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<著者> 米本合同税理士法人 

事業承継の過程で実務から引退した先代院長を役員として残したり、現在、他所で勤務中の後継者を役員にしたりと、いわゆる「非常勤役員」がいる法人は多いです。そうした法人より「非常勤役員への役員報酬はいくらまで出して良いですか」とご質問をいただくことがよくあります。

目次
■ 非常勤役員への報酬「目安」
■ 非常勤役員に報酬を出すための検討事項
1.形式的な基準:社員総会
2.実質基準
■ 未成年者・学生への役員報酬は要注意!
■ 非常勤役員への債務保証料支払いの活用も検討を!

■ 非常勤役員への報酬「目安」

法人税法上は、「常勤」役員と「非常勤」役員を分ける明確な基準はなく、また、役員報酬の適正金額の数値基準(一般的な従業員の何倍まで 等)もありません。非常勤役員への報酬金額を争った過去の裁判の判例から、月5万円~15万円ほどの役員報酬であれば損金算入を否認されるリスクの低い、安全な報酬金額と言えます。
(平9.9.29裁決、裁決事例集No.54 306頁)
(平17.12.19裁決、裁決事例集No.70 215頁)

5万~15万円だから絶対に経費否認されないと保証するものではありません。)

■ 非常勤役員に報酬を出すための検討事項

非常勤役員であっても、業務内容や経営への貢献度等の理由から、出来るだけ報酬を支給したい場合が有ると思います。役員の報酬が是認となるためには、以下の2つの基準があります。この基準を満たせるように検討・準備を行いましょう。

1.形式的な基準:社員総会

会社法では、役員報酬は定款または社員総会の決議によって定めます。あるいは、社員総会で役員報酬の総額(上限)を決めて、理事会で各自の報酬金額を決定します。そのため、社員総会・理事会を開催し、それを議事録として、記録に残すことが重要です。

特に以下の2点が確認できるように、記載しておきましょう。

・理事会で定めた報酬金額と実際に支給された金額が一致しているか
・理事会で決めた報酬金額が社員総会で決めた上限を超えていないか


2.実質基準

①の書類上の定めの有無に加えて、業務実態と役員報酬金額が見合うかを検討する必要があります。

・役員としての職務の内容・出勤日数や時間
・病医院の収益状況
・院内の他の従業員への給与金額
・同種の類似規模の法人の役員の勤務状況や報酬との比較


これらの内容を報酬金額決定時に相談・決定し、記録に残しましょう。さらに決定した業務が実行されているか日報等で記録しておきましょう。
【非常勤役員への報酬「目安」】で記載の通り、役員報酬には明確な数値基準が無いため、①・②の基準についてしっかり記録に残すことで、否認されるリスクを低減できます。

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■ 未成年者・学生への役員報酬は要注意!

【非常勤役員に報酬を出すための検討事項】の②実質基準について否認されやすいのが、未成年者の学生への役員報酬の支払です。過去の裁判例では、13~16歳の子息を取締役として役員報酬10万円を支払ったが否認された例もあります。
(東京地裁平成8年11月29日(税務訴訟資料221号7824頁))

この例では、子息の年齢と学生であること、さらに海外留学でほぼ日本にいない事から法人の経営状況を把握し、経営に関する業務を行っていたとは認められない、とされました。未成年者・学生への役員報酬は特に、実質基準を満たすのか、金額は妥当か、きっちり確認・検討・対策を講じる必要がございます。

■ 非常勤役員への債務保証料支払いの活用も検討を!

役員報酬を払う以外にも、法人から役員に債務保証料の支払を行うなどの方法があるので、そちらも併せて検討する事で、最大限 役員に支払いを行うことが出来ます。

(非常勤役員に高額な報酬を支払う方法(債務保証)についてもっと知りたい方はこちら)


*心配な場合は、専門家にご相談を*

上記の通り、非常勤役員への役員報酬は明確な基準がないため、多くの経営者の方が支払いたい役員報酬が妥当か否か迷います。心配になった時は、経験豊富な税理士へ相談しながら報酬金額を決めることをお勧めします。
米本合同税理士法人では、上記のような節税に関する記事を多数掲載しております。ご興味のある方は是非ご覧ください。


(医療法人の節税についてもっと知りたい方はこちら)

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制作年月:2022年12月21日


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PROFILEプロフィール

PROFILE

米本合同税理士法人 大阪事務所 第二事業部部長 

税理士 大川 智弘

【経歴】
1988年 大阪府松原市出身
2007年 大原簿記専門学校入学
2009年 税理士試験合格(同年最年少合格)
同年   米本合同税理士法人入社
2011年 税理士登録
2012年 医療法人移行の全実務(清文社様)執筆メンバー
2014年 株式の相続税評価額についての記事を執筆(納税通信様)
2015年 認定医療法人制度についての連載記事を執筆(納税通信様)
2021年~ 三井住友カード法人カード向けDM「三井住友カード Biz」にてコラム連載中
2022年 沖縄県南部地区医師会報にて認定医療法人制度についての記事を執筆
自社ホームページでもコラムを毎月連載中
各所にて認定医療法人・医療法改正・医療法人成りセミナーを実施
大原簿記法律専門学校にて税理士試験合格セミナーの講師担当経験あり
現在は認定医療法人移行コンサルを中心に医療法人の税務・法務面からのトータルサポートに従事。
担当経験のある顧問先の所在地は東京都・愛知県・大阪府・兵庫県・和歌山県・岡山県・島根県・福岡県・大分県・沖縄県

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