• Facebook
  • Twitter
  • LINE

<著者> 米本合同税理士法人 

令和2年度の税制改正で法人関係税の税額控除の拡充や人材派遣型の創設など大幅に変更されたことで企業の関心が高まり本制度を活用する企業が大きく増加しています。 今回は本制度の概要とともに税制改正に伴う変更点についてもご紹介していきます。

目次
■企業版ふるさと納税はどんな制度なのか?
■基本的なポイント
■メリット
■制度を利用するにあたっての留意点
■実施するには?
■まとめ

企業版ふるさと納税はどんな制度なのか?

企業版ふるさと納税とは、国が認定した自治体の地方創生の取り組みに対して企業が寄附をすることで税負担が軽減される制度のことです。 さらに、令和2年度の税制改正により税の軽減効果が拡大され、税額控除の特例措置の適用期間が令和6年度末まで延長されました。
返礼品の禁止や本社が所在する自治体への寄附が制度上対象外になるなど条件もありますが、寄附額の下限が10万円からとなっているため企業からみて利用しやすい制度となっています。

基本的なポイント

. 税の軽減効果
自治体への通常の寄附の損益算入による軽減効果(寄附額の約3割)に加え、法人関係税が寄附額の最大6割控除されます。 そのため実質的な企業の負担が約1割まで圧縮されます。
例えば1,000万円寄附すると、最大で約900万円の法人関係税が軽減されます。
控除上限額は、各税目の「寄附額の割合」と「税額上限」のうち、いずれか小さい方の値を合計します。

税目

寄附額の割合

税額上限

法人住民税

寄附額の4

法人住民税額の20%

法人税

法人住民税で4割に達しなかった場合に、その残額
ただし、寄附額の1割を限度

法人税額の5%

法人事業税

寄附額の2

法人事業税額の20%



. 人材派遣型の創設

自治体の地方創生の取り組みに対して、企業が専門知識やノウハウを有する人材を自治体へ派遣することで、人件費相当額を寄附額に含めて税額控除が受けられるというものです。
地方公共団体の職員として任用される場合か、地域活性化事業を行う団体等であって、寄附活用事業に関与するものに採用される場合に適用されます。 事業の企画・実施に派遣人材が参画することで地域貢献がしやすくなり人材育成の機会として活用できます。

メリット

寄附先の自治体HPなどに企業名が掲出されることで地方創生に向けた社会貢献活動に取り組む姿勢を社会にPRできます。また、SDGsの実現に向けた支援活動として認知され企業のイメージアップにつながります。
そして、寄附先の自治体とのつながりを深めることで、新たなパートナーシップを構築でき、地域の資源を生かした新事業の開拓などビジネスチャンスにつなげることも可能になります。


pixta_31757676_L - コピー.jpg

制度を利用するにあたっての留意点

本社が所在する地方公共団体と地方交付税の不交付団体である地方公共団体については、本制度の対象となりません。 また、寄附を行うことの代償として経済的な利益を受け取ることは禁止されています。
そのため返礼品の禁止だけでなく、寄附の見返りとして補助金を受け取ることや有利な利率で貸付をしてもらうなどが該当となります。 そして、個人版の自己負担額は一定の限度額はありますが基本的に2千円なのに対して企業版は寄附額の約1割となっています。 制度を利用するにあたって個人版との違いも理解しておく必要があります。

 

さらに医療法人の場合は診療科目等にもよりますが保険診療等は事業税が非課税となる関係上事業税額が少なく上記図解の上限である「法人事業税額の20%」の制限に引っかかりやすく、自己負担割合が3割程度になるケースもありますので事前に自己負担割合のシミュレーションを行い寄付額を決定する必要があります。

実施するには?

企業版ふるさと納税の実施には自治体とのやり取りが重要となります。
(1)
事業内容などを確認しながら寄附する自治体を選定します。
(2)
地方創生事業に寄附を申し込む
(3)
自治体と今後の方針について話し合います。
 ※寄附のみ行う場合は、寄付先の自治体にその旨を伝えて、特典を受け取らないことも可能です。
(4)
自治体から受領証を受け取ります。
(5)
法人関係税の税額控除を受けます。

まとめ

企業版ふるさと納税は、自治体が全国にあるため寄附金の使い道も数多くあります。 本制度を有効活用すれば法人のイメージアップに繋げたり、寄附先の自治体とパートナーシップを築いたり、または縁のある自治体に恩返しをすることもできます。ただし個人版のふるさと納税と異なり、企業版のふるさと納税は自己負担額が約1割~3割で返戻品などがなく、単純な節税目的のみで行おうとするとキャッシュを損なうことにも繋がりかねないため注意が必要です。
企業に合う寄附先や事業を選び、寄附額の規模を考慮したうえで検討することをお勧めします。 企業版ふるさと納税についてご不明点等ございましたら、米本合同税理士法人までご連絡下さい。

 

米本合同税理士法人では、上記のような節税に関する記事を多数掲載しております。ご興味のある方は是非ご覧ください。

 

 

(医療法人の節税についてもっと知りたい方はこちら)

 

毎日TwitterやFacebookでも税務会計や経営に関する情報を発信しています。
フォロー頂けると嬉しいです。

(Twitter)
https://mobile.twitter.com/okawa0620

(Facebook)
https://m.facebook.com/100088041642414/

 

制作年月:2023年1月24日


メルマガバナー.jpgランキングバナーjpg.jpg

202208 サムネ 1.jpg2202208 サムネ - .jpg202208 サムネ - 3.jpg202208 サムネ - コピー.jpg

PROFILEプロフィール

PROFILE

米本合同税理士法人 大阪事務所 第二事業部部長 

税理士 大川 智弘

【経歴】
1988年 大阪府松原市出身
2007年 大原簿記専門学校入学
2009年 税理士試験合格(同年最年少合格)
同年   米本合同税理士法人入社
2011年 税理士登録
2012年 医療法人移行の全実務(清文社様)執筆メンバー
2014年 株式の相続税評価額についての記事を執筆(納税通信様)
2015年 認定医療法人制度についての連載記事を執筆(納税通信様)
2021年~ 三井住友カード法人カード向けDM「三井住友カード Biz」にてコラム連載中
2022年 沖縄県南部地区医師会報にて認定医療法人制度についての記事を執筆
自社ホームページでもコラムを毎月連載中
各所にて認定医療法人・医療法改正・医療法人成りセミナーを実施
大原簿記法律専門学校にて税理士試験合格セミナーの講師担当経験あり
現在は認定医療法人移行コンサルを中心に医療法人の税務・法務面からのトータルサポートに従事。
担当経験のある顧問先の所在地は東京都・愛知県・大阪府・兵庫県・和歌山県・岡山県・島根県・福岡県・大分県・沖縄県

関連サービス

👉融資・リースをお考えの方 芙蓉リースグループのシャープファイナンス(融資・リース)

担保に依存せず、事業性を重視した審査を行い、リースもご融資もひとつの窓口でスピーディな手続きを実現します。
事業拡大時の資金調達をご検討の方は豊富な取引実績がある(医科/22,000件、歯科/約28,000件)シャープファイナンス【芙蓉リースグループ】に是非ご相談ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE