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<取材先>医療法人先進会 岡眼科飯塚クリニック(福岡県飯塚市)

目次
01:職員の動線を院内中心に集中 業務効率を大幅に向上
02:予約管理の一元化で患者数の調整もスムーズに
03:Editor's Eye

職員の動線を院内中心に集中 業務効率を大幅に向上

医療法人先進会は、2002年に開業した岡眼科飯塚クリニック(本院)と、先進会眼科東京、大阪、福岡の3つの分院を持ち全国に展開しています。その本院の岡眼科飯塚クリニックは常勤医師6人体制のもと1300350人の外来患者に対応しているほか、120件以上の手術も実施しています。

これだけの外来と手術をこなす原動力となっているのが、17年の新築移転と、それにともなう経営体制の見直しです。移転後の同院の経営方針について、岡義隆院長は次のように話します。

「従来の院内オペレーションは、患者の利便性を最優先で考えていました。しかし、労働人口が大幅に減少していくなかでも、優秀な職員を確保し続けるためには、職員が働きやすい環境も不可欠です。新しい診療所では、少ない人員数でも医療の質を高く担保できる体制づくりを目指して、患者と職員両方の利便性を考えた院内設計にしました」


そこで、新築移転にともない、新診療所に外来機能を集約させ、手術棟を分離したのです。外来患者と手術患者が出入りする建物自体を分けることで受け入れられる患者のキャパシティーを増やし、混雑の緩和を図っています。そして、手術室の面積も拡張したことで、手術室内の動線もよりスムーズなりました。これらの効果もあり、手術件数は移転前の約15倍まで増加しています。


一方、外来機能を集約した新診療所の設計では、診察室、処置室、事務部門――など、職員が活動するスペースを、すべて院内中心部に集中するように配置。さらに、その周囲を囲むように患者の動線を設けています。


職員と患者の動線が交わらないようにするとともに、職員が行き来する距離を極力短くすることで、業務効率向上を図りました。これにより、少人数の人員でも対応できるようにするのが狙いです。


ただ、職員の動線を短くする分、患者の移動距離は増えるが、これは院内各所に人員を配置しサポートすることで解決しています。具体的な患者の来院からの流れと、職員の配置と役割は次のとおり。


①来院~受付

患者が来院すると、玄関に配置されたコンシェルジュが、駐車場整理から受付までの案内を担当。受付では初診患者は受付職員が対応、再診患者は自動受付機でチェックインし、それぞれ問診に進みます。

②問診~検査

問診から検査室、さらに検査室から診察室へ移動する2カ所の動線には、橋渡し役として検査、診察の各部門管理職を配置しており、患者の呼び出し漏れ防止と患者の移動のサポートを担っています。また、管理職がこの役割を担うことで、院内全体の患者と職員を見渡し、混雑状況などに応じて他の職員に適宜指示を出せるようにしているのです。


③診察

診察室では、医師が診察や患者との対話に専念できるように、カルテ入力などを行う記録係を2人配置しています。2人いることで、患者の入れ替わりの際も作業を留めずにシームレスに次の診察に移行できるという狙いです。

岡眼科見取り図 - コピー.png

予約管理の一元化で患者数の調整もスムーズに

こうした動線や人員配置の工夫に加えて、ICTの活用にも力を入れています。たとえば、待ち時間が20分を超えると院内の複数個所に設置した端末から近くの職員に知らせるシステムを導入しているほか、電話、WEB、LINEなどの予約管理は、すべてコールセンター部門が一括管理。

受付職員の電話対応の回数を大幅に削減しました。さらに20年からは、LINEからの前日のリマインド機能も開始しています。


昨今の新型コロナウイルス感染症流行の際も予約体制が確立していたため、密集を防ぐための外来患者数の調整もスムーズに行うことができたといいます。新たなオペレーションの成果について、岡院長は次のとおり話します。


「働きやすい環境整備のため、14年から土日診療廃止や受付終了時間の繰り上げなど、診療時間自体は削減したにもかかわらず、外来患者数は移転前の200人から移転後は350人まで増加しています。また、患者さんも移転後は待ち時間も減ったからか、診察室に入られるときの表情もより穏やかになった印象です。今後も、効率性の追求と質の高い先進医療の提供を両立し続けていきます」と、語りました。


Editor's Eye

組織規模的には中〜大規模診療所であるため、医師や職員のみ出入りするゾーンを中心に集め、患者が順番に動く回遊型プランを採用されている。これは設計において、業務効率を上げるうえで医師やスタッフの動線を最小限にする分、患者に移動してもらう方式だ(採用するにはそこそこのテナント面積が必要である)。病院に近い人員配置やオペレーションによる効率化とも言える。



制作:㈱日本医療企画
(取材年月:20208月)


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PROFILEプロフィール

PROFILE

医療法人先進会 岡眼科飯塚クリニック(福岡県飯塚市)

岡 義隆院長

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