。その際に用いる様式について現在、法令上の規定はなく、国が通知で標準様式例を示すのみにとどまっている。

このため自治体が独自様式を定めているケースもあり(いわゆるローカルルール)、広域に事業展開している事業者では、自治体ごとに異なる様式での届出を求められるなど、事務負担が大きくなることが問題視されていた。

こうした課題の改善と介護分野におけるICT化を推進する狙いから、今回の改正では、(1)いわゆるローカルルールを廃止し、改正後は厚労省老健局が定める様式(現行の標準様式例を基に別途定める予定)で届出を行う、(2)事業所の職員がICTに不慣れであるなどのやむを得ない事情がある場合を除き、届出は「電子申請・届出システム」から行うーなどの見直しを実施する(資料4)。

 


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(出典:厚生労働省 第214回介護給付費分科会 資料より一部抜粋編集)


改定の対象になるのは、現行の加算の様式例の「介護給付費算定に係る体制等状況一覧表」に記載されている各サービスの加算など。例えば、▽緊急時訪問看護加算▽日常生活継続支援加算▽移行支援加算▽ターミナルケア加算▽ADL維持等加算▽看取り介護加算▽特定事業所加算▽栄養マネジメント強化加算▽在宅復帰・在宅療養支援機能加算-などが含まれる(資料5)。


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(出典:厚生労働省 第214回介護給付費分科会 資料より一部抜粋編集)



編集:㈱日本経営

2023年2月28日時点での情報に基づき作成)


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