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<著者> 日本クレアス税理士法人 執行役員 中川 義敬 税理士

今回の診療報酬改定においては、全体の改定率がマイナス0.94%でありマイナス改定となりましたが、オンライン診療における評価の拡充や処方箋の様式の見直しなど、今後増収に繋げることができる診療報酬改定についてご紹介いたします。

目次
01:オンライン診療における新設評価
02:オンライン資格確認システム導入における加算
03:外来診療時の感染防止対策の評価に対する加算
04:リフィル処方箋

① オンライン診療における新設評価

オンライン診療における大きな改定として初診料が算定できるようになりました。

新型コロナウイルス感染症の流行により、医療機関を受診困難な患者や宿泊療養施設の患者との診察手段としてオンライン診療のニーズが高まりました。


そこで オンライン診療を行う十分な体制を整備し、厚生労働省の『オンライン診療の適切な実施に関する方針』に沿って診療を行った医療機関では、初診料251点、再診料73点を算定できることとなりました。


また、オンライン診療による医学管理料については今回14種類が追加となりました。

・ウィルス疾患指導料

・腎代替療法指導管理料
・皮膚科特定疾患指導管理料 ・乳幼児育児栄養指導料
・小児悪性腫瘍患者指導管理料 ・療養・就労両立支援指導料
・がん性疼痛緩和指導管理料 ・がん治療連携計画策定料2
・外来緩和ケア管理料 ・外来がん患者在宅連携指導料
・移植後患者指導管理料 ・肝炎インターフェロン治療計画料
・薬剤総合評価調整管理料 ・がん患者指導管理料


昨今の情勢や今回の改定によりオンライン診療のニーズが高まるのではないでしょうか。


② オンライン資格確認システム導入における加算

カードリーダーの導入率が低いオンライン資格確認システムの導入に対して評価が新設されました。

オンライン資格確認についての説明を院内に掲示し、オンライン請求を行った場合に(初診料)電子的保健医療情報活用加算7点、(再診料)電子的保健医療情報活用加算4点が月1回算定できます。

初診料は7(70)であり収入としては少ないですが、保険証の廃止及びマイナンバーカード保険証対応義務化の検討が進んでいますので、補助金の利用によりオンライン資格確認システムを導入して、将来に備えることも検討の余地があるかと考えます。


③ 外来診療時の感染防止対策の評価に対する加算

外来診療時における感染防止対策についての点数が新設されました。


以前、20214月から9月まで医科外来等感染症対策実施加算5点といった算定が限定的に創設されていましたが、2022年の診療改定では外来感染対策向上加算6点(患者1人につき月1回)が新設され、以下の要件を満たすことで算定することができます。

  • 専任の院内感染管理者(院長)を配置する

  • 年2回程度、「感染対策向上加算1」に係る届出を行った医療機関が主催する院内感染対策に関するカンファレンスに参加すること

  • 新興感染症の発生時において、発熱外来体制を整えており、自治体のホームページにより公開していること

こちらの外来感染対策向上加算を算定することで、連携強化加算3点とサーベイランス強化加算1点も算定できます。
連携強化加算は年4回以上、地域の大きな病院に感染症発生状況や抗菌薬の使用状況を報告すると算定できますし、サーベイランス強化加算はJANIS(院内感染対策サーベイランス)等に参加することで算定することができます。

④ リフィル処方箋

処方箋様式が見直されました。今回の改定でリフィル処方箋の使用が可能となり、1回発行した処方箋で最大3回分の薬を処方することができます。(30日分×3回)


しかしながら、リフィル処方箋が導入されたことで外来患者数の減少や病状悪化の見落としが懸念されます。現在においては医療機関の経営に課題が残る見直しとなりますが、制度が開始された以上は、リフィル処方箋のニーズへの対応をご検討いただく必要がありかと思われます。


リフィル処方箋へのニーズを掴むためにオンライン診療の導入も視野に入れられてはいかがでしょうか。

今回の改定では、大きな増収につながる改定はございませんが、算定できる点数をこまめに取得することで、今後の増収に繋がるかと思います。


<制作年月>2022年7月12日


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PROFILEプロフィール

PROFILE

日本クレアス税理士法人 執行役員 中川 義敬

税理士(近畿税理士会所属)

【経歴】
2007年税理士登録、2009年に日本クレアス税理士法人入社。
現在に至るまで、東証一部上場企業から中小企業・医院の税務相談、
税務申告対応、医院開業コンサルティング、組織再編コンサルティング、
相続・事業承継コンサルティング、経理アウトソーシング、
決算早期化等に従事。

医院の新規開業支援、会計税務、医業承継・相続対策など、
個人医院から大病院までをサポートしてきた医療分野での高い経験を
生かすため、2019年7月大阪本部 本部長に就任。現在に至る。

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