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<取材先> NPOヘルスケア・デザイン・ネットワーク 矢作 成実

 

「介護サービス」「食事の提供」「住まいの提供」
3つの「品質」を高くするために資金を投入

全国33法人・622事業所を展開し、1万2,000人を超える職員が働く湖山グループ。売上高は右肩上がりを続けており、2020年度は700億円にも上っています。では、事業で得た収益は何に投じているのでしょうか。

今回は、同グループの矢作成実氏に「湖山グループのお金の振り分け方」について伺いました。


給与体系と職能が連動 モチベーションを維持させる


図表にあるように、各法人全体の売上を合わせると、湖山グループ全体の売上高は年々上り続けています。規模感でいえば、上場企業の介護大手10社のなかに入る規模ではあります。

介護130_ヘルスケア図表1 - コピー.jpg「介護事業の内訳は、『介護サービス』『食事の提供』、施設系であれば『住まいの提供』の3つ。これらの品質を高めることが重要であり、ここに資金を大きく投入しています」と、矢作氏が話すように、湖山グループの資金使途は、至ってシンプルです。

さらにその使い道について、介護サービスであれば、

  • 人材の採用レベルと教育レベルを上げる
  • 処遇に関しては、労働分配率の向上を徹底的に図る

という風に分けています。

採用は全国各法人の人材部門と連携するNPOヘルスケア・デザイン・ネットワーク側で情報を共有します。

新型コロナ禍以降はオンラインによる求人が増えたことから、大手サービスを利用したり、ウェブ面接を導入するなど、求職者とのタッチポイントを強化する面に投資しています。

処遇に関しては、無資格で入職した新卒職員の場合、入職後3年間で実務者養成講座を修了し介護福祉士の資格を取得し、27歳の時点で経営初級講座を受講する、というキャリアラダーを構築。

その後、マネジメント職を希望する職員に対しては経営基礎講座の受講を認めるなど教育体制を整えており、こうした職能レベルに応じて給与を上げるシステムを構築しています。職員自身も、自身の入社年次や研修受講歴、取得資格などから給与がどのように上がるのかが分かるため、モチベーションアップにも繋がっているようです。

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食事の提供については、食材などを本部が一括して購入・配布することでコスト軽減を図る、という手法を使っていないことに、大きな特徴があります。

「メニュー作成も各施設に任せていますが、恐らく食材原価は売上の7〜8割というところが多いでしょう。新潟や会津など米どころに施設が多いからかこだわりがあるようで、かなり質の高いお米を使っています。ある施設の方は『この地域で一番食事がおいしいのはうちの施設』と話すくらいです」と、矢作氏。

そこからは、「食材費を削って、利益率を高める」という考えが存在しないことがわかります。


職員に投資をすることが安定した運営に繋がる


建物は需要の高い特別養護老人ホームを中心に、年7〜8棟をコンスタントに開発しています。その際は金利上昇のリスクに備えて長期固定金利でしか借りていないといいます。

「安心感が異なります。金融機関と長期的な関係をつくるため、中間・期末時は法人別・グループ全体の決算を報告し、事業計画発表会にもお越しいただき、事業内容をご確認いただきます」と、矢作氏。

施設運営は教育・情報開示・権限移譲の方針の下、現場で考え損益を意識するよう求めており、法人全体で適正利益が出ていれば問題ないとしています。利益が出ることは喜ばしいこと、と考えがちですが、同グループではむしろ利益が出ると「人が足りていないのでは?」という発想になると言います。

コストのなかでは人件費が大きい割合を占めているため、利益が出るということは適正な人員配置になっていない可能性がある、という意識をグループ全体が共有しているのです。

「赤字は出せませんが、利益を必要以上に追い求めることはしないという考えが、グループ全体に浸透しています。損益分岐点は各法人・施設が把握していますので、それを踏まえて、どこまで費用を使っていいのかという計算を徹底して行っているのです」と、矢作氏は説明します。

そのため、期末に資金が残ると賞与として配るケースも珍しくありません。

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「介護事業所は職員がいないと始まりません。ご利用者はもちろん、職員を大事にするのは湖山泰成代表の考えでもあります。新型コロナ禍にある今期は『職員を守るためにお金を使う』のスローガンのもと、各施設がPCRの検査キットなどを購入し、安心して働ける環境づくりに力を入れています」と矢作氏が説明するように、給与だけではなく福利厚生や環境整備などに利益を回すことで、職員が働き続けやすい体制を敷いているのです。

2021年6月からは、一部の施設で全職員に対して朝食を無料で提供することも始めています。食費を気にせず食を楽しめる環境をつくることで、業務に集中できるようにしたいという、湖山代表の思いを具現化したものです。

その他、お祭りなどのイベントを積極的に開催するなど、地域貢献事業にも取り組んでいます。

「地域包括ケアシステムの中、みなさんが仲間です。貢献できることをするからこそ地域の中で認められます。こういった事業にもお金は惜しまないのがグループ全体の方針です」と矢作氏は言います。

借り入れでは堅実な姿勢を示しつつ、必要なところでは投資を惜しみません。結果、利用者や職員の満足度は上がり、サービスに磨きがかかっていきます。これこそが、まさに理想的なサイクルではないでしょうか。



制作:日本医療企画㈱
取材年月:2021年8月


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PROFILEプロフィール

PROFILE

矢作 成実

NPOヘルスケア・デザイン・ネットワーク
建築統括本部長兼務新規事業開発室長/一級建築士

東京都中央区銀座三丁目9番11号 紙パルプ会館5F
(電話)03-6274-6421

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