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<著者> 株式会社スターコンサルティンググループ 代表コンサルタント 糠谷和弘


コミュニケーションは質と量の維持を

前回に引き続いて「経営計画の立て方」についてお伝えします。
→前回記事「経営計画の立て方~令和5年度~」

前回は数値計画の作り方がテーマでした。しかし、施設長の仕事は、稼働率を上げることだけではありません。情報共有を正確に行い、一体化して動くチームをつくることも役割の一つです。

そのためには日常的な指示命令、声掛けも大事ですが、部下とのコミュニケーションを〝仕組み〞にすることが不可欠です。なぜなら声掛けなどは、時間の余裕やお互いのシフト、そのときの気持ちに左右されますが、仕組みがあれば確実に行われるからです。

実際、施設長と部署、施設長とスタッフ間のコミュニケーションのルールが定まっている施設は、離職率が低く、サービスの質も高いというのが私の認識です。

目次
1.コミュニケーションを仕組み化する
2.成功事例紹介
3.失敗しないためのポイント

1.コミュニケーションを仕組み化する

仕組み化を検討してほしいのは、特養や老健、有料老人ホームなどの施設系サービスだとすると、以下のような会議、面談です。

■ 幹部会議(事務長、介護主任、看護主任などとのミーティング)
■ 役職者会議(リーダークラスも含むミーティング)
■ ユニット会議(オブザーバー参加)
■ リーダークラスとの面談


このようにアドバイスすると、大抵の施設長は「すでにやっています」と言います。しかし、私が言っていることは「時間」「メンバー」を決める程度のことではありません。これらの会議、面談で情報共有だけでなく、新人指導やサービス向上、人間関係の構築までやってしまおうというのが〝仕組み化〞のゴールです。


2.成功事例紹介

ある特養では、ユニットリーダーのリーダースキル、経験によって、ユニット運営に大きくばらつきがありました。

そこで令和4年度は、月の前半のユニット会議の内容を、ユニットごとに話し合う内容に差異がないようルール化し、施設長がオブザーバー参加することにしました。口を出すことは控え、末席で見守り、会議の最後にできるだけ良い部分を褒めることに徹しました。

それを補完するために、月の後半にリーダークラスとの面談を行うことにしました。面談では、以下のような点を報告してもらい、それに助言をする形式で進めました。

手順は、以下のようになります。

リーダー面談の内容

①ユニット会議の振り返りうまくいったことと、そうでないことをお互いに振り返る

②新人指導の状況スキル、知識面は指導チェックリストをもとに確認。
 加えて、メンタル面で気になること(モチベーションが落ちていないか)をチェック

③所属スタッフの状況
 ・成長が見られた職員(事例とともに)
 ・課題のある職員(現状の指導状況とともに)

④リーダーとしての成果
 ・今月、がんばったこと

⑤リーダーとしての課題
 ・今月、課題に感じたこと


継続することが大事ですから、最初から無理をせずに、1回20分以内としました。また、それまでの経緯を確認できるように、ユニットリーダーが事前にA4サイズ1枚の面談フォームを作成することをルールとしました。

このように、幹部会議、役職会議なども「議論の順序」「内容」「事前準備資料」などをルール化しところ、ユニットリーダーのスキルに差がなくなり、施設全体の一体化も進み、稼働率アップ、離職率ダウン、残業時間カットなど、様々な成果がありました。


3.失敗しないためのポイント

ここで気をつけたいのは、事前に準備するフォーム作成に、手間をかけないことです。重要なのは、コミュニケーションの質と量を十分に維持すること。コミュニケーションすることが負担になってはいけません。

また、会議や面談以外のコミュニケーションも含めて計画することが大切なポイントです。最近は、新型コロナの影響でコミュニケーションがIT化されています。チャットなどは、それはそれでとても有用なツールですが、顔を合わせてのコミュニケーションが不足すると、予期せぬ問題が起きることもあります。

令和5年度の経営計画では、こうしたシステムと、リアルな場をバランス良く行う仕組みを、あらかじめ組み込んでいただきたいと思います。


監修:高齢者住宅新聞社
制作年月:2023年3月


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PROFILEプロフィール

PROFILE

糠谷 和弘(ぬかや・かずひろ)

株式会社スターコンサルティンググループ 代表コンサルタント

介護事業経営専門のコンサルティング会社を立ち上げ、「地域一番」の介護事業者を創り上げることを目指した活動に注力。20年間で450法人以上の介護事業者へのサポート実績を持つ。書籍に「介護施設長&リーダーの教科書(PHP)」などがある。

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