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<著者> 日本クレアス税理士法人 執行役員 中川 義敬 税理士

開業するにあたって、自身で購入した不動産によりクリニックを開業するのか(戸建て開業)、不動産を賃借してクリニックを開業するのか(テナント開業)について、決断する必要があります。今回は戸建て開業について、立地選定の手順とポイントをご紹介いたします。

目次
01:クリニックの理念/経営方針に沿った候補地のリストアップ
02:診療圏調査を行う
03:土地のチェック
04:戸建て開業のメリット・デメリット
05:おわりに

クリニックの理念/経営方針に沿った候補地のリストアップ

リストアップした土地は自身の理念に沿っていますでしょうか。

「地域医療に貢献したい」、「自費収入に注力したい」など自身の理念によって求められる立地・地域性が異なります。土地をリストアップする前に、自身の理念を明確にしましょう。


診療圏調査を行う

安定した医院経営を行うためには、いかに新規患者を呼び込むことができるかどうかがポイントになります。そこで候補となる開業予定地で、どの程度の患者数が見込めるのかについて調査する必要があります。

診療圏の調査結果は、金融機関との融資交渉を行う上でも重要な根拠資料となりますので、候補地を選定する際には診療圏調査を実施しましょう。

土地のチェック

候補地の選定には土地の特殊性について注意が必要となり、以下の代表的な注意点があります。

・市街化調整区域

市街化調整区域とは市街化を抑制すべき区域として指定される区域となり、不動産の建築が原則認められません。行政に許可申請を行えば、クリニックの建築は可能ですが、市街化が抑制されている地域であることから、集患に苦労される場合があります。

・農地

農地として定められた土地に開業する場合には、農地転用が必要です。手続きに時間を要することがあり、余裕を持った開業スケジュールを組む必要があります。

・定期借地権

普通借地権とは異なり、地主を保護する権利となるため、契約期間が満了すると自動的に契約が更新されません。契約を更新できない場合には、契約満了後、地主に返還する必要がありますので、賃貸借契約を締結する際には契約更新の有無について地主と交渉することをお勧めします。

戸建て開業のメリット・デメリット

・メリット

戸建て開業は設計の自由度が高く、理想とするクリニックを建築することができます。また駐車場を確保しやすいため、車による通院が期待できます。

・デメリット

不動産の取得費用がかかるため、テナント開業と比較して初期投資額が大きくなります。また不動産の老朽リスクを負うため、定期的なメンテナンスが必要です。

おわりに

開業を考えられる際には、まず初めに自身の理念・経営方針を明確にしてから土地の選定を進めるべきかと考えます。戸建て開業には上記に記載した通り自由度が高い等のメリットがある反面、初期投資が大きくなるデメリットもあるため、十分に検討し納得のいく決断が必要です。

人生において大きな決断となりますので不安を感じられる場合には、専門家にご相談ください。


執筆年月:2022年9月12日


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PROFILEプロフィール

PROFILE

日本クレアス税理士法人 執行役員 中川 義敬

税理士(近畿税理士会所属)

【経歴】
2007年税理士登録、2009年に日本クレアス税理士法人入社。
現在に至るまで、東証一部上場企業から中小企業・医院の税務相談、
税務申告対応、医院開業コンサルティング、組織再編コンサルティング、
相続・事業承継コンサルティング、経理アウトソーシング、
決算早期化等に従事。

医院の新規開業支援、会計税務、医業承継・相続対策など、
個人医院から大病院までをサポートしてきた医療分野での高い経験を
生かすため、2019年7月大阪本部 本部長に就任。現在に至る。

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