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<編集>株式会社日本経営

新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが58日に2類から5類に変更されたことに伴い、診療報酬特例や病床確保料などの医療機関への支援も見直しが行われる。当面は縮小しながら継続し、今夏に感染状況や医療体制の状況を見極める。

目次
1.疑い患者は限定しない診療体制へ 入院調整を新たに+950点で評価
2.外来は最大6.4万施設体制へ進捗管理 罹患・疑いのみの理由での拒否は不可
3.外来の高額薬剤は公費支援を継続 高額療養費限度額は一定の減額に
4.新型コロナ対応の特例見直しで疑義解釈
5.「感染対策向上加算」などの施設基準の考え方も整理

1.疑い患者は限定しない診療体制へ 入院調整を新たに+950点で評価

政府の新型コロナウイルス感染症対策本部がまとめた、新型コロナの5類変更に伴う医療提供体制や公費支援の見直し策によると、診療報酬特例については、暫定的な措置を行いつつ、今夏までに感染の拡大や医療機関の逼迫度合いなどを見極め、検証を行いながら必要な見直しを行う。その上で、2024年度診療報酬改定において、新型コロナ対応を組み込んだ新たな報酬体系に切り替える方針だ(資料2)。

(資料2)新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う

医療提供体制及び公費支援の見直し等について(ポイント)
資料1 - コピー.png

*出典:新型コロナウイルス感染症対策本部(第103回 3/10)《首相官邸》


5月8日以降の診療報酬特例の主な変更点を「外来」の観点で見ていくと、「必要な感染対策を講じた上での疑い患者の診療」(院内トリアージ実施料300点)は、空間分離・時間分離に必要な人員、PPE(個人防護具)等の感染対策を引き続き評価した上で、かかりつけの患者以外にも対応するなど、受け入れ患者を限定しない体制を8月末までに整備することを要件に現在の点数を維持する。幅広い受け入れ体制を整備しない場合は147点に引き下げる。「感染疑いの初診患者を発熱外来で診療した際の上乗せ250点」(発熱外来の標榜・公表が要件。3月は147点)は予定通り3月末で終了とした。

 

「コロナ患者への対応」(救急医療管理加算950点、ロナプリーブ投与時の3倍特例あり)は、重症化率の低下により業務が一定程度効率化していることなどを踏まえる一方、類型変更に伴い、療養指導やフォローアップ、これまで行政が担ってきた入院調整においては医療機関の果たす役割が大きくなることから、それらの業務を評価する。3倍特例は終了し、コロナ患者に療養指導(家庭内感染の防止や重症化した場合の対応などの指導)を行った場合は147点、入院調整を行った場合は950点/回に組み替える(資料2)。



(資料2)診療報酬の取扱い(新型コロナの診療報酬上の特例の見直し①)

資料2 - コピー.png

*出典:新型コロナウイルス感染症対策本部(第103回 3/10)《首相官邸》

このほか、感染症法に基づく自宅・宿泊療養の要請、外出制限などを踏まえた「電話・オンライン診療の特例」(初診214点等)は経過措置を設け、731日で終了する。



2.外来は最大6.4万施設体制へ進捗管理 罹患・疑いのみの理由での拒否は不可

医療提供体制の確保については、5類変更に伴う「幅広い医療機関」による対応に向け、次のような策を講じる。

「外来」の観点で見ていくと、約4.2万の医療機関で対応しているが、コロナ前に季節性インフルエンザを診療していた医療機関を中心に、最大6.4万の医療機関での対応を目指す。診療の手引きなどを含め、分かりやすい啓発資材を作成し、医療機関に周知するとともに、定期的に対応医療機関数を把握・進捗管理しながら維持・拡大を図る。

 

一方、これまで新型コロナは、正当な事由がない限り医師が診療を拒めない医師法上の「応召義務」の適用外とされてきたが、5類変更後は、新型コロナの罹患やその疑いのみを理由とした診療拒否は「正当な事由」に該当しないことが明確化される(資料3)。

(資料3)位置づけ変更に伴う医療提供体制の見直し(外来・入院・入院調整)

資料3 - コピー.png

*出典:新型コロナウイルス感染症対策本部(第103回 3/10)《首相官邸》



3.外来の高額薬剤は公費支援を継続 高額療養費限度額は一定の減額に

患者に対する公費支援の見直しも行われる。5類変更によって医療費公費負担の根拠がなくなるため、原則、患者の自己負担となる。ただし、急激な負担増を避けるため、外来医療費では高額なコロナ治療薬の公費支援を継続する。入院医療費では、高額療養費の自己負担限度額から2万円を減額する(2万円未満の場合はその額)。いずれも当面、9月末までの措置とする。有症状者などの検査費用に対する公費支援は終了する。

 

なお、2023年度のワクチン接種については、秋冬に5歳以上のすべての者を対象に接種を行う高齢者等重症化リスクが高い者等には、秋冬を待たず春夏にも追加で接種を行う引き続き自己負担なく受けられるようにする-との方針が示されている。

4.新型コロナ対応の特例見直しで疑義解釈

そして417日、厚生労働省は新型コロナウイルス感染症の5類感染症に移行後の診療報酬上の特例の取扱いについて疑義解釈資料を作成し、地方厚生局などに事務連絡した。前途のように、感染疑い患者の外来診療における「院内トリアージ実施料」の算定で、類型変更後もこれまで通り300点を算定するには、患者を限定しない受入体制に20238月末までに移行する必要がある。疑義解釈は、当該要件を満たす施設であることを明示するための方法として、算定医療機関に患者を限定しない受入体制への移行開始時期を記載した文書の院内掲示を求めた。

 

高齢者施設等に入所する高齢患者をリハビリテーションや介護サービスとの連携が充実した病棟に受け入れた場合に14日間を限度に「救急医療管理加算1」(950点)を算定できる特例についても詳しく解説した。
算定対象病棟の要件では、感染管理や新型コロナ患者発生時の対応において地域の介護保険施設等と連携することが求められるが、この連携先となる介護保険施設等には、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設、認知症対応型共同生活介護事業所、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、短期入所生活介護事業所、短期入所療養介護事業所が該当することを明記。

 

連携の具体的内容については、▽介護保険施設等からの電話等による相談への対応ができる▽介護保険施設等の入所者が新型コロナに感染した場合に、当該患者やその看護にあたっている者からの求めに応じ、緊急往診ができる▽緊急往診が難しい場合はオンライン診療ができる▽緊急往診やオンライン診療を実施した際に入院の要否の判断や入院調整が行える-などを想定していることを明らかにした。

5.「感染対策向上加算」などの施設基準の考え方も整理

「感染対策向上加算12」と「外来感染対策向上加算」の施設基準における患者の受入体制に関する規定について、5類感染症移行後の考え方も整理。いずれの加算も、新興感染症発生時に都道府県等の要請に応じて感染患者や疑い患者などを受け入れる体制を備えていることが求められるが、類型変更後の取扱いに関しては、▽「感染対策向上加算12」は現時点では、過去6カ月以内に新型コロナ感染患者に対する入院医療の提供の実績がある▽「外来感染対策向上加算」は、受入患者を限定しない、または受入患者を限定しない形に238月末までに移行することとしている-場合が該当するなどと説明した。

 

また、類型変更前から入院している患者における58日以降の特例の扱いについては、▽531日までの間は変更前の特例に基づいて算定する▽61日以降は当該患者の入院日にかかわらず、変更後の特例に基づいて算定する-とした。


2023428日時点の情報に基づき作成)

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