M&Aで施設運営も　デイFC堅調、DX強化　／　インターネットインフィニティー

＜取材先＞　インターネットインフィニティー　代表取締役社長　別宮圭一

一般企業の福利厚生でケアマネ紹介・相談も

東証グロース市場のインターネットインフィニティー(東京都品川区)は、リハビリ型デイサービス「レコードブック」を全国219ヵ所に展開(2023年2月1日時点)。半日型・機能訓練特化型デイの店舗数では業界トップクラスです。

コロナ禍以降も新規出店数を伸ばすだけでなく、提供サービスのブラッシュアップや、住宅改修・施設運営などへの領域拡大も図っています。

「既存事業拡大と新規事業開拓」の両輪で取り組みを前進させる別宮圭一社長に話を聞きました。　

――レコードブックの店舗数は堅調に推移しています

別宮：FC中心に店舗数を着実に伸ばしており、今後2～3年で400店舗への拡大が目標です。出店エリア戦略は、独自開発したシステムを活用。人口や居宅介護支援事業所数、競合などの分析により、マーケットポテンシャルの高い地域の抽出・選定をしています。

デイサービスは「介護を感じさせない」をコンセプトに、赤色を基調としたフィットネスジムに近い空間デザインと、若手スタッフの快活な運動指導が特色。この確立したブランドに沿った内外装工事やオペレーション・育成を徹底し、利用者を獲得してきました。

――サービス内容を進化させています

別宮：「明るく、楽しく」を打ち出してきた一方、それだけで良いのだろうか、本当に科学的に介護ができているだろうか、と考えるようになりました。

そこで、1年程前からインド製のソフトウェアを使った歩行解析アプリをLiveSmart(東京都港区)と共同開発。TUG(Time Up& Go Test)測定時の歩行を動画撮影することで歩測・歩幅などを自動評価し、歩行スコアを点数化、推奨運動メニューを自動提示します。

当社はこれまで「転倒予防」を重視した運動を提供し、レコードブック(記録帳)という名の通り利用者延べ1万7000人のデータを記録・蓄積してきました。アプリはそれらのデータに基づき開発したAIを使っています。「転倒リスク」も予測した上で運動指導ができるため、利用者や家族、ケアマネジャーの安心にもつながります。

また、運動メニューのブラッシュアップも随時実施。これまで筑波大学の田中喜代次教授と共同開発したプログラムを提供してきましたが、今後さらに、整形外科の知見が深いPTを顧問に立て、内容を進化させます。運動指導においても利用者とのインフォームド・コンセントを大事にしながら提供していきたいです。

――デイサービス以外の在宅サービス、施設系サービスにも乗り出しました

別宮：以前から展開していた訪問介護や居宅介護支援事業所などの在宅サービス事業は、昨年に分社化。レコードブック事業とは切り分け、より専門性を持って注力しています。

また、M&Aによる新規事業に着手しており、21年には福祉用具・住宅改修事業を展開するフルケア(広島市)、22年には住宅リフォーム業を営む正光技建(広島県廿日市市)を子会社化しました。デイで転倒予防を重点化するだけでなく、利用者が自宅で転倒してしまう課題を解決すべく、自宅の住環境整備もカバーしていきます。

さらに昨年、合の家(千葉県市原市)の住宅型有料老人ホーム2棟を子会社化し、当社初となる施設運営も始動しました。これまで軽度者向けにサービスを提供してきた特色を活かしつつ、看取りも行うなど中重度者向けサービスにも注力していく方針です。

――ケアマネジャー向けのポータルサイトも手掛けています

別宮：05年から開始した「ケアマネジメントオンライン」は登録者数10万人超。各種帳票類のダウンロード提供など業務支援やニュース発信、ケアマネ同士の情報交換などコミュニティ形成に寄与する無料会員サイトです。

ここ数年で強化しているのは介護と医療の連携に関する情報提供。コメディカルとのつながり方など、ケアマネと医療機関との連携のさらなる促進に活用してもらいたいと思っています。そのケアマネ会員コミュニティを活用した、一般企業向けの福利厚生サービスも好調です。契約企業の従業員向けに「仕事と介護の両立支援」をしています。

例えば、介護が必要になった際のオンライン相談・介護保険申請代行などをケアマネ会員が担います。一般の人は急に介護が必要になった際、どの居宅やケアマネが良いかは分かりません。そこで女性・男性どちらが良いか、看護師の資格を持つ人が良いかなどのヒアリングを行い、ケアマネを紹介するサービスも行います。導入企業は210社、会員数は210万人超です。

昨今、従業員の介護負担を気にかける一般企業は増加傾向にあります。当社がもつ介護事業・WEB事業の両者のネットワークを活かし、介護課題を持つ人々を幅広くフォローアップしていきたいです。

制作：高齢者住宅新聞社
制作年月：2023年2月